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門下生作品講評【No.8】

◉北広島なごみ教室 駒谷敦子さん
『童』※未完成。途中経過。

長らく古典書道をやっていて
とてもストイックに取り組まれる方です。
ひとつの事に集中し、どこまでも極めたい、と
追究する方です。
(私はすぐ飽きちゃいます…)

“紐持ち”の線でいきたい。
この書き方で、ひとつ良い作品が出来上がってるのですが
(それを尚もブラッシュアップしたい!との事でしたが、
私は「もうこれ以上は無理だよ…そのくらい、この作品は良いよ!直すとこない!」と
ブラッシュアップをストップしたくらいです。)
また同じ手法で、別の字を、とのこと。

文字を選ぶ、のはなかなか難しいです。
「好きな文字」の「好き」が
その文字の「意味」で選ぶと、
作品化する時は、私は、難しいと思っています。

その文字を構成している「パーツ」で選ぶ。
プラモデルのパーツ、部品、のイメージ。
短い線でできてる?長い線は何本ある?
点は何個ある?一画目はどの種類の線?
…などという視点です。

よく初心者の方にに「画数が多い文字は難しいですか?」と
問われますが、
「画数ではありません。その文字を構成している
パーツの種類で、美しく見せやすいか
見せにくいか、ですね。」

そして選んだ文字の「意味」が
あとからついて来たらラッキーです。

さて、敦子さんは何枚か書いて、
「先生…どうしたらいいでしょう…?」

ほほー…「これは何ていう字?」
「童、です」

うーん…童、には見えてこないなー…
「重」に見えちゃうな…どうしてだろ…

理由を探ります。

「よし!わかった!」

①二画目と五画目の2本の長い横線が近過ぎる。
②文字の置く場所を左側ではなく右側に。
③「里」の部分の四角をキュッとスリムに。縦長に。
④最後の横画は水平に。

①は「童」に見えてこない理由はここだな、と。

②ですが、「端に寄せる」はよくやるやり方です。
では「どこに寄せるか?」。
私は「難しいテクニックを駆使する作品は
人を感動させる」と思っているのですが、
難易度で言うと、一番簡単なのが
「上に寄せる。」
次が「左に寄せる。」
次が「右に寄せる」
次が「下に寄せる」
そして一番難しいのが「ど真ん中」です。
(ど真ん中は、上下左右の余白がピッタリ同じ面接、という事です)

なので、左に寄せるは簡単なので
あまり人は感動しない。
「右に寄せましょう。」

③この作品の肝は、上部の長い2本の線です。
紐持ちで書いたこの線の「長さ」を
引き立たせるためには、
「里」の四角い部分は大き過ぎて邪魔に感じます。
なので、四角の部分はキュッとスリムに。


④書道あるあるですが、最後、横線で終わる場合は
ピタっと水平な線で引き締めます。
終筆も丁寧に。ゆっくり置きます。
2〜3秒止める。墨だまりを作る。
そして、この字の場合は、短めが良いですね。

ということで

こうなりました。
これもまだ途中経過、だそうです。
どこまでストイックにやるのでしょうか…
楽しみですね。

2023.06.28 北海道北広島市

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