【疎開日記2020#22】 行きはよいよい
4月30日、疎開生活31日目。
ベトナムは今日から4連休です。祝日がほとんどないベトナムでは、2連休、3連休だって貴重なのに、4連休って奇跡です。数年に一度の奇跡!
なのに、どこにも行けず…と思っていたら、会社の車でホーチミンまで行けることになりました。
連休なので、ホーチミンへ買い出しに行く人もいるようで、我が家も一回うちへ帰り、買い出し&必要な物を取りに行けることに。
昨日の夕方にそれを聞き、慌てて計画を練りました。うちに着くのが10:30過ぎだとして、帰りの時間は16:00頃、滞在時間は5時間半です。持っていく荷物をまとめて、買い出しをして、お昼も食べて…そう!髪も切りたい!
いつも行っている美容院に電話をすると、案の定予約はいっぱいとのこと。午後13:30に若干の空きありとのことで、夫と二人の予約を取りました。
食べたい物もたくさんあるけれど、友達のところにも行きたいし…時間が足りない!でも、どうにかするしかない!
さて、連休初日。
南部解放記念日のこの日、ベトナムでは祝日は旗を出します。旗日です。「旗日」って若い子は知らない言葉ですよね、きっと。
うちを出ると向かいのマンションにも国旗が!
一軒家には旗を出すようにとお触れが回ってきます。マンションでこんな風に国旗が飾られているのは初めて見ました。
朝8時、車に乗ってホーチミンへ向かいます。町中に国旗がはためいている様は圧巻です。
1ヶ月ぶりのホーチミン。やらなきゃいけない事がいっぱいでバタバタだろうけど、ホーチミンへ戻れるというだけで心が躍ります。
連休初日の朝の高速道路、ホーチミン へ向かう道はガラガラ。反対車線は大渋滞。みんな長く続いた外出禁止で溜まった鬱憤を晴らしに行くんでしょうか?遊びに行くのか、帰省するのか、うんざりするほど続く車の列ですが、みんなどことなく楽しそう。
全く渋滞がなかったので、ホーチミンの我が家に着いたのは予定より少し早い10時過ぎ。バオベー(守衛さん)のおじちゃんが「どこ行ってたんだ?帰ってきたのか?」と聞きます。留守にすることも伝えずにバタバタっと出て行ってしまったので、急に見かけなくなった我が家を心配していてくれたようです。ありがたい事です。
部屋に着くと、あぁ、帰ってきたんだなとホッとして涙が出そうになりました。締め切っていた窓を開け、風を通し、冷蔵庫に残していったものを確認。この1ヶ月停電はなかったようです。オーブンの時計が00:00でパカパカしていたら、停電があった証拠です。冷凍庫に残してあった肉類が一回溶けて再冷凍されていると危ないので、停電チェックは本当に重要です。
ゆっくりしている暇もなく、持っていく服を出して、冷蔵庫から持っていくものを選別、娘のおもちゃも追加です。
いつも行っているスーパーへ買い出しに行くついでに、ピアノの先生のところで納豆も買わなければ!Toritaroのソーセージとサーモンの西京味噌漬も予約しておいたので、受け取らなければなりません。友人に頼んで代わりに学校で受け取ってもらっていた娘の漢字ドリルも取りにいかねば!
こういう時に気が効くフットワークの軽い友人達に助けられます。納豆を売っている先生のところに、みんな集まって来てくれると言うのです。11時前、うちを出て先生の家に向かいます。
いつもの道、いつもの店、いつものニオイ、いつもの日差し、昼前のあっつい時間にも関わらず、外を歩くのがこんなに楽しいなんて!完全にホーム、ここはわたしのホーム、心の底からホッとします。
先生のところで納豆を買いながら、娘は借りていく本を選びます。ピアノの先生の家では小さな図書館も開いてくれています。1ヶ月前ブンタウへ行くと言ったら、何冊も本を貸してくれました。それを返して、新しい本を借りて行きます。
そうこうしているうちに友人登場。勝手に人のうちで集合かけてますが、嫌がらずに受け入れてくれる先生にも感謝です。久々だけど、久しぶりじゃないような、いつもと変わらぬ感じで話せる友がいるって素晴らしい。ブンタウ生活で縮こまっていた心が、フワッと解放されていくのがわかります。
名残惜しいけれど、スーパーへ買い出しに行かねばなりません。「行ってらっしゃい!」待っていてくれる人がいるから、帰ってこられる、ここに住んで彼女達に出会えてよかったなとしみじみ…感傷にふけっている時間はありません!
