終の住処をどうするか
前回は療養型病院での日々、リハビリ機能訓練もこなし、食事も幸いにして経口摂取出来る様になり、嚥下機能も改善がみられるようになった事など、かいつまんで書きました。基本的には、病院なので万が一、変化があっても医療対応してくださるので私が毎日行けなくても、あたり前ですが、安心です。
この病院では定期的に、医師、リハビリスタッフ、担当看護士、家族代表者、で現在の病状、リハビリの最終目標、などを話し合いの場がありました。
高齢者の特に脳疾患からくる後遺症は人によりますが、大体は完璧に良くなっていく事は少ないです。もちろん軽度で直ぐに治療を開始すれば以前と変わらない生活に戻れる方もいるでしょう。しかし父の場合は、ベットから車椅子に移る際とトイレ、入浴は、人の支えが常に必要で、言語機能は不可、というのは見えていたので(悪くならないだけ、現状維持だけでも良いと思えました)
さて、いよいよ 病院のあと「次」はどうするか… がいつも頭の中にありました。
選択肢は、だいたい次の3つくらいだったでしょうか。
1. 自宅に戻り、第三者の手を借りながら生活。
2. 病院の隣に併設されている、老人保健施設にて、今後のことをよく考えるために入所し時間をかせぐ。
3. 有料老人ホームに入居
ここで、「介護保険による住宅改修」について書いておきます。介護保険制度の中には、自宅にて本人(介護保険被保険者)が生活するのを条件に、自宅を改修するのに上限20万まで補助があります。つまり1割負担の被保険者なら18万は介護保険で2万は自己負担で、ということです。自宅内住宅改修とは、たとえば玄関、とか段差がある場所のスロープ設置や、トイレ、浴室の際に支える手すり、ドアをドアノブではなく、引き戸にする等でしょうか、保険でこのくらい改修し、あとはもちろん自己負担にて、畳からフローリングに変えるなども余裕があれば考えられるでしょう。
よく、病気をきっかけに2世帯にしようとこの制度を知らずにお家リフォームの際に上記部分も工事にお願いしてしまい、あとから介護保険でも補助できるんだった…と後悔しないように、こんな制度もあるのです。こういう介護保険全般のやりとりは、実際は「ケアマネージャー」が行います。介護をどう進めていくのか、
介護ケアプランを作成するのがケアマネージャー、ケアプランがないことには何も進めません。ですから、ケアマネージャーさんとのコミュニケーションは大変重要なので、私の場合は大変良い方にめぐりあえましたが、中には人間同士、「相性」がもちろんあります。
万が一、ちょっと話しにくい、とか違和感がどうしても、拭えない場合は ケアマネージャーさんの交代を申し出ることもできます。
さて、上記の3つのうち、私は2.の隣の併設されてる老人保健施設、(いわゆる、老健)にて時間をかせぐことを選択しました。
自宅へ、戻るということは当然ながら考えましたが、家の構造上改修は、無理だろうということ、先ずは車椅子必須なのでスペース的に通れない、あとは夜間含め私がつきっきり、目が離せなくなると予想したからです。このころ、私は音楽教室へ勤務、演奏などをしていて、その頃にはオペラ公演にて初の大役を受けていました。かなりの集中力もいるし、自分の時間を守らないと心身のバランスを欠くことを経験していたので、結論としては自分の事を優先しました。
老健というのは、父のように病院を一度出て自宅へ戻る前の日常生活へ慣らしていくところと言っても良いでしょう。そこは、個室で食事の時はユニットスペースでみんなで食事をします。看護士、介護士、常駐で 1日のうちではレクリエーションの時間もあったりしました。
こちらにいられる最大5〜6カ月の間で、自分の仕事や見通し考え、私の中ではぼんやり、自宅近くの「有料老人ホーム」を考え始めていました。
次は有料老人ホームの選択は…です。
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