昔は美化されていく。
元彼と別れて、2年半。
ふとした時に、彼を思い出した。
食事や光熱費などお金はほとんどわたしが払っていたし、何かあれば数万円単位で渡してもいた。
外出はお金がかかるからとほとんどしなかった。
たまの遠出でもわたしが運転した。
深夜のアルバイトから帰るわたしを労うでも出迎えるでもなく、四六時中ゲームをして、負けたら八つ当たりしてた。
使ってるゲーム機だって、わたしのだったし。
こだわりが無駄に多くて、メンタルも弱くて、でも怒りっぽくて、就活したくないからと大学院に進学してた。
将来性もないのに、結婚しようって言ってきてた。
なんで付き合い続けていたのか、自分でももう覚えていないし、こんなにたくさん嫌だったところがあるのに。
“本当に、すごく、大好きだった”
それだけが思い出されてしまう。
別れた日に写真は全部消したはずだったけど、
少しだけ残った写真の中のわたしは曇りのない笑顔で笑っている。
戻りたいとか、今も好きとか、そういうのじゃないんだけど、この感情に名前はあるのでしょうか。
別れてからも少しは話すし、複数人で飲み会もする。
付き合う前はすごく仲のいい友だちだったんだ。
趣味も合って、考えも似てて、話してて純粋に楽しかったんだ。
友だちと彼氏、どっちもあったような人だった。
別れてどちらも失ってしまうのは、少し悲しかった。
今はもう、お互い別の恋人がいるし、環境も違うから、二度と交わることはない。
でも、あの時、あの瞬間は
確かに世界で1番好きだったんだと思う。
このことは、きっと一生忘れられないんだと思う。
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