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【シャニマス】FIPを上げても意味ないのでは?という話【歌姫周回】

(3/7 21:50 追記あり)

どうも。
歌姫周回でEXスキルを掘る際に、実はFIP(フェスアイドルポイント)を上げても効果がないのではないか、という話をします。

(3/7追記)
「思い出LV5しか意味がない」という言葉が独り歩きしているようなので強調しておきます。タイトルからもお察しの通り、以下の検証はあくまでWING編での検証です。かつ、歌姫に一回以上合格したWING優勝を条件としたデータのみを扱っています(後述)。つまり、思い出LVを上げやすいとされている感謝祭の方が効率が良いのではないかとか、そもそもWING以外のシナリオでも同じように思い出LV5でドロップが良くなるのか、この検証からは一切分かりません。上述の条件のデータしか扱っていないからです。

繰り返しになりますが、これは
歌 姫 周 回 で W I N G 優 勝 し た 際の検証ですのでくれぐれもご注意ください。

すなわち、FIPを上げるためにより多くのスキルパネルを開けたり、2極や3極で育成してみたり、オーディションマスタリーを盛ってオーディションをひたすら受けたり、などといった面倒なことはしてもしなくてもドロップの質が変わらないため、思い出レベルさえ上げればよいのではないかということです。(歌姫合格の有無やWING決勝の勝敗はまた別の問題として)

また、FIP2000以上になるとドロップが良くなるとされているのは正しくありません。
そして、思い出LVは5になるとドロップが良くなるとされていますが、FIPがドロップに影響を与えないこともあり、LV5しか意味がありません1~4は上げても無意味です。(思い出0と比較してどうかは未検証)

この記事ではこのようにFIPと思い出LVとEXスキルの関係について分かったことをお話しします。

以前『【シャニマス】EXスキルドロップ率検証』と称して、WING(主に歌姫周回)におけるEX掘りにおいて、ドロップに影響すると思われる条件をWING1000周分のデータをもとに調査したのですが、

この時の課題の一つに、

「FIPと思い出LVがEXスキルのドロップに影響していそうだが、どちらがどれだけ影響しているか不明瞭」

というものがありました。
FIPが高い際と、思い出LVが高い際にドロップが良くなりそうということは分かったのですが、FIPが思い出LVの影響を多大に受けるため、FIPが高い際は思い出LVも高く、思い出LVが高い時は当然FIPも高く、どちらかのみがドロップに影響しているのか、それとも両方ともが影響しているのか判別できませんでした。
今回、課題の解決のため追加で1000周分のデータを収集する中で、思い出LVが低く、かつFIPが高いという周回データがある程度集まりましたので、これを基にFIPと思い出とEXスキルの関係をある程度はっきりさせることが出来ました。

FIPと思い出の話以外にも課題として残していたこともあるのですが、一度にすべてのトピックについて記事にするのは大変ですので、インパクトの大きいと考えられるこのFIPについての話だけ先にご紹介して、その他はそのうち執筆予定です。

補足・その他残した課題:
・歌姫合格によるドロップへの影響が調査できていない(これは相当先になりそう)
・特殊オーディションの合否による影響がしっかり調査できていない
・敗北数(道中)の影響についてはもう少し調べたい

本記事は、

  1. 今回の検証に使用したデータおよび検証方法について説明

  2. データの検証

  3. まとめ

という順番で話を進めます。

1.今回の検証に使用したデータ及び検証方法について

今回は前回の1000周分に加えて、新たに1000周分の歌姫周回のデータを追加しました。前回と同じく、シーズン4を突破していることと、データに欠損値が無いこと(敗北数を除く)を条件として、EXスキルのドロップ数が向上している期間(Pカップなど)を除いて記録しています。

ただし、この検証ではこの中から、

  1. 歌姫に一回以上勝っており、かつ

  2. WING本戦で敗北していない

データのみを扱います。
歌姫の合格がドロップに本当に影響しているかどうかは今のところ検証もないのでよく分からないのですが、FIPと思い出以外のドロップに影響する要因を排除し、検証しやすくする狙いです。

ただし、本戦に関しては敗北後、コンティニューチケットを使用して勝利したものは敗北としてカウントせず、データにそのまま残しています。記録されている分で5周、記録してないものも1,2周あったような気がします。チケットの影響がある可能性があることを考慮に入れずにこの記事を書き始めてしまったので、少々恥ずかしいですが検証しなおすのが大変なため全体に与える影響は軽微としてこのまま進め、もし影響があることが判明したらその時は検証しなおすこととします。

上述の1、2を満たした以下のような1954周分のデータを扱います:

今回検証するデータの概要

また、各思い出LV(1-5)、FIP2000未満(0)と2000以上(1)それぞれの条件を満たす周回数は次の通りです:

