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『ティ・マイ~希望のベトナム~』映画レビュー

スペイン語題名:Thi Mai, rumbo a Vietnam
邦題:ティ・マイ~希望のベトナム~

制作国:スペイン

制作年:2017年

監督:パトリシア・フェレイラ

レビュアー:藤田いろは(現代社会学部現代社会学科)

主人公のカルメンは、娘のマリアを交通事故で亡くして悲しみに暮れていた。そんななか、マリアが生前養子縁組の準備を進めていたことを知る。養子として迎え入れるのはベトナム人のティ・マイという少女だった。マリアの夢をかなえるため、友人のエルビラとロサを連れてベトナムを訪れたカルメン。しかし、マリアの代わりにカルメンが引き取ることはできないと断られてしまう。数々のトラブルが発生し交渉は難航するが、カルメンはティ・マイをスペインに連れて帰ることができるのか。


内容はシリアスなように思われるが、コメディ映画ということもあり、明るく軽やかに流れるストーリーは気軽に観ることができ、良かったと思う。カルメンが諦めずに無謀な挑戦を続け、絶対にティ・マイを連れて帰るという強い意志を貫いて周りを巻き込んでいくところがこの映画の魅力的な点であると感じた。どんな状況でも決して屈しないカルメンの姿勢は観ている人を元気づけてくれて、エネルギー溢れる作品だと思う。このようにただ笑えるコメディ映画というだけではなく、作品を通して伝えたいことやメッセージ性がしっかり含まれている作品だと思う。


この作品はベトナムで撮影されており、ベトナム現地の活気あふれるシーンもまた見所だ。ベトナムの有名な観光地であるハロン湾をはじめ、ハノイのドンスアン市場などで撮影されており、実際に観光をしているような気分になれる。屋台が並ぶ都市部だけでなく、広大な田んぼが印象的な田舎の風景も撮影地になっていて、様々なベトナムの景色が楽しめる。
個人的に注目してほしい点は登場人物のキャラクター性だ。突然解雇されてしまったエルビラや家族とうまくコミュニケーションが取れないロサ。それぞれが抱える悩みや苦労と向き合っていく姿も同時に描かれている。主人公を含む仲良し3人組はもちろん、偶然知り合ったゲイのスペイン人など、個性が強く面白い人物ばかりで惹きつけられる。


この映画は明日の希望を感じさせてくれる明るい作品だった。観終わった後にスカッとするし、難しいことを考えずに気軽に鑑賞できるのでおすすめだ。
現在Netflixにて配信されている。スペイン映画というのも日本では珍しく興味深いものだと思うので、観れる方には是非観てほしいと思う。

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