ピューリタン・ユートピアの性格とそれがイギリス革命に果たした役割の要約について。 アマプラビデオで『フォールアウト シーズン1』を見たのですが、荒廃したアメリカ舞台なのにキリスト教とか全然出てこないんだなぁと思いましたね。それはさておき、、 この度、『イギリス革命とユートウピア』田村秀夫著。1975年。創文社。を読みました。田村先生は、ユートピア思想書籍からイギリス革命期のダイナミクスの全体を把握しようとする。ざっと読んだ感じは以下の感じ。 「イングランドでは革命が宗教
『縄文語の発見』小泉保著。2021年初版5月第三刷。青土社。をこの度読みました。 もとは1998年に出版された。小泉保先生は2009年に亡くなった。 日本語は弥生時代に形成されたというのが通説となっている。たかが数百年の間に弥生語が縄文語を駆逐したという考えはおかしい。現代東北語や出雲弁、琉球語に縄文語は受け継がれていると考えるのが妥当ではないか。 ざっと読んだ感じはそんな感じ。 小泉先生は弥生語が縄文語に交替することの難しさを指摘している。弥生語と指摘されていたも
このたび『東北ルネサンス 日本を開くための七つの対話』 赤坂憲雄編。2007年初版。小学館。を読みました。 赤坂先生は民俗学者。東北学の提唱者。 この本では、一章ずつ、赤坂先生と論者が対談したものを記録している。東北こそ現代文明の過ちをただすための最後の砦である。と前書きに書かれている。大きく出すぎだと思う(笑)。以下は一章ずつの感想。 一章 東北の可能性 with五木寛之 これですら全七章の対談中面白いほうに入る。東北の話よりも、金沢の一向宗の話のほうが興味深い。
昨今の人は動物だ。 『列女伝』劉向著。中島みどり訳注。2001年五月一刷。平凡社。をこの度読みました。 孔子とかムハンマドとか、歴史上、道徳規範となる偉人はみな男性。彼らのエピソードも多い。道徳を説いた女性とそのエピソードはなかったのかと近頃思っていたのですが、これを読んで思うところを書きます。 『女性の品格』坂東真理子著。という本があった。ペラペラッとざっと見てもつまらなかった。『列女伝』でも読ませた方が現代女性たちに良薬になるでしょう。 劉向劉向(紀元前79年(元
この前、2024年2月23日に天皇誕生日があったわけですが、その頃アナーキスムに関しての本を読んでいた。戦前ならば大変なことになっていたかもしれない。そんな時代ではないので、気軽に読める。ありがたいことです。 このたび、世界の名著42。猪木正道・勝田吉太郎編集。中公。1975年第10版。を読みました。 この名著シリーズですが、プルードン、バクーニン、クロポトキンのオムニバスとなっている。順序もこの通りに紹介されている。一方、よく解説を読んでみると、クロポトキン→バクーニン
最近、父性に関する本をいくつか読み、動画を観たりして、思ったことを書きます。長いので、「日本にもあった父」だけ読んでいただいても、大変うれしいです。 『父性の発見』鈴木光司著。という本があった。結論からいうと全然よくない本でした。前半では、日本には古来から父性はなかったと書いていた。後半では鈴木先生(リングの原作者)が小説家になるまでの自慢が書かれている。自慢本はだいたいどんな本もどうしようもない。 『弱い父ヨセフ』竹下節子著。この本は面白かったです。若干、フランス出羽守
―――――だったらなんなんだろう。 この度、『どうせ死んでしまう……』中島義道著。角川書店。2004年。を読みました。 人は勝手にあるとき生まされ、あるとき勝手に死ぬ運命にある。どうせ死ぬならば、なぜ今死んではいけないのかという問いは、この上なく重要な問いだ。世間体なんか気にしたところで、世間さえもいつかは無くなるものなのだ。だから、精いっぱい”ぐれて”みよう。 ざっと読んだ感じはそんな感じ。 本書はざっくばらんなオムニバス形式。哲学書というよりかはエッセイ。第一部
人の生きる目的とは何かについてキリスト教徒はきっと簡単に答える。人間にとっての究極目的(至福 )は神を見ること(Visio Dei)だと。 『世界の名著 20 トマス・アクィナス』1980年。中央公論社。山田晶 著。を読みました。 トマス・アクィナス🍆(1225-1274)は中世イタリアの神学哲学者。親鸞と時代が近い。(1173-1263。承安3年 - 弘長2年) 🍆は神童だった。知恵を何でも吸収した。出世を期待された。🍆は母の期待を裏切ってドミニコ会に入会する。母は🍆