各思い出LVごと、FIP2000越えとそうでないもので分類した周回数

そして以下を前提として議論します:

  1. FIPか思い出、あるいはその両方がEXスキルのドロップに影響する

  2. ファン数(≒歌姫合格数)はドロップに影響しない

  3. 道中の敗北はドロップに影響しない

  4. 特殊オーディション(いわゆる『山』など)の合格の有無はドロップに影響しない

1、2、3については前回の検証結果を基にしています。
3は敗北数を記録した周回が前回少なかったため検証が十分とは言えなかったところがあるのですが、データを増やして検証したところ影響無しとして良さそうですので採用します。次回以降の記事で説明する予定ですのでそういうものだとしておいてください。
4については前回検証していなかった部分ですが、軽く調べた結果ドロップに与える影響がなさそうでした。こちらも次回以降に詳細に説明しますので、そういうものだとしておいてください。

また、思い出LVを0〜5の値を取る順序尺度として扱います。
思い出LVは各レベルがそれぞれ、

  • 0

  • 1〜24

  • 25〜49

  • 50〜74

  • 75〜99

  • 100

の親愛度に対応しており、これをそのまま調査に使う方が良いのかもしれませんが、親愛度を記録していないこともあり思い出LVの方を用います。

補足:
”尺度”とは統計で扱う値の性質のことを指し、”順序尺度”は並び順に意味があるがそれぞれの間隔が等しいとは限らないものを指します。
補足:
後述しますが思い出LV1から4までの間でドロップが変化している様子がないので、親愛度を基準として調査しても特に結論に変化がないのではと思います。とはいえ検証しなければ白黒つけられないので今後の課題とします。

統計に詳しいP向け補足:
前回は検証のため”p値”を用いるタイプの検定を使ったのですが、このタイプはサンプルを単純に追加して分析することが理由の如何を問わずご法度なため、今回は別の(=ベイジアンな)統計手法を用いました。データの追加をするための手法があることは分かったのですが、具体的な方法が私はよく理解できませんでしたし、多重検定の問題も気にしなくてよさそう?なので、別のタイプに切り替えました。
統計ソフトはJASP 0.16.1を使用しました。

2.データの検証

では本題です。

一般的にFIPを2000以上に上げるとドロップが良くなる、と言われていますので、まずデータをFIP2000以上の周回と、そうでない周回に分けて「独立したサンプルのt検定」を行い、一周あたりのEXスキルのドロップ数を差が出るか比較しました。

補足:
t検定とは、一般的に平均値の差を検定するものです。この検証でいうと、周回当たりのExスキルのドロップ数の平均に違いがあるかを検定します。
統計に詳しいP向け補足:
MCMCの反復回数が検定ごとに同一でないのはRhatの値がすべて1.1を下回る程度まで段階的に上げたためです。1000→5000→7500→10000と増やして、それぞれの検定のすべてのRhatが1.1を下回った段階で止めています。
また事前分布は尺度0.707のコーシー分布(JASPのデフォルト)とし、乱数のシードは1を指定しています。


結果が以下です:

FIP2000以上とそれ以下での比較

表中のBF01に注目してください。これは「差がない」ことを示す証拠の強さを表しており、差がないことが差があることと比べて何倍起こり得そうかが示されています。
どれくらいこの数字が大きければ十分な証拠とみなせるかは諸説ありますが、今回は3倍以上をその目安とします。

3/4追記
ベイズファクター(BF)は本来、p値のように特定の値(例えば0.05)以上なのか以下なのかというだけの二つに一つの判断ではなく、BFがこれくらいの数字だからこれくらい信用できるという連続的な判断ができるのが魅力なのですが、そのあたりの説明が大変なのでここでは便宜上3倍で区切るような言い方をしています。

その上で表をご覧いただくと、FIP2000で分けた方は銅以外で「差がない」ことを支持する十分な証拠が得られています。

(3/4追記
銅についてはBF01が3以下ですが、1以上なので一応仮説を支持する証拠ではあります。ただ現状証拠として相当に弱いので、ここでは銅で差があるかどうかの態度は保留します。

同様に、思い出LV5とそれ以外で比較すると以下の結果が出ました:

思い出LV5とそれ以下での比較
BF10が小数点以下の項目をBF01に直すとそれぞれ以下になる:
虹: 0.085=11.7481、
金: 0.906=1.103、
Total: 0.079=12.666

こちらはBF10に注目してください。これはBF01の逆数で「差がある」ことを示す証拠の強さを意味しています。
すべてで差が出ているわけではないのですが、銀と銅でドロップ数に「差がある」ことを支持する証拠が得られています。

