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ホーチミンメトロの開業遅延2/6|ホーチミンメトロ1号線の開業遅延と背景

ホーチミンメトロ1号線の開業遅延により、日立製作所がホーチミン市鉄道局に対し、約246億円の賠償請求を行いました。2013年に受注した鉄道システム一式の納期が大幅に遅れたことが原因です。

動画

https://youtu.be/ui1Ul0qapno

日立製作所の賠償請求

ホーチミンメトロ1号線の開業遅延により、プロジェクトの鉄道システム一式を受注していた日立製作所が、ホーチミン市人民委員会鉄道局(MAUR)に対し、約4兆ドン(約246億160万円)の賠償請求を行っていることが明らかになりました。

日立は2013年に、約370億円でCP3と呼ばれる車両、軌道、信号、通信、電力、架線、ホームドア、券売機・改札機、車庫設備を含む設備一式のパッケージを納期5年で受注し、開業後5年間の車両メンテナンスも契約しています。こうした規模の受注は稀ですが、プロジェクトの遅延が裏目に出た形です。

開業が遅れる理由とは?

ホーチミンメトロ1号線のインフラ部分の工事進捗率は9割を超えており、見た目には開業準備が整っているように見えます。しかし、なぜ開業が遅れているのかについては明確な理由が求められています。

ホーチミン市の中心部から北東部のスオイティエンバスターミナルを結ぶ約19.7kmの路線は、市内中心部のベンタイン―オペラハウス―バソン間の3駅が地下区間(約2.5km)で、残りは高架区間(約17.2km)です。都心と郊外を結ぶこの路線は、需要よりも土地収用の容易さから優先的に整備されたと見られます。

路線の概要と地理的特徴

ホーチミンメトロ1号線は、ホーチミン市の商業中心地であるベンタイン駅から始まります。ベンタイン市場や高級ブランド店、日系デパートなどが立ち並ぶ商業エリアに位置し、将来的には2号線(ドイツが中心となり事業実施中、2032年開業予定)、3A号線、4号線のジャンクションとなる予定です。

一方で、高架区間の終点であるスオイティエンバスターミナル周辺は、新興開発地区から荒涼とした工業エリアへと変わる地域で、車両基地が設置されています。

需要と土地収用の調整

1号線は、ホーチミン都市圏の人口が2000万人を超える中で、短い3両編成の車両が採用されています。高架区間のほとんどは国道の緩衝地帯に建設されており、民有地にかかる一部駅の出入り口が未着工または工事中です。これは、ジャカルタのMRTでも見られる光景です。土地収用の容易さが整備の優先事項となり、需要と調整されている点が特徴です。

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