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薔薇は薔薇は

ネタばれ……いや、さすがに大丈夫かな

オスカル:沢城みゆき
マリーアントワネット:平野綾
というキャスティングだったので観に行くことにした劇場アニメ「ベルサイユのばら」。

なぜこの二人が……というか、ここへ来てのマリーアントワネットに平野綾がキャスティングされたのか、がちょっとわからなかったってところ。
お二人とも幼少のみぎりから声優として活躍され、アイドル声優として一時代を馳せた平野綾と、演じる役をことごとくスポンジのように経験として吸収し演技を磨いてきた沢城みゆき。

上映が始まって一つ腑に落ちたのは、この作品、誤解を恐れずに言えばミュージカルなのだった。
オープニングからして主演4人の歌から始まり、要所要所に挿入される挿入歌の数々。それらも、そのときの状況や心情を歌い上げているため、ストーリーを進行させるシーンとなっている……とは限らなかったけど。そのキャラに歌わせているというカットもあったりで、こりゃミュージカルだなと。
なので、平野綾の起用なのか……彼女歌凄くうまいので。

物語としては、マリーアントワネットが輿入れしてきた十代から、3児の母となっているフランス革命までが描かれている。
原作としても歴史としても長い期間をよくぞ2時間に収めたというか、ダイジェストっぽいため、原作なり歴史(いや、架空ですけどね)なりを知っていないと置いてかれる。
というか、それぞれのキャラクターの心情の変化が丁寧に描かれているわけではないので、フェルゼンのマリーアントワネットへの想いや、フェルゼンへのオスカルの想い、オスカルとアンドレの想いは唐突感が否めないと思う。

マリーアントワネットの少女時代・自由奔放な皇太子妃時代・権力と浪費の皇帝妃・国家の母としての威厳……それぞれの年代を平野綾は演じ分けている。
一方オスカルは全編を通して気の張った演技で、沢城みゆきはそれをわざと通して演じていたと思われた。
これは、マリーアントワネットはその自由ならざるも自身の心に正直に生きたことに対し、オスカルは常に滅私・抑圧の中で気を張って生きてきたことを表現していたのではないかと思う。

上映が終わってパンフレットを買いに行ったのだが、上映前は棚にあったのに売り切れてしまっていた。
そのとき、店員に「ベルばらのパンフレットください」とお願いしたのだが、「べるば……えっと、ベルサイユの……ってやつですか?」と聞かれてしまった。
え?もしかして「ベルばら」って略称が通じない?まさかもう死語になってる?……


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