はじめてのスイス (スイスでワイン造ってるの? #25)
スイスが好きすぎて全州を制覇した私ですが、初めてのスイスは思い出深いものでした。
海外出張
当時勤めていたスイス系企業の全世界の担当者を集めたワークショップがスイス本社で開催されることになり、1994年11月に初めての海外出張に出たのがスイス全州制覇の旅の始まりでした。
平社員でも海外出張はビジネスクラスで行かせてくれる太っ腹な会社でした。
初の海外出張でしかもビジネスクラスで行けるなんて!
もうテンパリまくりの僕!
ところがチェックインする際にいきなりハプニングが!
地上係員「申し訳ございません、ビジネスクラスでご予約をいただいておりましたが、ビジネスクラスはあいにく満席でございまして…」
ぼく(心の声)「えっ、ビジネスで飛べると思ってたのにアカンの〜?まじか〜(一気にテンション下がる)」
地上係員「ファーストクラスに変更させていただいてよろしいでしょうか?」
ぼく(心の声)「え、ええーー?!よっしゃ~!よ、よろしいも何も、エエに決まってるや〜ん!」
「あ、はい、結構ですよ」(いかにも海外出張慣れしたビジネスマンを装う)
さらりと言ったつもりでも地上係員さんにはぼくの喜びはバレバレだったはずです(笑)
(タイトル写真は当時、日本ーチューリッヒ間を飛んでいたMD-11)
いい会社だね~
喜び勇んでファーストクラスに乗り込んだものの、ジーンズとジャンパーというどう見てもファーストクラスには相応しくない出立のぼく。ちょっぴり恥ずかしくなりました。
いきなりシャンパーニュやら赤白ワインやらがボトルで用意されるではありませんか!
人心地着くと隣に座っているいかにもエグゼクティブなスイス人紳士が話しかけてきました。
紳士「ご出張ですか?」
ぼく「はい、バーゼルに出張です」
紳士「ほう、バーゼルといえば化学系の会社のエグゼクティブですか?」
ぼく「い、いいえ、ただの平社員です」(顔から火が出そうになる)
紳士「いい会社だね〜、平社員でもファーストクラスに乗せてもらえるんだ」
ぼく「と、とんでもない。たまたまアップグレードされただけです」
紳士「そ〜うですか。せっかくのファーストクラスお楽しみくださいね」
ぼく「あ、ありがとうございます」
しばらくすると食事がサーブされ始めました。
な、なんとアペリティフにはいきなりキャビアが!
紳士「スイスエアー*はキャビアはいくらでもお代わりできるから私は好きなんですよ」
それまで代用キャビアしか食べたことがなかったぼく。ここぞとばかり、何度もおかわりしたのは言うまでもありません。
こうしてスイス全州制覇は嬉しいハプニングから始まったのでした。
プロペラ機
無事チューリヒに着き、くだんの紳士と別れ、本社のあるバーゼル行きの飛行機**に乗り込もうとしたら、な、なんと片側2席のプロペラ機***
さっきまでゴージャスなファーストクラスで似非エグゼクティブだったぼく、こんなちっちゃな飛行機で大丈夫かな〜と一抹の不安を抱えながら機上の人に。
水平飛行はほとんどなくあっという間にバーゼルに到着しました。
アルプスはどこ?
ワークショップが始まる前に参加者と雑談していた時のこと。
その当時、スイスのことを全く知らなかったぼくは、「スイスといえばアルプス」という短絡的な考えで参加者の一人に「アルプスってどこにあるの?」と尋ねたところ、その参加者は「あっち」と窓から先を指差すではありませんか。
ぼくも「へー、そうなんや」と納得しましたが、バーゼルの街中からアルプスが見えるわけはないのです。
とにもかくにも、いい加減なこと言う仲間達と1週間のワークショップを楽しく過ごしたことは言うまでもありません。
*「スイス・エアー」は経営破綻し、現在はルフトハンザ グループの一員として「スイス・インターナショナル」として日本とスイスをつないでいます。
** 現在はチューリヒ・バーゼル間のフライトは廃止されていますが、スイス・インターナショナルでバーゼルまでフライトを予約することができ、フライト番号の付与された列車が航空運賃に含まれています。
*** プロペラ機には「ジャンボちゃん」(Jambolino)とか「コンコルドちゃん」(Concordino)と言った大型旅客機に因んだ愛称が付けられていました。
Beyond the Glass
ワインを通じてスイス文化を日本のみなさまへ
https://www.vinumhelvetica.com
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