詩「光あれ、そして死ね」
夜空に輝く星よりも明るく輝く夜景、自動車のテールライト、窓の光、花火。
その全ては誰かの人生の結果だ。
人工的なその煌めきは、誰かが灯した光であり、どれ一つとして自然発生してはいない。
誰かが思いつき、設計して製造し、誰かが運んで誰かが光らせる。
誰かの人生のおかげで、私たちの夜は夜ではなくなった。
全ての光は誰かの人生の上で成り立っているのだ。
全ての光は私以外の人生の結果なのだ。
そして考える。
「私もその光になりたい」
誰かの人生を明るく灯せるような光になりたい。
祖先たちが見上げた星々と同じような存在になりたい。
そして群がる蛾を焼き殺す誘蛾灯になりたい。
誰かを生かして誰かを殺せるような人間になりたい。
そう思っているのに、私の目と人生には光がない。
他人に惹かれるようなものがない私は、一生光れないままなのだろう。
不良品の電球は廃棄される運命だ。わかっている。
だけど最後には、死ぬその瞬間だけは。
自分自身を燃やし尽くして人生最大級の光を自分だけで楽しもうと思う。
夜空に上がる花火になれない私は、不発弾の顔をして今日も街を行くのだ。
街中で爆発しないことを祈りながら。