猫、時々、犬
○:ただいまー
マイホームに帰宅を告げるも虚しく玄関に鳴り響くだけで、返事は帰ってこない。いつも通りの日常だ。
手を洗いリビングへ向かう
○○:ただいま、菜緒
菜緒:ん、おかえり
部屋の隅っこに三角座りで本を読む美少女、その名は小坂菜緒。3年前から付き合っている彼女だ。菜緒はいわゆる猫系彼女というやつでベタベタするのは好きじゃないらしい。でも玄関で出迎えくらいはして欲しいよね、
○○:はぁ、今日もつかれたよぉ……..
菜緒:ん…….ちょっと……..!
菜緒をひょいっと持ち上げてぎゅーっと抱きしめる
ベタベタは好きじゃない菜緒は背中を叩いて抵抗してくるけど全く痛くない。むしろ気持ちいいくらいだ。
菜緒:はなれろっ!このっ!
今度はグーで叩いてくるけど気持ちよさが倍増しただけだ。か弱くて愛おしいね……..
○○:ふぅ…….
十分に菜緒を満喫して体を離すとかわいい鬼さんがこちらを睨んでいる。
○○:怒ってるのー?かわいいねぇ!
よしよしと頭を撫でると
菜緒:もういい………
痺れを切らした菜緒は寝室に行ってしまった。
これもいつも通りだ。
○○:ふぅ……いいお湯だった
お風呂を出てリビングに戻るとテーブルには僕の大好物である菜緒の手作り料理が並んでいる。
菜緒:冷めないうちに食べて
○○:うん、ありがとう
ポンポンっと頭を撫でるとまたかわいい鬼さんが睨んでくる。
菜緒:いちいち触るのやめてや、鬱陶しい
○○:はいはい、ごめんねー
菜緒:適当に流すなし、
これが僕の彼女、小坂菜緒である。
夕食も終わりのんびりとテレビを見ているとお風呂上がりの菜緒がやってきた。
菜緒:なぁなぁ、
○○:なに?
菜緒:ん、
無言で手に持ったドライヤーを差し出してくる
○○:壊れたの?
菜緒:ちがう……..
○○:壊れてないってことは調子悪い感じ?
菜緒:わかってるくせに………
○○:えー?わかんないなー
菜緒:もういい……..
呆れた顔で洗面所に戻る菜緒
○○:うそうそ、乾かしますよ
菜緒:最初からそう言えばええやんか、めんどくさい
○○:からかうの楽しいんだもん仕方ないやんか
菜緒:エセ関西弁やめろ、殴んで?
○○:はいはい、ごめんなさいね
菜緒ちゃん、関西弁には厳しいタイプです。
菜緒の後ろに回って髪を乾かし始める。
○○:熱くない?
菜緒:うん、だいじょうぶ
気持ちよさそうな表情を見せる菜緒、顔が若干とろけている。
○○:今日も髪がとぅるんとぅるんだね
菜緒:髪は命やからな、
○○:せやんなー
菜緒:んっ………(怒)
○○:いでっ!?
この子、踵で踏んづけてきましたよ!?しかも足の小指を!なんて子だ………
菜緒:ふんっ……….
○○:よくもやりやがったな、おりゃっ!
前髪を整えているところにドライヤーをかける。
菜緒:あっ!むぅ………..
鏡越しにそれはそれはとても可愛い鬼さんが睨みつけている。
○○:そんな怒ることかね、
菜緒:まぁ、今回は許したるけど次やったら金的やからな
○○:はーい
髪を乾かしてから2人は寝室へ向かう。
○○:今日も本読んでから寝るの?
菜緒:うん
○○:あんまり夜更かしはダメだよ?
菜緒:わかってるよ
○○:ならいいや、じゃおやすみ
2人の寝室は8畳の部屋で奮発して買ったキングサイズのベッドで仲良く寝ている。僕はベットに入ったらすぐ寝るタイプで菜緒は本を読んでから寝るというルーティンがあるから2人で同じ時間に寝ることはほぼほぼない。
○○が横になってから1時間ほどが経って私は寝たかどうかを確認する。
菜緒:ツンツン
○○:すぅ………
菜緒:よし、寝たね、
菜緒:んん………
○○が寝たことを確認した私は布団の中に入って○○を思いっきりぎゅーっと抱きしめる。
菜緒:はぁ……..落ち着くなぁ……….
普段はなんだか恥ずかしくてこんなこと出来ないけれど寝てる時だけは何してもバレないからこの時間だけは私は大好きな○○に甘えることが出来る唯一の時間なんです。ほんとはいつでも甘えられたらいいんだけどね。
菜緒:○○、好きだよ。世界で1番愛してるから、
なんていつもは言えないこともこの時だけは言い放題なわけです。
菜緒:ふぅ……..そろそろ寝よっかな
○○の頬に口付けを残して私は眠りについた。これも寝てる時じゃないとできないことであり、愛情表現の一つでもある。
翌朝、アラームを止めてカーテンを開ける
○○:んっ……..まぶしっ………..
隣に目を向けると背中を向けて眠る菜緒の姿
○○:おはよ、菜緒
頭を優しく撫でて布団から出る
○○:はぁ、今日も頑張るかぁ、
こうして僕の一日はまた始まる。
fin…
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