【疎開日記2020#10】 膝が笑う
疎開生活6日目
4月5日、日曜日です。
気になっている方が多いと思うので、まずはこの話をしなければなりません。
トイレの臭いについて。
結論から申し上げると、臭いは減りました。では、全く臭くないかというと、臭いです。微妙な減臭。ただ、強烈な臭いに慣れ過ぎてしまったためか、もうこのクサさならいっかと思えるほど、臭いに対する許容範囲が広がって来ています。
ずっと部屋にいると、たまに臭いを忘れるほどです。(もちろんドアは閉めてあります)買い物へ行って帰ってくると、あぁそうだったと思い出すのですが。
そんなわけで、解決したようなしていないような、半ばどうでもいいような、面倒臭くなって、もう投げやりなトイレの臭い問題です。きっと、もうどうしようもないでしょう。
今日は日曜日。夫が1週間で一回休める貴重な日です。
が、することもなく、行くとこもなく、そもそも外出に規制がかかっています。マスクをしなければ罰金、ハノイでは不急不要の外出にも罰金だとか。
掃除が終わった後、何をしようか家族会議にかけました。まずはスーパーで買い物、これはわたしの希望。それから、WOWOWで放送しているドラえもんの映画を見ました。これは映画が観たいという夫の希望に、ドラえもんならいいという娘の意見を取り入れたもの。
ちなみに、先月、今月とWOWOWではドラえもん映画全作品が放送されます。これを制覇するぞ!というのが目下わたしと娘の目標です。子どもの頃に一番怖かった海底鬼岩城でしたが、見直してみると魔界大冒険の方が怖かった…。そして、毎回思う「ここで〇〇を使えばいいのに、なぜ使わない?」というドラえもんに対する疑問は娘も感じるようで、「もう!」と憤りさえ感じながらのび太達を応援する娘の姿は、微笑ましい以外の何物でもありません。親バカです。娘、可愛すぎます。
話がそれました。休日にすることについて、でしたね。
最後にもう一つ、それは身体を動かしたいという家族全員の希望。部屋で音楽をかけながら踊りたいという娘。何回でもラジオ体操をしたいというわたし。外へ出たいという夫。3人の意見を採用して、こういう流れになりました。
部屋でラジオ体操で準備体操をしてから、
→マンションの階段へ行き、好きなだけ上り下りし、
→戻ってきて、踊る、これも好きなだけ
引きこもり生活になってから、ほぼ毎日ラジオ体操をしています。子どもの頃は一体何に効くんだろうと思いながら体を動かしていましたが、この年になると一回やるだけで結構しんどかったりします。あんなところも、こんなところも、体が効率よく動かせるので、本当に重宝しています。
昔、多感だった頃は、日本国民のほとんどはこの曲を聞くだけで自然に体が動いてしまうということに、恐怖すら感じていたラジオ体操ですが、今ではそんなこと全く気にならなくなってしまいました。年を取るってこういうことですね。
そんなわけで、いつものようにラジオ体操第一を終えた後、軽い足取りで階段へ向かいました。
ベトナムのマンションは火災報知器の誤作動が多く、報知器がなってもほとんどの人が「またか」という感じで動きません。
前にホーチミン1区のビンコムセンターのオフィスビルに勤務していた時、ボヤ騒ぎがありました。非常ベルが鳴っては止み、鳴っては止みを繰り返していましたが、誰も動じず。食後の昼寝をしている人も。
ちょうど昼休み中だったので、ランチで外に出ていた社員から連絡があり、「3階ぐらいから煙が出ているから、全員避難するように!」と言われて、慌てて階段で外に出ました。幸い怪我人もなく数時間後には何事もなかったようにビンコムセンターは営業を再開したのですが、数千人もの人々が隣の公園に避難してくる様は今でもはっきり覚えています。
避難訓練になれていないせいか、誰も本気にしていないのか、階段を下りながら動画を撮ったり、記念撮影をするベトナム人に紛れて、本当に火事だったら確実に死ぬなと思ったものです。
そんな訳もあって、うちはあまり高い階にある部屋には住まないようにしています。そして、どのマンションへ引っ越しても、まずは階段をチェックします。日本のように歩くことが少ないベトナム生活、驚くほど身体が鈍るので、わざと下の階でエレベーターを降りて、階段で帰ったりもします。嫌がる娘も有無を言わせず強制参加です。
ベトナムのマンションの場合、大抵階段には掃除のおばちゃんが休憩しています。どこかの部屋が工事をしているときなんかは、工員さんが昼寝をしていることも。階段を歩こうと思いつく人なんてあまりいないんでしょう。わたし達が歩いていくとギョッとされます。
今のマンションは非常階段がドアで仕切られていません。火災の時に逃げる手段にならないなと思いますが、陽が当たって明るいし、子どもが遊んでいたりしていい雰囲気です。
我が家の3人は14階から一番上の階まで歩いて行ってみることにしました。
ホーチミンでは定期的に筋トレをしたり、公園で走り回っていたのに、ブンタウへ来てからは部屋からほとんど出ずに座りっぱなしの生活でした。1階分上っただけで、娘が疲れたと言い始めます。
いやいや、まだまだ。ダラダラしてると置いていくよ!スパルタ式です。夫と2人で娘を置いてぐんぐん上って行きました。半ベソをかきながらもついてきた娘、よくやった!
廃墟のようになった最上階をのぞいて、すぐに14階へ引き返します。屋上には出られなかったねと残念がって見せましたが、内心出られなくてよかったとホッとしました。高所恐怖症なんです、わたし。
さぁ、休んでなんかいられません。帰りは娘の方がペースが早いよう。中年は膝にくる…
半分くらい戻ってきた時、ふと、ふくらはぎに違和感を覚えました。踊り場に立ち止まると、あらま!膝が笑ってる!
カタカタ音でも立てそうなくらい、足がブルブルと震えているではありませんか。たった7階分上ってきただけなのに。筋力の低下ぶりに自分でもびっくり。
もう一往復する?と話しかけてきた夫に、大笑いしている膝を見せ、ギブアップを伝えるわたし。く、悔しい…体力の限界!(千代の富士風に)
なんと、それからまるまる3日間、ふくらはぎがバキバキの筋肉痛になり、わずかな段差ですらヒーコラ言うほどの痛みと戦うこととなったのでした。
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