ワイナリーとのトホホばなし (スイスでワイン造ってるの? #48)
ビジネスの世界では、グローバルスタンダードとその国特有の商習慣やルールの摩擦がよく取り沙汰されますよね。
サラリーマン時代に勤めていた多国籍企業でも、本社や他国の人になかなか日本の商習慣やルールが理解してもらえず苦労したものです。
今回ご紹介するエピソードはそんなレベルの高いものではなく、スイスの「分からんちん」と日本の「ガンコ親父」のオモシロやりとりです〜
わからんちんどもとっちめち〜♪ (アニメ一休さんより)
見積書?請求書?
協働ワイナリーのある1軒、「xxx 1万本、yyy 20万本買いたいけど、在庫ある〜? 見積もりして〜」と頼むと毎回いきなり請求書が送られてきます。(本数はエエかっこするために盛ってます〜)
たしかに販売計画に沿ってその本数買うし、値段が多少上下しても買うよ。
そやけどまだ買いもしてへんのに請求書ってないやーん。
初めていきなり請求書が送られてきた時に「見積もりに変えて〜」とお願いしたら、なんと手書きで「見積書」と書いて送られてきました〜*1 (写真上)
ぎゃふん
*1 今では見積もり書に変えてもらうことすらあきらめました(涙)。
なぜ?・・・続きを読んでもらえれば分かってもらえると思います。
試験成績表
ワインを輸入する際には検疫所に「アルコール度数」や「酸化防止剤の含有量」などを示す、「公的機関の試験成績表」を提出しなければなりません。
くだんのワイナリーとはじめての取引の時、試験成績表を公的機関から取得してくれと頼むと
「なんで?うちのラボで測ってるからええやん」
「あかんねん、それやったら検疫所が受け付けてくれへんねん」
「うちのラボは州政府の認証ももらっているから正確やで。そう検疫所に説明してくれたらええんちゃう?」
だ~か~ら〜、あかんねんて。日本のお役所はそんなんに耳を傾けてくれへ~ん
何度かやりとりしてやっと理解してくれましたが、さらにこの公的機関が曲者。いくら試験成績書を発行しているのが国立の機関であっても「厚生労働省」が公表している「外国公的検査機関一覧」に記載されている機関が発行しているものだけしか検疫所で受け付けてくれません。*2
なのでワイナリーには前もってこのリストを送って、「必ずここに載っている検査機関で試験成績表を発行してもらってや〜」と100万回も念を押しました。
ところがどっこい!全然別の検査機関からの試験成績表が送られてきました。(上写真は取引2年目にもかかわらず別の検査機関発行の成績表)
「リストに載ってる検査機関に出したら手数料が高いから、安いとこ見つけてきて〜ん、どや〜」って
わかってくれよ〜(涙)
*2 公的検査機関にまつわるエピソードはこちらもご覧ください
原産地証明書
スイスと日本の二国間協定によりスイスワインの関税は撤廃されたのですが、普通に輸入すると課税されてしまいます。
関税を免除してもらうには「原産地証明書」を税関に提出する必要があります。(知ってた〜?)
ここまで書くともうみなさん予想がついていますよね。またまたやってくれたのです、前述のワイナリー・・・
「この書式に必要事項を書いてな。できたらいっぺん見せて」と頼んだところ、輸送方法欄に「航空便」と書かれていたので、「船便に変えて作り直してや〜」と訂正を依頼しました。
送られてきた書類を見たら「航空便」と書いているところに線を引きまたまた手書きで「船便」って。
レクラ〜、堪忍して〜な〜(あっ、名前言うてもた)
ええねんで、手書きでも。実際受け付けてくれたけどな。そやけどそのほかの部分はPCで作ってるねんから、そこもPCで修正しようよ〜
でもね、この人たちが造るワインがほんまにほんまにうまいんですわ。
(タイトル写真がこのうまいワインを造る一家)
一時期はもう取引やめようかと数か月間寝ずに悩みましたが今年(2021年)もやっぱり入れました〜。
だってね、くどいようやけどホンマに美味しいんですよ~
愛しのレクラちゃんと
いろいろあってもぼくが惚れ込んだワインとレクラちゃんへの断ち切れない一方通行な愛、そしてこの愛すべき人たちが造ったすばらしいワインはこちらです。
ぜひ飲んでいただきたい1本です。
Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ
https://www.vinumhelvetica.com