【疎開日記2021】#10 Gの襲来、Aの逆襲
6月18日(金) 疎開生活18日目
昨日の夜は大変だった。一番恐れていたことが現実となったのだ。
それは、Gの出現。Gと言えばおわかりだろう。
わたしは「ごきげんよう、おひさしぶり」と呼んでいるが。
夕飯の準備にキッチンに立つのは4時過ぎ。いつものように味噌汁用の小さな鍋を火にかけようとして、視界の左端に何か動くものを察知。ヤツが苦手なわたしは、こういう時の勘が冴えている。大抵当たる。
ハッと後ろに飛び退くと、案の定その蠢く小さなものはGだった。
まだ良かったのは、小さいヤツだったということ。キッチンなので、殺虫剤を使うことは躊躇したが、できるだけ隅に追いやってからシュッとひと吹き。
ひっくり返ったのだけ確認したら、立ち位置はそのまま、手だけをぐっと伸ばして火を止め、そのままキッチンを離れる。
頑張った、頑張った、わたし。あとは夫に任せよう。
娘を怖がらせてもいけないので、素知らぬ顔でリビングへ。夕飯は後でどうにかすればいい。まずは夫の帰りを待つのみ。こんなこともあろうかと、サイゴンで買っていたコンバット。使いたくはなかったが、出会ってしまったからには使わなければならない。
夫が帰宅したのち、ひっくり返ったアイツを片付けてもらった。出没しそうなポイントをチェックしてもらったら、上の戸棚に何匹もいた。そこには、オーナーが置いていた調味料が仕舞い込んであった。
それらを全てやっつけて、出入りしそうな穴を塞ぎ、コンバットを仕掛けたのが昨夜のこと。やったのは全て夫だが。
そういえば、この部屋、まだ姿を見たことがないが、夜10時を過ぎるとヤモリの鳴き声がこだまする。かなり大きい声なので、なかなか大きい個体だと思う。キッチン方面から聞こえてくるが、どこに住みついているのかは未だ不明。
ヤモリがいるということは、多分餌になるものがいるんだろうなとは思っていた。でも、いてほしくない、信じたくない、その一心で見て見ぬ振りをしていた戸棚の中。うっかり開けたりしなくて良かった。
夫ができる限りのことをしてくれたとわかってはいても、ドキドキが止まらない夜を過ごし翌朝。
コンバットを仕掛ければ、姿が見えなくなるというのはわかっているのだが、翌日はキッチンにできるだけ立ち入りたくない。
だって、仕掛けたら、まずはそれを食べに来るだろうから。食べ終わって、巣に帰って、巣で全滅、というシナリオ通りに進むとしても、まずは食べに来てくれなければお話にならない。食べに来た時に鉢合わせしたくはない。
恐る恐るキッチンに行き、電気をつけると…
足元にはっきり線で見えるほどの蟻がぞろぞろと歩いていた。
Gの次はA。引っ越してきたその夜に、秘密兵器MAXFORCEで大量虐殺したA達が逆襲にやってきたのか?
行列を辿っていくと、天井に小さな穴を発見。
この穴を塞いでしまえば、ひとまずはいなくなるだろうが、また違う穴からやってくる可能性の方が大きい。通路を確認し、例の秘密兵器を再び仕掛ける。
ぷちゅっと出した途端に、透明ジェルに群がるヤツら。
(写真あり、閲覧注意)
↓ ↓ ↓
3分も経つと、ジェルの辺りはびっしり囲まれて、一時間もするとジェルはすっかり持ち運ばれてしまった。
そろそろいいでしょう。(一通りの懲らしめが済んだ後の黄門様っぽく)
蟻の通路目がけてスプレーを吹きかける。パラパラと飛び散る蟻たち。これで今回も戦いに勝ったはず。後で夫に穴を塞いでもらおうと、スプレーが飛び散ったであろう床を雑巾掛けしながら、勝利の余韻に浸るわたし。
…が、戦いはまだ終わっていなかった。
午前中は蟻との戦いに明け暮れ、Gのことなんかかまっている余裕もなく、慌ててお昼を作って食べる。食べ終わって、ふと下を見ると、今度はリビングに蟻の行列が。
第二ラウンド開始。
同じように出所をチェックした後、ぷちゅっと秘密兵器、といきたいところだけれど、今度はクーラーの穴から出てきているので、壁を伝っている。壁にジェルを塗っても垂れてきてしまうのだ。
あまり下まで来てほしくないし、下のは早めに片付けてしまいたい。壁の途中で足止めしておこうと、壁に少しずつジェルを塗りつける。
(写真あり、閲覧注意)
↓ ↓ ↓
ジェルに吸い寄せられて群がる蟻達。全て吸い終わるのを待って、一気に勝負に出る。床を張っているものにはスプレーを吹きつけ、帰る場所が分からず慌てるはぐれ蟻をやっつけて、蟻の死骸を片付けてスプレーの跡をきれいに拭く。
ふぅ〜、やれやれ。ひと仕事終わった。
あまりにもじっくり蟻を観察しすぎたせいで、目をつぶっても残像が焼き付いて離れない。何を見ても、蟻に見える。小さい黒いシミや、ゴミが目に入るたびに、ビクッとしてティッシュで潰してしまう。
まだしばらくブンタウ生活は続きそうなので、まだまだ続くと思われる虫との戦い。
子どもの頃に見た部屋中が蟻に埋め尽くされる映画、トラウマになっているかもと思うほど怖かったあの映画、今晩の夢で出てこないといいな。
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