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「月がきれいですね」シナリオ

①大麦こむぎさんの『月がきれいですね』

https://note.com/komugi1992/n/ne3acd6771790


何者なのか?少女がなぜ「すき」を取り上げてしまったのか?取り上げられた言葉は、人々にとって生きていく中でどんだけちっぽけんものだったのか。水平線の上で浮かんでいた気持ちたちがだんだんと水を含んでゆっくりと沈んでいく。
人々の絆の成長ストーリー。


◯街中

日々の人々の生活の絵が移り変わる
裸足の可愛らしい子供の足が見える
そしての足はジャンプする
人々が行き交う、しかしそれは皆ストップモーションでモノクロで
色づかれていない
後ろ姿の少女が見える
彼女はすまして振り向く、そしてイタズラっぽくニヤリとする
両手にはハートのようなモノを持っている。

◯地下鉄

電車の扉の隅で伊藤明美(23)が次の駅の表示を確かめる
目的地まで後二駅、地下鉄の暗闇を鏡に見慣れない自分に照れながら髪を触る
カバンからリップを出して塗り直している

明美が待ち合わせ場所で震えながら待つ
すると、武田裕也(23)がやってくる
裕也が彼女を遠目から発見して手を振りながらやってくる
照れる明美
裕也「待った?」
明美「大丈夫。」
裕也「あの・・・さ、」
明美「なに?」
裕也「めちゃくちゃ、さ・・・」
明美「なに!」
裕也「あの・・・なんか・・・アレ?」

少女がスキップしながら二人の後ろを過ぎていく

明美「なになに!」
裕也「あれだよ!なんて言えばいんだろ!あの・・・あ!ばぁちゃんがよく言う、目に入れても痛くない・・・みたいな?」
明美「何それ」
裕也「いやいや、でもそういうこと」
明美「全然嬉しくないんだけど」
裕也「なんで、褒めてるんじゃん」
明美「もっとあるでしょうがよ」
裕也「いいじゃん、もう行こうよ 」

二人待ちを歩く、明美、足を止めてショーウィンドウに移る姿をみてため息をつく
男に声をかけられて、小走りで駆け寄っていく
ショーウィンドウにそのまま少女、明美と同じように真似をする
そしてケタケタ笑いまたスキップをして過ぎていく

◯ライブ会場

アイドルのライブ後、チケットを握りしめて列に並んでいる
前方ではライブのアイドルの女の子たちが横一列に並び、それぞれ彼女たちの前に列が出来ている
チェキを撮ったり、楽しく話したり、握手を求めたりしている
川本孝雄(32)順番が回ってくるまでそわそわしている
すると隣の列に並んでいるオタク仲間のザキ氏が話しかけてくる

ザキ氏「ゆみみん、なんかファン増えたんじゃない?」
孝雄「そうだね・・・」

人の隙間からアイドルグループ「Crtias」のメンバーの一人ゆみみんを見ようとしている

ザキ氏「じっとしてられない気持ちはわかるぜ、インフルと仕事とか何やらで三週逃
してるもんね…あ!あけみーん可愛いなぁ…」

ゆみみんが両手で口を抑えながら可愛く笑っている

孝雄「はぁっ!(ゆみみん、今日のために頑張ってきたんだよ〜…)」


孝雄の視界の隅でアイドルに混ざって一緒に手を振ったりしている少女
なぜかそこにも列が出来ている


孝雄の順番まであと一人
突然、ゆみみんがフラつきメンバーの方へ倒れかけその場に崩れ落ちてしまった
孝雄「ゆみみん!!?」

周りで待機していたスタッフが駆け寄り、状態を確認し袖の方へと連れて行かれる
そして別のスタッフが周りに声をかけている

スタッフ「皆様、大変申し訳ありません、越後ゆみの列のファンの皆様本日の越後ゆ
みのチェキ会は終了といたします。」

ざわざわと越後ゆみの安否を心配するファンの声が聞こえてくる

スタッフ「他メンバーは続行とさせていただきます、振替可能ですのよろしければお
並びください。」

スタッフが誘導している中で、端っこに追いやられた孝雄、手にはチケットを握り
しめている

孝雄「ゆみみん・・・」


◯部屋

加藤いくみ(30)がベッドで横たわりながら漫画を読んで悶絶してる

いくみ「ぐはぁ〜〜〜〜〜〜!『離れるなって言ったろ!!お前に何が出来るんだ、俺のそばに居ればいいんだよ・・・』宗四郎様〜〜〜!!」

スマホが鳴る
友達の相田真帆(32)からの連絡、それよりも今の興奮状態をLINEスタンプで送り
まくる
賛同する真帆のスタンプが返ってくる

いくみ「素晴らしいよ、こんなに人の心臓握りしめて楽しいのかこの野郎。神さまが
本当に居るなら宗四郎様を召還してくんないかな〜」

部屋の本棚に並ぶ作者『タカノユキタカ』の作品で埋め尽くされている
その本を抱きしめてベッドの上で暴れる今年で31になる独身女

◯スタジオ/和室

格子のバックシートが敷かれ、アンティーク調の洋風な椅子が置かれている
そこに新郎が先に椅子の横にたち、スタッフに手を引かれ新婦が椅子の前に立つ
きめ細やかな鶴が描かれた美しい白無垢の衣装をスタッフが丁寧に整えて新婦を座
らせる
スタッフがまだ整えている中、新郎新婦は微笑みあっている

カメラマン「はい、じゃいきますよ〜・・・ハイッ!」

×××××

30年前に撮られた写真を眺める柳 道子(53)、押入れにしまった物をだす途中だ
った
柳 加子(23)が部屋に入ってくる

加子「お母さん、あのシャツさ・・・何してんの?」
道子「別に・・・」
加子 「あれ!?それお母さんたちの結婚式の時の写真?」
道子「そう」
加子 「へぇ〜お母さん、若い!」
道子 「当たり前よ、そうそう今のあんたと同じ年だったよ。お腹にあんたいるんだよ」
加子 「え!?そうなの、ていうか私の今の年でお母さん結婚・・・子供いたの!」
道子 「そうだよ」

二人でまじまじと見る

加子 「お父さんまだ髪の毛あるね」

二人で笑う

道子 「お父さん、昔は結構カッコ良かったんだよ〜・・・はぁ。さ、晩御飯の準備
しよ」
加子「・・・・」

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