(3/4追記)
金について、「差がない」方をわずかながら支持する結果が得られています。ただし、FIP2000で比較した銅EXの時に説明した通り証拠として弱い水準なので今回態を保留します。

これらの結果から、思い出LV5に上げる意味はありそうだが、FIPを2000以上に上げる意味はないと結論します。

ただ、この結果だけですと、FIP2000以上とそれ未満で差が出ないというだけの話であって、全体としてはFIPが上昇すればEXの質が変わるという可能性を排除できません。
また、思い出LV5と1~4の間で区別している根拠が明確でなく、思い出LVが上がれば(FIPも上がるため)変化が何か起こるのでは、という疑問も残ります。

まず前者に関して、以下の図をご覧ください:

思い出LV4以下(Mem5: 0)と思い出LV5(Mem5: 1)
それぞれでのFIPとEXスキルの関係
トレンドラインはLoess平滑化、グレーの帯は標準誤差

EXスキル各色とトータルのドロップ数とFIPの関係を、思い出LV4以下(Mem5: 0)の場合と、思い出LV5(Mem5: 1)の場合それぞれでプロットした図です。
もしFIPが思い出LVとは独立してEXスキルに影響しているなら、思い出LV4以下の場合と思い出LV5以上の場合いずれでもEXスキルの相関が見られるはずです。
思い出LV5の方はまだ誤差が大きいので何とも言い難いところですので、思い出LV4以下の方を見ていただくと、FIPが伸びてもEXスキルのドロップに影響がほとんど見られません。例えば虹、金、銀あたりが増えて、銅が減っている、といった関係性がほとんどないように見えます。

後者に関しては以下のグラフをご覧ください:

思い出1~5のEX各色の比較
誤差線は95%確信区間

これは思い出LV1~5それぞれにおけるEXスキルのドロップ数を表しています(各グラフのスケールがそれぞれ微妙に違うことには注意してください)。
レアリティが高いEXは思い出2000以上でのグラフで誤差が絞り切れていませんが、思い出LV5でのみ、虹、金、銀のEXが良く落ちており、銅が減っている傾向が見て取れます。かつ思い出LV1~4で、ドロップの質がほとんど変化していないことも分かります。
またFIP2000でドロップが良くなることはなさそうということも示されています。FIP2000ある側、無い側でドロップ数に大きな変化があるように見えません。

以上のことから、思い出LV5の際のFIPとEXの関係がどうなのかは誤差が大きくまだはっきりしていない部分もありますが、FIPとEXスキルの間には特別な関係が本当は無かったと考えます。
また思い出LVは5まで上げないと効果がないと考えます。

3/4追記
思い出LV5かどうかで比較した虹のドロップ数に関して、BF10の値が非常に低く、これだけ見ると思い出LV5かどうかで差が出ないことを強く示唆する結果なのですが、すぐ上のグラフをご覧いただくとLV5の虹は誤差線が非常に大きいことが見て取れます。またLV5だけドロップが増えていそうな形をしたグラフになっています。したがって、ひょっとしたらLV5でかつ虹が落ちたサンプルが少ないせいで差が出ないことになっている、かもしれません。ただし今回はBFの値を信じて虹は「差がない」としておきます。

3.まとめ

以上、EXスキルに対するFIPと思い出LVの関係について検証しました。

結果として、思い出LV5はEXスキルに影響しますがLV5のみ効果あり)、FIPは影響しないということが示せたのではないかと思います。

従ってこれまでの検証結果と合わせると、歌姫周回でEXスキルを掘る際は次のようなやり方が効率がよいでしょう:

  1. EXスキルを掘りたいアイドルを可能な限り編成し、

  2. 朝コミュ発生率や約束発生率、初期親愛度をEXスキルやアイテムで盛り、

  3. 可能な限りパーフェクトコミュニケーションや約束を守って思い出LV5を目指し、

  4. 歌姫で一回以上勝利し、(←未検証)

  5. WINGで優勝する

FIPを盛る必要がありませんから、必要以上にステータスを伸ばしたり、振り返りでスキルパネルを開けたり、オデマス持ちで編成してオーディションを沢山受ける、といった時短の敵は一切合切省略してもドロップは変わりません
これが分かったのは収穫と考えています。

さて、今回の検証は以上です。
次回以降の記事では、前回から課題として残していた部分の検証をしていきたいと思っています。興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

それではみなさん、よいシャニマスライフを。

最後に、本記事の校正にあたって沢山の助言をしてくださった、大人気海戦ゲーム『Warld of Warships』内のクラン[HESTIA]の関係者の皆さん、前回に引き続き(本当は謝辞をたっぷり書きたいレベルで)ありがとうございました。

3/4 追記
3/7 追記
3/18 タイポ修正

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