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Photo by
shirokoji
葛の葉と秋のいろ
夏のあいだ毎朝飲んでいたアイスコーヒーがふと寒く感じたら、秋の入り口だと毎年思う。素足のつま先がほんの少しつめたくて、わたしのむねの中にある透明なビー玉が、朝つゆをのみこんだように透きとおる朝、、、そう、秋は「透きとおる」のだと思う。花のいろや、雨のあとの水たまり、それに晩ごはんの秋刀魚の味までもが透きとおる、、、(今年は秋刀魚が高くてまだ買えていない)。
安野モヨコさんの漫画「ジェリーインザメリィゴーラウンド」の中(たぶん36話)で、モモが朝食にあたたかいカフェオレと温野菜のサラダをたべながら、そのメニューに秋を感じるというところがあった(読んでいた中学生当時、サラダにナッツとチーズが入っていておしゃれだと思った記憶、そしてあの回ではそのあと秋物を買いに街へ出るのだけど、女であることをたのしむ最高に素敵な回だった!)それ以来わたしも、朝のむカフェオレの温度で季節のうつろいを体感するようになった。
最近は茶道をやっているので、こんなふうに体感する前に、暦や茶道具で「もう立秋かー」とか「もうこの水指かぁ」とか、感じるのではありますが。
と、こうしてnoteに書くことを頭の中で考えていた3日ほどのあいだにも、秋はどんどん来ている、そして地を這う葛が山をのみ込むようにして、秋はいつの間にか私たちぜんぶを透明な秋のいろで覆ってしまう、、、。
秋がくると、なぜか少しかなしいような、孤独のようなものを感じるのは、目に見えない秋という現象に知らず知らずのうちにのみ込まれてゆくから、だと私は思っています。
(ところでトップ画像にお借りした写真は葛ではなく蔦です)
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