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ダーリンはソムリエ vol.3

ワインは、魔物だ。 身体にワインをたっぷりと含ませて、深夜三時に家へと帰ってきたダーリンはベッドにどうっと倒れ込むと、眠りの淵に意識をかけながら、そう呟いた。 ワインは恐いよ。本当に、恐い飲み物だ。人を嫉妬に陥れる。      その液体のために人は平気で大金を払い、そして平気で人を裏切る。   そんな酒が他にあるか。ないよね。                  そう言うと、こときれるように深い眠りの底へと落ちていった。 ワインほど、恐ろしい酒はない。 それは公私ともにワ

    • ダーリンはソムリエ vol.2

      私のダーリンは、ソムリエである。というか、その資格を持ったワイン関係者である。 しかし、そうでありながら、ダーリンはワインのコルクを抜くときも、まったくもって気取りがない。 おそらく一般的なワイン愛好家だと、ソムリエナイフの使い方がわからない、という人も多いのではないだろうか。 それ、とってもよくわかります。 基本的にはボトルのキャップシールを取り、渦巻き状のスクリュー部分をコルクにねじ込み、テコの原理でコルクを抜くだけ、なのだけれど。 とはいえコツがわかるまで

      • ダーリンはソムリエ vol.1

        私のダーリンは、ソムリエである。 ソムリエといっても別段、レストランやワインショップに勤務しているわけではない。 その職業はといえば、ワイン業界のエージェントである。 フランスなど現地のさまざまな生産者のもとを訪れて、「このワインは素晴らしい」と思うと、それを日本のインポーターにプレゼンする。 いうなれば、フランスのワイン生産者と日本の輸入業者を結ぶ、結婚相談所といったところだろうか。 そう、私のダーリンはソムリエだ。 けれど同時に、ノムリエでもある。ワインの質も

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