【疎開日記2020#25】 ただいま、ありがとう
5月13日(水)、朝9時、只今の室温35度。
暑い、朝から暑過ぎる。だってここはホーチミン。そう、無事に戻って参りました!
学校が始まるのに帰れないー!と、やいやい言っていたのが土曜日。
ホーチミンは予定通り月曜日から学校が始まりました。中3は先週から授業を再開していましたが、残りの学年も月曜と火曜に分かれて授業再開です。間に合いたかったけど、間に合わず。ヤケになって海で遊びまくった週末。
ヤケになりながらも、意外ときっちりさんなわたし。日曜の夜に、明日こそはと期待して、いつ連絡が来てもすぐ帰れるように、荷物は全部パッキングしておいたのです!が…月曜朝から待てど暮らせど、今日帰れるという連絡はなく。
夕方、月曜中には帰れないことが決定し、泣く泣く着替えやらタオルやらを取り出し…それでも懲りずに夜に再びパッキング。いつでも帰れますよ状態をキープしておいたのが良かったのかもしれません。
火曜に急展開。
一時は夫を残し、妻子だけで戻るという話も出ていたようですが、何とか家族3人ホーチミンへ戻る許可がおり、バタバタと夜に戻ってまいりました。
慌てて最後の荷物チェックをする横で、娘が「お母さん、この部屋にどのくらいいたっけ?」と聞いてきました。「1か月くらいじゃない?」と答えると、それを聞いた娘、大きな声で部屋の真ん中でお辞儀をしながら
1か月ありがとうございました!
そうです、こういう気持ちって大切です。娘には気づかされることが本当に多い。
確かに望んできたブンタウじゃなかったし、自分達で選んだ納得できる部屋でもなかった。
前の部屋みたいにトイレが臭くはなかったけれど、排水口が臭すぎて洗い物の時に息を止めていたし、ソファーは破れて座り心地が悪かったし、何より「ゴキげんよう おひさしブリ」が大量発生するこの部屋。
朝昼晩とイカを焼くニオイが充満し、エアコンは使えず、ヤモリの糞だらけだった部屋。
落書きだらけのソファー
ゴミだらけの階段
昼間でも薄暗い廊下
それでも、家族3人一緒に暮らせたんだから良かった、そう良かったはず。
離れていたら、もっと不安だったかもしれない。3人でいろんな思いを共有して、何とか乗り切ったブンタウ生活、ついに終わりを迎えることになりました。
バタバタと荷物を積んで、ようやく帰りの車の中で実感しました。
ブンタウ脱出成功!!!!
暇な時、娘と脱出ゲームのアプリにはまっていたのですが、実生活でもリアル脱出ゲーム。様々なミッションをクリアして、1ヶ月ちょいでようやくフィニッシュ!おめでとう、わたし。おめでとう、娘、夫。みんなよく頑張りました!
高速を下りて、ランドマーク81が見えたら、もうそこはサイゴン。
見慣れた景色にホッとします。アウェイからホームに戻ってきた気分。
ここ数日、暑さに参っていると友人達から聞いてはいたものの、うちに着いてびっくりの蒸し暑さ。噂通り暑くて眠れなさそうなサイゴンでしたが、引越しの疲労感と帰ってきた安心感でぐっすりの我が家でした。
朝、久々に怖い夢を見なかった!と娘の嬉しそうな顔。
大好きなベッドでゴロゴロしながら、あー幸せー!と娘が呟きます。
ホント、よく頑張った!ありがとう、娘。
今回のブンタウ疎開生活、ビックリするくらい連日いろいろありましたが、終わってみれば良い思い出…と言えるほど、まだ自分の中で消化し切れていません。じわじわと時間をかけて、ゆっくり噛み砕いていこうと思います。怖かった思いも、辛かった思いも、娘と抱き合って泣いたあの時の思いも、忘れるんじゃなくて、溶かして吸収していきたい。
3月末、今となっては遠い昔のことだけれど、あの時ホーチミンから喜んで帰国した人もいるはずだから、なんていうか、自分の強いサイゴン愛にも気づいた今回のブンタウ疎開。
離れていても支えてくれる友達がいて、戻ったら食べたい、行きたいと思う場所があって、何よりも一番落ち着く我が家がある町、ホーチミン 。わたしはサイゴンって呼ぶ方が好きだけど。
やっぱり、サイゴンが好き。
ありがとう、サイゴン!
書くことで気持ちを整理しようと思って始めた疎開日記でしたが、やっぱり自分は文を書くのが好きなんだなと再発見することもできました。
時間を作って、これからも何かを書いていこう、そう決めました。
ブンタウ滞在43日。
これにて、疎開日記の終了!
最後まで読んでくれた人、ありがとうございました。
いつかこのポスターも風化して、破れて、剥がされて…
そう遠くない未来に期待。
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