師の教え:データと感覚を融合させる作業哲学
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定休日明けの午前は、予想通り慌ただしいスタートを切った。事務作業に追われ、電話対応や書類整理に没頭している間に、気づけば昼が迫っていた。だが、午後からはようやく作業場に戻り、GTOの作業に集中する時間を確保。自分にとっての“現場”は、やはりどこよりも落ち着く場所だ。
今回のGTOはタイミングベルトカバーまで組み付けが終わっている状態で、次の工程としてオルタネーターや補器類の取り付けを行い、ベルトを装着する作業を進める。途中、クランクプーリーを点検したところ、ダンパーゴム部分にひび割れが確認された。経年劣化だろう。この状態を放置すれば、走行中に遠心力でダンパー部分が千切れ、エンジンルーム内に甚大な被害を及ぼす可能性がある。プーリーの交換には多少の費用がかかるが、エンジンを壊すリスクを考えれば安いものだ。部品の品質と寿命を見極める力を再確認しつつ、慎重に作業を進めた。
他にもGRヤリスGRMNの足回り点検の依頼も受けている。このオーナーはフロントタイヤを脱輪させてしまったらしく、ディーラーで点検を受けたものの、異常がないと言われても不安が拭えないということで弊社に来られた。点検はまず目視と試運転、そして足回りにガタつきがないか物理的なチェックを実施。それに加え、ホイールバランスや歪みの確認、アライメント測定による数値的な診断を行った。異常がないと判断した結果をデータでオーナーに提示することで、納得と安心を届けることができた。
この一連の作業中に思い出したのは、過去に代表から教えられた「データをしっかり裏付けに使うこと」と「数値はあくまで判断材料であり、数字に縛られすぎないこと」。そして、「フィーリングの大切さ」だった。この教えは、作業を進める中で何度も思い返す指針となっており、今でも自分の中に根付いている。
さらに、各デモカーの作業やテストも控えており、自分自身にも“ブースト”をかける必要がある一日だった。エンジンも人も、適切なメンテナンスと意識が必要だと改めて感じさせられた。