☆139:身体に良いはずの玄米、合わない人も多いのはなぜ?<ざっくり要約>

<参考書籍>「正しい玄米食、危ない玄米食」鶴見 隆史 (著) 

この本には「マクロビをしている人はなぜ不健康そうに見えるのか」というサブタイトルが付いていますが、
確かに玄米食で実際に健康効果を実感している人がいる一方、玄米食を試してみたものの何だか元気が出ない、消化不良に悩まされたりで体調が優れず(あるいは客観的に体調が良くなさそうに見える)、結局やめてしまった人も少なくないのではないかと思います。
(かく言う自分も、玄米食を挫折した経験があります。。)

ではなぜ、本来身体によいはずの玄米が合わない人がいるのはなぜなのでしょうか。
この本の情報によると、玄米に含まれる
①アブシシン酸
②フィチン酸

という成分が原因であると指摘しています。

①アブシシン酸
アブシシン酸は種の外皮に含まれる成分(植物ホルモンの一種)で、玄米に限らずあらゆる果物や野菜などに含まれています。
玄米は稲の実であり種でもあるのですが、玄米の外皮にあたる「糠」の部分にはこの「アブシシン酸」という成分が含まれており、胚芽や胚乳を酸化から守っています。
アブシシン酸は単に酸化を防いでいるのではなく、酵素を阻害することで抗酸化力を発揮しますが、
これが体内に取り込まれると、体内で代謝と消化の機能を担う酵素の働きを阻害してしまい、消化不良やその他様々な不調の原因となる可能性があります。

②フィチン酸
フィチン酸は本来は人体にとって必要な成分であり、その活性酸素を除去する働きにより抗がん作用があるとする報告もあるそうです。
一方で、フィチン酸は亜鉛や鉄分などミネラルと吸着しやすい性質があり、その作用により体内のミネラルが奪われてしまう可能性があるとも言われています。

それでは、①アブシシン酸、②フィチン酸の害を取り除くにはどうすれば良いのでしょうか。
この本によると「玄米を長時間水に浸す」(出来れば17時間以上)ことで、アブシシン酸の毒が抜け、フィチン酸のミネラルとの吸着も解除されるとのことです。
(フィチン酸については吸着が解除されることで、フィチン酸は本来の吸着作用によって体内に溜まった不要物を絡め取る作用を発揮し、一方のミネラルもフィチン酸から独立することで体内を正常に保つために働いてくれるようになります。)

そもそも玄米は種であり、長時間水に漬けると発芽します。
この発芽により①アブシシン酸、②フィチン酸の有害性を減らせるのですが、同時に発芽の際に自身の中にある毒が体外に排出されます。そのため水につけている間、水の入れ替えを2回ほど行った方が良いとのことです。

玄米食のすすめやレシピに関する本は多くありますが、素朴な疑問である玄米食の注意点について言及した本はあまりなく、参考になるかもしれないと思いシェアさせて頂きました。(要点を一部のみピックアップした情報のため、詳細お知りになりたい場合は書籍をご参照下さい。)

また、この内容はVoicyでも紹介させて頂いています。
「☆139:身体に良いはずの玄米、合わない人も多いのはなぜ?」

それでは引き続き素敵なフードウェルネスライフをお過ごしください。ありがとうございました!


ーーーーーーーーーーーー<以下補足>ーーーーーーーーーーーーー

同内容が高城剛さんの「高城式健康術55」という書籍にも言及がありましたので以下補足させて頂きます。

玄米は発芽させると、眠っていた酵素が活性化し、栄養素が爆発的にアップし、食物繊維は発芽することで3%から4%に、アミノ酸は玄米の2・5倍、白米の4・5倍に増加。特に脳内に多く含まれる神経伝達物質のGABA(ギャバ)が、玄米の1・7倍、白米と比べて10 倍に増大する。  GABAは、脳の血流を良くして酸素供給を増やし、精神を 鎮め血圧を下げる作用や、腎臓や肝臓の働きを高める成分である。 いわば、発芽させると、種として眠っていた命が、まさに「生命」となって活動をはじめるわけだ。  また、長時間水に浸けておくことで、「アブシシン酸」などの玄米の毒性の大部分が抜けていく。なにより、柔らかくなって、美味しい。
玄米に含まれる「フィチン酸」は、体の中でミネラルを吸着し、便として体外に排出する解毒力があり、デトックスには最適だ。ただし、その力があまりにも強すぎるため、ミネラル不足になってしまうのにも気を配らなくてはならない。そこで、発芽させればこのフィチン酸が適度に分解され、本来の吸着作用だけが残り、体内に溜まった不要物質を搦めとりながら排出する。

玄米については残留農薬問題が大きな関心事のようです。確かに玄米は農薬がより残留しやすいため、商品選びの段階でなるべく低農薬の商品を選んだ方が良いという見解は他書籍でも概ね一致していました。

玄米はぬかの部分に農薬が残りやすいので、しっかり研ぐことも忘れてはならない。できれば、ただの有機栽培や無農薬の玄米を選ぶだけではなく、安土・桃山時代に豊臣秀吉が推奨した 合鴨農法の玄米をオススメしたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<さらに参考:日清戦争・日露戦争の死亡者数>
「江戸患い」の原因としても有名な脚気という病気は、白米に偏った食事によるビタミンB1不足が招いたと言われおり、その後も長きに渡り日本人を苦しめてきました。
参考:農林水産省HP「脚気の発生」

下記死亡者数には所説ありますが、情報源によっては日露戦争では戦死者より脚気による死者数の方が多かったとする情報もあります。
(データ:「佐々木敏の栄養データのすすめ」より)

画像1



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?