スーパーで買わなければいけない物、最低限これだけは欲しいと思うものだけに絞ります。たくさん買い込みすぎると、ずっと戻れない気がして嫌なので、1、2週間分と考えて買い出しスタート。
・キッコーマンの醤油
小さい瓶入りのは見かけたのですが、料理で使うには足りません。大きいものが欲しい。
・トマト缶
びっくりすることに、ブンタウコープにはトマト缶が置いてありませんでした。ロッテマートまで行けばありますが。パスタやカレー、スープ、いろいろ使えて便利ですよね。
・コーン缶(クリームタイプ)
ホールのコーン缶はありましたが、クリームタイプはありません。娘がコーンスープを飲みたがっていたので、2つばかり購入。
・ひよこ豆缶
これまた缶詰です。余っても保存が効くので。ホーチミンには外国人が多いので、いろんな豆類が売られているのですが、ブンタウにはほとんどありませんでした。どの豆にしようか迷って、いろいろ使えるひよこ豆に。
・ペンネ、マカロニ
スパゲッティはあるんです。でも、それ以外のパスタがない。マカロニはベトナムの物ならあるんですが、あれ美味しくないんですよね。サラダにすると、味の違いがはっきりわかります。
他にうちに置いてあるカレーのルーやコンソメ、ほんだし、ふりかけや海苔などの朝ごはんのお供類、日本のお菓子なんかも持っていくことにしました。
あっという間に11:30、お昼を食べてから美容院へ行かなければなりません。時間がないので、美容院近くの友人のうちでデリバリー弁当を食べることに。友人に弁当を受け取ってもらう話になっているので、タクシーで友人宅へ向かいます。
いもたろうの豚バラと野菜の黒酢あん弁当
娘は海鮮納豆バクダン弁当、夫はトンカツ弁当。お腹いっぱいで、久しぶりに友人ともゆっくり話せて、あっという間の1時間。
友人の店もコロナでお客さんが来ず、商品も売れず。こんな時だけど、いや、こんな時だから、可愛いバッグ買って妄想トリップしたいと思うのはわたしだけか…?
パンガンダラン、ホーチミンのおすすめのお店です。ネットショップもあります。
と、宣伝も終わったところで、次は美容院!2ヶ月ぶりのカットです。
外出自粛が始まった頃、しばらく帰国もできないし、人にも会わないから、いっその事、髪の色ど金髪とかレインボーとかやっちゃうかとふざけて話していたんですよね。
そのすぐ後にサービス業が営業停止となり、美容院にも行けなくなりました。刈り上げは伸び放題で跡形もなく、ボサボサで手のつけようがないわたしの髪。
贅沢は言いません!スッキリさっぱり切ってもらえるだけで十分です!
夫と二人、頭が軽くなりました。小汚かった昨日までの自分にさようなら。
10年くらい前からのお付き合いの美容師さん曰く、コロナで美容院へ行けなかったので、ショートだった人がボブくらいに収まるようになったり、白髪染めをやめる人が増えたり…お客さんにも変化が起きているそう。
わたしはまたしばらく切りに行けないかも…なんて事は考えずに、ガッツリ刈り上げお願いしましたが。
カットが終わり、家に帰るともう3時前です。あと1時間しかありません。部屋でゆっくりしたいけれど、持っていく荷物をまとめて、軽く掃除をしたら、はい!時間終了!
車に乗って、ブンタウへ戻ります。
窓から見えるランドマーク、見慣れたサイゴンの景色。
娘が目に涙を溜めて聞きます。
「何でこのままホーチミンにいちゃいけないの?」
そうだよね、帰ってこられるなら、このまま居てもいいじゃんって思うよね。だけど、まだホーチミンは感染リスクが低い地域に分類されてないんです。会社の危機管理としては、至極真っ当な判断。わたしもごねたいけど、ブンタウに戻るよりほかはありません。
ああ、切ない…。
帰りの車内は行きと全く違う気分。次回高速に乗るのは、サイゴンへ戻れる時でありますように、そう強く願うのでした。
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