お庭造り(その3)


これまで2回にわたり
とにかく楽しい気持ちでお庭造りの計画を立ててほしい
という記事を書きました。
次のステップについてお話をしたいと思います。


3.手を動かしてみよう

次は方法にこだわらずに、とにかく好きな形でイメージを描いてみましょう。平面でも立面でも、パースでも構いません。
こう書くと、「絵を描くのが苦手で……」と、尻込みされてしまう方がおられるかもわかりません。大丈夫です。
まずは四角楕円など、簡単な図形で描いていくだけでも具体的なイメージが膨らんでいくと思います。

ご自宅の図面(平面図)がもしお手元にあれば、
①コピーをとって鉛筆で描きこんでみる
②スマホやタブレットで写真を撮って、画面上で描きこんでみる
といった方法もおすすめです。
まずは気軽・手軽にできる方法を選んでください。

植える樹木や花を想像してみましょう。
四季の花木、小径の素材や雰囲気、ウッドデッキの大きさ、ビオトープやプールなど、やりたい事がみなさん沢山あると思います。
お庭作りその1でもお伝えしましたが、お庭を想像している時点でお庭づくりは始まっています。とにかく想像に任せて今を楽しんでください。

たくさん楽しんで頂けましたか?
次はいよいよ現実的なお庭作りに入っていきましょう。
少しずつですが、計画にシビアな現実を反映していきます。
ここまでは理想に任せて計画をしてきましたが、現実との擦り合わせを進めます。
現実離れした計画では途中で挫折してしまったり、完成しても管理が出来ずに庭が荒れてしまうなど、残念な結果になってしまうからです。
予算は多くの方が真っ先に思い浮かべると思いますが、出来上がってからお庭の管理に費やす事が出来る時間や労力なども考えていきましょう。

お庭は住まいにおいて成長する空間でもあり、生活が反映される"写し鏡"のような、なんとも不思議な関係が築かれがちです。
あまりに忙しかったり、管理ができない・しづらいなど、心の距離ができると庭は荒れやすく、あなたの心が穏やかであれば木々や草花は元気に育ち、日々をより穏やかな気持ちにしてくれる場となるでしょう。
お庭がある暮らしを楽しむ為には、そういった「気持ち」の面も含め、現実とのバランスはとても大切なのです。
ここからはそういった「バランス」を捉えていきましょう。

描いたイメージを、スケールを決めて簡単な平面図にしてみるのがおすすめです。計画がより具体的になっていきます。

【分かりやすく1/100で描いてみる】
ふだん図面を描かない方のほうが一般的には多いかと思います。
前述した内容と少し重複するのですが、
お手元にご自宅の図面があれば、コピーをとって鉛筆で描きこんでみるのがおそらく最も手軽・簡単です。
(デジタル環境が得意な方はデジタルでも良いと思います)
一から描く場合でもどちらでも、スケール(縮尺)は1/100がおすすめです。
100分の1がなぜ「わかりやすい」のかといいますと
たとえば10mが10センチになるので、紙の上でもイメージをとらえやすいのです。(このあたり、趣味でプラモデルを作る方はスケールを掴みやすいかもしれません)

スケール感はとても大切です。通常の生活では俯瞰でお庭を見る事は無いと思いますが、客観的に見てみると気づくことが色々と出てきます。

【全体を把握する】
お住まい全体からお庭を捉えてみましょう。
敷地を全て描き、できるだけ正確に建物の位置を描きます。
敷地の北側がどうなっているかや、駐車場などといった既存の構造物も描きこんでみましょう。
(これは図面のコピーに描きこんでいくと手間が省け、手軽だと思います)

【可変条件と不可変条件をとらえる】
変えることの出来ない「絶対条件」と、これは実現したい!という希望を把握しましょう。
そのためにも、日照や隣地や道路などの位置関係といった「条件」を図内に描きこみます。
距離や情報、数値といったものを必要に応じて、近くにメモしておくとよいでしょう。

【お庭の活動イメージを描きこむ】
型を決める事はありませんが、
「そこそこイメージはあっても具体的にはどんなお庭が良いか悩んでいる」
そんな場合は次のタイプを参考にしてみて下さい。
①小径を回りながら木々や草花、池など自然を楽しむ「廻遊型」
②庭で過ごす事をメインとした「オープン型」
③両方の特性を持った「ハイブリッド型」
 
自分が①~③のうちのどのタイプが好きなのか・作りたいかを考えていくと、お庭での活動イメージもより具体化してくると思います。
お庭での目的を考えながら、やりたいことや作りたいもの、植えたいものを少しづつ描きこんでいきます。具体的には必ず必要な構造物(例・目隠しフェンス)や、動線(例・道路から玄関までの動き)といったものがベースになっていきます。
動線や構造物を配しながら、植物をどこにどのぐらい植えたいか、というイメージを描きこんでいきます。
花や木の特性を考慮して…と言いたいところですが、植物の種類や名前がわからなければ、これもイメージで構いません。樹木の大きさや植える位置などだけを、先におおよそ考えてみます。
その場合、「お世話が簡単な常緑樹(高さ●mくらい)」「ハーブ」「白い花が咲くもの」といった希望や条件を横に書き込んでおくとよいでしょう。
もちろんお好きな木や花があれば、具体的に名前を書いてみましょう。

ここまで描きこんでいるうちに
何だかこの幅だとアプローチが太いかもしれないぞ?
花壇が小さいかな?大きすぎるかな?
ここにフェンスが必要ではないか?
など、新たな発見や疑問が浮かんでくることもあるかと思います。
ここであなたが感じた疑問は、ほぼ間違いないと思って下さい。
「素人だから」「植物や工事の事が分からないから」と自分の感覚を否定せず、素直な疑問や意見を大事にして下さい。
あなたのためのお庭です。遠慮することはありません。

さて、これまでのその1その2と比べて、その3はグッと踏み込んだ作業内容になりました。この通りにご家庭で、イメージや計画を図にしっかりと落とし込める方ばかりではないでしょう。
お庭をご自身ですべて作りあげるのが難しい場合、計画作業の途中から、プロの業者さんと一緒にイメージを形にしていくこともおすすめです。予算も含め、「どういった業者さんに相談すればいいのか」という方向性を掴むためにも、今回の作業はとても意義のあるものだと思います。
業者さん選びについては、下記の記事がご参考になりましたら幸いです。


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