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【疎開日記2021】#6 海風に吹かれて

6月6日(日) 疎開生活6日目

KPP(顔パンパン)のせいでやる気が出ず、ただただするべき事を淡々とこなしたここ数日。何をしていたか、はっきり覚えていない。

洗濯をするたびに、ベランダにおじちゃん達(いや、よく見たらお兄ちゃん達だったけれど)がやって来るので、干しては取り込み、干しては取り込みの繰り返し。
朝ベランダを確認し、今日もロープが下されているなとどんよりする日々。

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ブンタウは海の街。なかなか風が強い。
サイゴンより雨季らしいスコールが来るので、風が吹いて来るとお兄ちゃん達が心配になる。

洗濯物は外に干してもカラッと乾かない。海風のせいだろうか。ずっと干していても、どこかしっとり湿っている。
特に夕方になると、一回乾きかけた物がまたしっとりする感じ。エアコンの入った部屋で部屋干し、かつ扇風機の風を当てていた方が乾きが早い。


顔の腫れは徐々に引いていき、まるで急に何十歳も歳をとったかのように皺だらけのわたしの顔。目の下のシワは昔、教育テレビでやっていた「ピコピコポン」に出て来るガルガリ博士のようだと言って、即座に思い浮かべられる人が何人いるだろうか。

そうだ、保湿だ。今のわたしの必要なのは保湿に違いない。

美容に全く疎いわたしではあるが、このシワはいただけないなと少し考えた。シワだけではない、肌の表面がガサガサで痒い。何かしなくては。

が、保湿クリームどころか、化粧水や乳液さえも、基礎化粧品を何も持っていない40代。持っているのは洗顔用の石鹸のみ。

30代まではそれなりにケアしていた。とはいえ、海外に出るようになってから、必須条件が「かさばらずに持ち運べて、手軽に使える物」となり、結果オールインワンジェル一択の生活だった。子育て中も楽で時短のオールインワンジェルには助けられた。

が、38歳の時に急に肌の質が変わり、どんな化粧品も受け付けなくなってしまったのだ。お肌の曲がり角、というか、もう突き当たり。

そんなわけで、ベトナムへ来てからは日中は石鹸で落ちる日焼け止めを塗り、夜に石鹸で洗顔するのみの生活をしていたわたし。たまにもらったパックをすることはあるけれど、特に何もしなくても困らなかった。ベトナムの湿度のおかげだろう。

コロナによるほぼ鎖国状態のベトナム。一度離れると再入国が難しいので、一時帰国ができないこの一年で、石鹸で落ちる日焼け止めも底をついた。そんな時に出会ったのが、例のオーガニックオイルだったのだ。

ニキビ、ニキビ跡、アトピー、乾燥、火傷、日焼け、角質除去、虫刺され、シミ、シワ…などなど皮膚のあらゆる悩みを解決してくれる「奇跡の万能薬」とも呼ばれるそのオイル。抗酸化力がとても強く、シミ、シワ、たるみに効果があり、日焼け止め効果まである。筋肉痛、神経痛にまで効くという。
これ一本で他は何もいらない。今後ずっと使えるではないかと本当に喜んでいたのに。まさかわたしの肌に合わないとは…とほほ。


さて、保湿と言っても何を買うべきか。そもそもの化粧品に対する知識がないわたし。サイゴンより明らかに品数の少ないブンタウで、敏感肌と分類されるわたしの肌に合うものは見つかるのか。

去年のテト休みに一時帰国した時は、日本の乾燥具合に耐え切れず、カサカサ粉をふいてきたので、ニベアを塗りたくってなんとか凌いだ。顔だけじゃなく、全身に使えて便利だったニベアの青缶。こっちでは見かけない。

薬局で薬剤師のお姉ちゃんと相談すること20分。
実は前日にお兄ちゃんに相談したのだが、お勧めされたのは拭き取り用のメイク落としだった。モイスチャーって書いてあったけれど、さすがにそれはない。お兄ちゃんは諦めて、翌日お姉ちゃんのいる時間を狙って薬局へ向かったのだ。

で、お勧めされたのはコレ。

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韓国のものらしい。お値段はちょっとしたけれど、他に選択肢はなさそうなので仕方がない。普段数万ドン単位の物しか買わないので、50万ドン以上の物を買う時はドキドキする。


使い始めて2日。カサカサが減り、飲み薬の効果もあってか痒みも減り、なんとか見られる顔になってきたのは6日、もう日曜日だ。

ガルガリ博士の面影は残したままではあるが、腫れはひき、以前の目力を取り戻しつつある。

せっかくブンタウにいるのだから、海までお散歩に行こう。


ようやく気持ちが前向きになってきたので、家族みんなでお散歩に出かけることにした。

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遊泳禁止のブンタウの海。
砂浜にも入ることができないので、静まりかえっている。誰もいないので、ゴミがなくてきれい。お散歩にはちょうどいい。

民宿が集まっているエリアはひっそりとしていて、ロビーのソファーでおばちゃんが寝ていたりする。コンビニもほとんど閉まっていた。もちろん土産物屋の屋台も出ていない。

昼間に歩いているのは酔狂な外国人くらいなものだから、ひったくり等には気をつけなければいけないが、外を歩くのは気持ちが良くて、ついついはしゃいでしまう。

普段あまりコンビニへ行かないけれど、開いているコンビニを見つけて嬉しくなって入ってみた。スーパーと若干違う品揃え。コンビニは苦手というと笑われるけれど、落ち着かないのだから仕方がない。けれど、たまに見るのは楽しい。

そこで、懐かしのメロディーポップスを発見!

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中の棒を引っ張ると音階が変わる飴の笛。遊んでいるうちによだれでベトベトになるから注意が必要。これ、日本でもまだ売ってるのかな?

良いおもちゃが見つかったので、散歩から引き上げることにする。
帰宅して、家族三人で飴を吹きながら映画鑑賞。

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中に楽譜まで入ってた。知らなんだ、びっくり。

部屋に戻って少しすると、強風が吹いて窓の外が真っ暗に。
来るぞ、来るぞ、スコールだ。

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明るいうちに散歩ができで良かった。海風に当たって歩いたおかげで、程よい疲労感。全身がしっとりしている感じ。全身に血が巡って、久々にお腹が空いてきた。

夜はブンタウ名物バインコットのデリバリー。
娘がシーフードチャーハンを食べたいというので、チャーハンがあるこの店にしたのに、注文後に米がないと電話がかかってくる。

あっ、この感じ、思い出した。
去年もロックダウン後にこの店にチャーハンを注文して、米がないって断られたんだった。ここはいつも米がないのか?

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チャーハンの代わりにバインセオを注文。

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米が食べたかったけれど、とにかく美味しかったので良し。

なんだかんだで充実した日曜日を過ごした。ブンタウ生活ももうすぐ一週間。

ホーチミンは毎日十数人ずつ感染者が増えている。隔離された人たちだというから、市中感染は起こっていないらしいけれど、まだまだ油断はできない状況が続きそうだ。

来週はどんな一週間になるだろうか。美味しくご飯が食べられていれば、それだけで幸せなはず。ブンタウの美味しい物をいっぱい調べなければ。


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