ベトナム戦争概略 (ベトナム語キーワード付き)
ベトナムといえばベトナム戦争を思い浮かべる人も多いですが、その内容をきちんと知っている人はあまり多くありません。
今回はベトナム戦争をあまり知らない人のためにベトナム戦争のあらましをわかりやすく解説します。大事なキーワードにはベトナム語訳と注(※)もつけておきました。
ベトナム語を上達させるためには単語や発音といった直接的な知識だけでなく、その国の文化や歴史などの間接的な知識も学ぶべきです。
なぜなら言語はそれ単体で成り立っているのではなく、文化や歴史に下支えされてるものだからです。ベトナム語が本当の意味で上達できるかどうかは、ベトナムに関する様々な周辺知識を持っているかどうかが実は大きく左右します。
ベトナムの歴史を学ぶことはベトナム語学習にもつながると思って読んでみてください。
ベトナム戦争概略
1945年、ベトナムを占領していた日本軍が太平洋戦争に負けて撤退すると「ホー・チ・ミン(Hồ Chí Minh)※1」 が「ベトナム民主共和国(nước Việt Nam Dân chủ Cộng hòa)」(北ベトナム)の独立を宣言します。
しかし、旧宗主国のフランスが植民地支配を再度願い、ベトナムに舞い戻ってきます。こうして独立を求めるベトミン(Việt Minh)※2 軍と、支配を継続したいフランス軍との戦争が始まります。これが「第一次インドシナ戦争(Chiến tranh Đông Dương lần thứ nhất)」です。
1954年、ベトナム北西部にある「ディエンビエンフーの戦い(Chiến dịch Điện Biên Phủ)」でフランス軍が大敗し、ベトナムから撤退します。同年の7月に「ジュネーブ協定(Hiệp định Giơ-ne-vơ)」によって「北緯17度線(Vĩ tuyến 17 Bắc)」を軍事境界線としてベトナムが南北に分断されます。
その翌年の55年にはアメリカが支援する「ベトナム共和国(nước Việt Nam Cộng hoà)」(南ベトナム)が成立します。アメリカが南ベトナムを支援する理由は、ベトナムが共産主義化すると、次々に他のアジア諸国も共産主義化するという「ドミノ理論(Thuyết domino)」に基づいたものでした。
こうしてソ連と中国を後ろ盾に、ホー・チ・ミンを中心とする北ベトナムと、アメリカが支援する「ゴ・ディン・ジェム(Ngô Đình Diệm)」政権が中心の南ベトナムとの対立構造が出来上がります。
ゴ・ディン・ジェムは独裁者として仏教寺院などの反対勢力を厳しく弾圧しました。これに抗議した僧侶が焼身自殺するという事件も起こります※3。
腐敗した南ベトナム政権に反対する運動の中から、1960年に旧ベトミン勢力を中心に南部に「南ベトナム解放民族戦線(Mặt trận Dân tộc Giải phóng miền Nam Việt Nam)※4」が樹立されます。南ベトナム国内ではサイゴン政権と北ベトナムに支援される解放戦線との内戦が始まりました。
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