佐久間象山について。 『中公バックス 日本の名著30』松浦玲著。中央公論社。1984年初版。1995年再版。より 佐久間象山は幕末を生きたサムライ。信州松代藩の君主である真田家に仕えた。 象山の生れた武家は代々女児ばかり生まれたらしく、婿入りに婿入りを重ねている。そんな中ただ一人と言っていい男児、しかも長男として生まれた。 てなわけで、家からはものすごく寵愛を受けた。君主真田貫教も象山を起用しすごくかわいがった。だいぶ恵まれた若年をすごす。 そのせいなのか、人生の最
近年保守主義保守主義と口々に言う人を見た。新党が結成されて、しばらくするとグダグダに壊れていく。今年2023年の10月に日本保守党が結成されたわけですが、あまり期待をしていません。保守思想そのものに大きな問題点がある。保守思想に含まれている問題をハンドリングする土壌が日本にはまだ足りないと思うからです。久しぶり、note。 『フランス革命の省察』で、バークは立憲君主制という道をとらなかったフランス革命を断罪し、貴族は文化や国体を保全する階級であるとしてこれを擁護します。
『独考』只野真葛著。について。 『江戸期の開明思想』杉浦明平 別所興一編著。1990年初版。社会評論社。より 本書『江戸期の開明思想』はっきり言ってオススメできないです。現代語訳ではないから慣れていないと読み進めるのに時間がかかります。また解説や紹介がバイアスがかかっていることに注意しなければいけない。 江戸時代中期から末期を生きた女性。江戸の上流家庭の生まれ。高い教養を受けた。仙台にひとり嫁ぐ。 只野真葛の生涯の詳細はウィキが詳細。「ウィキは典拠にするものではありま
誰もが暇のある生活を享受する「自由の王国」が来ることは大変望まれる。 『暇と退屈の倫理学』國分功一郎著。2011年10月初版。朝日新聞社。をこの度読みました。 何かをしなければならない。と人に思わせる退屈。これは、退屈もありつつ楽しみもありつつという状態から移行してしまったものだ。日常は退屈かつ楽しみがあるというのが日常なのだ。それでいいのだ。日常に楽しみを見つけて味わう訓練をしよう。 ざっと読んだ感じはそんな感じです。 國分先生も「結論だけ読んだ読者は幻滅するだろ
『年中行事百科』八條忠基著。2022年初版。淡交社。 をこの度読みました。 八條先生の本は以前にもnoteしています。 平安時代、朝廷は決まった日時に決まった儀式を行うことを大事だと考えていました。年中行事には節分や七夕など現代にも残っているものもあります。 年中行事の中には朝廷全体をあげてとりおこなうものもあれば、公家の私的な行事や、武家の行事、民間と共通の行事などがあります。これら豊富な去りし時代の行事の詳細について学べる本です。ただし、この本の〇月〇日は私たちの今
『イスラームと儒学』アリム・トヘテイ著。2022年初版。明石書店。 をこの度読みました。 アリム・トヘテイ先生は東洋思想専攻の哲学博士。ウイグル語、中国語、日本語、英語、ウズベク語、トルコ語を操ることができる。 五か国語以上話者ということは、ポリグロット。この本も翻訳本ではなく、トヘテイ先生が日本語で書いているもの。 この本は、イスラームと儒学の融合について論じる。。。値段が高い。 主には、王岱輿(1570-1660)などの中国イスラーム哲学者について。序章から終章まで
『貴族とは何か ノブレス・オブリージュの光と影』君塚直隆著。新潮選書。2023年1月初版。をこの度読了しました。 古代ギリシャと古代中国と中世ヨーロッパと英国と日本の明治以降の貴族について扱う本。それ以外の地域の貴族はとくに触れられていない。一部地域の貴族についてのマトメみたいな、300p弱くらいのレジュメみたいな感じの本。 君塚先生というと、皇位継承についての有識者会議に出られた方。「今後は皇室はますます(英国王室にならって)SNSで発信をしたらよいし、女系を容認し長
『世界史の実験』柄谷行人著。岩波新書。2019年第一刷。をこの度読みました。 第一部と第二部に分かれている。 論理は柳田国男を主軸に展開される。 第二部のほうが面白い。 全体的にウンチクとウンチクを接合してみました感が否めない感じですが、楽しいので可とします。忘れたころにもう一回開いて、面白がりたい本。 双系制。 人間社会は「古くは母系制だった社会が父系性へと移っていった」という説があった。 けれども、最近では「どっちも系があり、母系制になったり父系制になったりするとこ