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認められた仕事——レーシングドライバーと築いた成果
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昨日の話。冬の冷気が頬を刺す朝。いつもより早く家を出た。目的地はスパ西浦モーターパーク。積載車の荷台には、数ヶ月の試行錯誤と情熱を注ぎ込んだGRヤリスが静かに佇んでいる。そのボディには、これから刻まれるべき新たな記録の気配が漂っていた。
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長く重くのしかかっていたプレッシャーが、吐く息とともに白く空へ溶けていく。エンジンの鼓動を感じながら、路面の温度、風の流れ、空の色を確かめる。到着したコースは、穏やかな青空に包まれ、絶好のタイムアタック日和だった。
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積載車のスロープを降り、GRヤリスを静かにピットへと解き放つ。準備を進めていると、小河諒選手が到着した。彼は国内外のレースシーンを戦い抜くプロのレーシングドライバーであり、私にとっては師でもある。パークトレーニングでは、助手席から的確なアドバイスを受ける。今日もまた、彼の知識と経験がこのマシンをさらに研ぎ澄ませてくれるはずだった。
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まずは中古のA052で、マシンとコンディションを確かめる。タービン交換により増したパワーをどう制御するか、慎重に探る。小河選手からの要望は、FFベースのヤリスが抱えるリアタイヤの温まりにくさへの対策。オーダー通りに内圧に調整し、新品のSタイヤとラジアルタイヤの冷間設定を決める。細かな調整が、記録を塗り替える鍵となる。
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そしてその時が来た。アクセルを踏み抜く。路面を掴むタイヤ。ステアリングを通して伝わる微細な情報。コーナーを抜け、最終ストレートを駆け抜ける瞬間、時計が証明した—コースレコード更新。
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思わず、代表、チーフメカニック、そして私の三人でガッツポーズを交わす。長く続いた緊張の糸が、ふっとほどけていく。だが、気を緩める暇はない。次はラジアルでのアタック。再び集中を高め、挑む。そしてこちらも、記録更新。静かに湧き上がる達成感。その余韻のまま、皆で昼食へ向かう。
この時の食事ほど、旨いものはない。テーブルを囲みながら情報を交換し、今回のメカニックとしてのオペレーションのフィードバック、帰社後のデーター収集そして、私自身のドライビングのアドバイスをもらう。小河選手からは、私の弱点である車両変化の見極め方についても教えを受けた。新たな知識が、これからの道を照らしていく。
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帰社後、ヤリスの各部をチェックしながら、データー採りをし次なるグレードアップへと思いを馳せる。記録を塗り替えた今日も、また新たな挑戦の始まりにすぎない。
静寂の中、冷えた工具を握りしめながら、次なる戦いを思う。
「今日のメカニックとしての動きは良かった」——その言葉が頭の中で何度も反響する。レーシングドライバーにメカニックとして認められた気がして、ほんの少しだけ誇らしかった。