[006] 全盲的衆院総選挙に関する覚書。音訳とか点字投票とか。
2024年10月27日は第50回衆議院議員総選挙の投票日でした。先週アップした記事から数日経過した10月24日(木曜)、無事選挙情報が収録されたCDが我が家に到着したわけです。
届いた封筒には計4枚の音訳CDが同封されていました。1枚目、投票方法に関する案内(Audio CD)、2枚目、国民審査の広報(デイジーCD)、3枚目、小選挙区の選挙広報(Audio CD)、4枚目、比例代表の選挙広報(Audio CD)。なおないようについては私の在住する地域のもので地方により異なると思われます。
小選挙区と比例代表のCDは県の選挙管理委員会、国民審査は日本盲人福祉委員会の「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」が製作を担当。これらを選管が取りまとめ(私の場合は)登録している点字図書館を通じてまとめて届くのです。これまでの選挙では普通郵便で発送されていましたが、土曜配達が廃止されたため万が一を考慮してか速達郵便で送られてきました。とにかく一般向けの広報が出されてから音訳を始め、校正してCDを製作し選曲ごとに分類、発送するという作業をこの短期間で完了する労力にはただただ頭が下がる思いです。何せ音訳と同時に点訳と拡大印刷板も製作するわけですし。
とはいえ関係者の尽力をもってしても、情報がとどくのは投票日の3日前というのはやはり公平性に欠けるのではないかと感じます。そうなるとやはりネットの活用へシフトする流れは避けられないと思うのですが、一方、アナログによる情報を必要としている方々もいるわけで、必然的に選管の作業量はさらに増えてしまうことになります。候補者からのテキストデータ提供義務化やAIの活用などによる省力化を図りつつ、一日でも早く、加えて全国一律に情報を届ける仕組みが実現してくれることを望みます。
さて投票日は家族とともに投票所へ向かい、点字にて投票しました。Xでは期日前投票で投票用紙を間違えて渡されたトラブルが騒ぎとなっていたこともあり、いつもより投票用紙を注意深くチェック。渡された紙には点字が打ってあり(おそらく投票の種別を表している)、きちんと点字投票の用紙であることを確認できました。なお投票日でも全国各地で用紙の配布ミスが発生していたようですが(北海道、秋田、三重、兵庫)、通常用紙に点字で投票したとしても無効になることはないとのこと。これ私も初めて知ったのですが、この情報が選管にも有権者にも周知されていないことで、騒ぎが無駄に大きくなっているような気がします。もちろん間違えないことに越したことはないのですが、選管の経験不足や情報共有など様々な要因があり、間違えることはある意味仕方がありませんが、いかにしてリカバリーできるかが問われてきそうです。
ただ個人的にどうなのよと思うのは、国民審査の点字投票の方法。通常では投票用紙に対象の裁判官の氏名がリストされており、罷免したい裁判官に「×」をつければ良いのですが、点字投票の場合罷免したい裁判官の名前を記入する必要がある。正直なところ非常に手間も時間もかかる上、もし6人全員を罷免したい場合、投票用紙に書ききることができるのかいささか疑問です。この点は以前から問題とされていますが、いまだに改善される気配はありません。
さて多分前回の参院選の時にも同じようなことを書いたような気もしますが、視覚障害のある有権者に対し、もっと点字投票をアピールしても良いのではと思うのです。私は基本点字は読むことができないのですが、投票だけは点字で行っています()Xのポストを読むとそのような視覚障害者は少なく無いようです)。点字を流暢に読むためにはかなりの訓練を必要としますが、打つだけなら千円ちょっとくらいの点字器があれば比較的簡単に習得できる。自分の打った文字であれば、ゆっくり触れることで確認できますしね。
結局のところ、点字未経験者が展示投票してみたいと思ったとしても、リソースがとても少ないというのが現状なのです。スクリーンリーダーで利用できる50音表とか、点字投票の細かいチュートリアルがあるだけでも違ってくるような気もするのですが。点字で投票する有権者が増えれば選管の経験も向上し、今回のような投票用紙のミスといったトラブルも解消されるかもしれませんし、これをきっかけに減少し続けていると言われている点字ユーザーの回復にもつながるような気がします。来年には参院選がありますし、情報アクセシビリティにしろ投票方法にしろ、より良い選挙に向けた前進があることを期待するところです。
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