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静かな始業前、熱い整備の時間――思い出の車たちとの対話

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今朝の始業前はGRヤリスのタービン交換作業に取り掛かった。昨夜のうちにタービン本体の車載作業は完了していたため、今朝は各部の接続と締め付け作業がメインだ。始業前や営業終了後の時間帯は、他の従業員や来店客、電話対応がないため、一人で作業に没頭できる貴重な時間。この静けさの中で工具を握り、手を動かす瞬間が、まるで無心になれるような心地よさを感じさせてくれる。仕事というより、一種の儀式のようにさえ思える。

さらに、この時間には弊社代表との雑談を交わすこともある。普段、おしゃべりを好まない私だが、この会話は別格だ。話題は真剣なビジネスの話から、くだらない冗談まで幅広い。それでも、不思議とどれも楽しめる。彼の言葉には説得力や軽やかさがあり、学びもあれば気を抜ける瞬間もある。おそらく、自分が楽しさを感じる数少ない時間なのだろう。

午前中には、FL5型シビックタイプRのフットワークチューニングのための入庫があった。FL5は、特に思い入れのある一台だ。以前、弊社のデモカーとして所有していた車種で、足回りのセットアップを何度も調整しながら開発を進めた。さらには、栃木県でのオフ会に参加するため自走で遠征したり、関東まで夜通しで車両を引き取りに行ったりしたこともあった。これらの経験は、ただの車両を超えた、ある種の「思い出」として自分に刻まれている。それゆえに、FL5のオーナーには自信を持って提案できる。経験と信頼に裏打ちされた提案は、仕事の中でも特に満足感を得られる瞬間だ。

仕事終わりにそのまま夜通し走って1日オフ会
ハイパーマックス、ビークルフィールド仕様

午後には別のサーキットユーザーのZ34ニスモの入庫があり、作業予定はさらに膨らんでいく。
こうして毎日のように新たな作業が舞い込むが、一台一台の車両が持つ背景やオーナーの意図を汲み取りながら作業を進めていくプロセスは、自分にとって単なる仕事を超えた意味を持つ。

昼過ぎになり、ようやくGRヤリスのタービン交換作業を再開する。今回のタービンは純正ハイフロー仕様で、比較的スムーズに組み付けが完了した。現在はエンジンをアイドリング状態で稼働させ、タービンの慣らし運転と冷却系のエア抜きを進めている。この段階に来ると、エンジン音や振動を慎重に確認しながら、正常な動作を確信する瞬間を待つだけだ。

パイプ類は移植する

今日も数台の納車を控えており、予定通りに作業が進んでいることに一安心する。忙しさの中にも達成感がある一日だが、こうした日々の積み重ねこそが、自分にとっての「仕事」の本質なのかもしれない。静かに始まった朝のひとときから、こうして慌ただしい一日へと続いていく。それでも、終わりにはきっと、淡々とした満足感を抱いて帰路につく自分がいるだろう。

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