グラム陽性球菌に対するセファゾリン投与法

時間依存性抗菌薬であるセファゾリンは、血中薬物濃度が MIC を超えている時間(fT>MIC)が長いほど効果が高くなると考えられており、吸収が緩徐な筋肉内投与ではより高い効果が期待されている。

本報告では、セファゾリンの筋肉内投与および静脈内投与の PK/PD 解析から、輸送熱やフレグモーネの原因菌であるグラム陽性球菌に対する投与法が検討された。

健常馬 7 頭にセファゾリン 5 mg/kg の静脈内および筋肉内投与が実施され、投与後の血中セファゾリン濃度測定、Streptococcus zooepidemicus(S. zoo)とStaphylococcus aureus(S. aureus)の MIC90 に対する fT>MIC が求められた。

セファゾリン投与後の MIC90 に対する fT>MIC 
S. zoo :10.0 h ± 1.7 h(筋肉内)
     6.1 h ± 1.2 h  (静脈内)

S. aureus:6.8 h ± 1.3 h(筋肉内)
       3.1 h ± 0.4 h(静脈内)

また S. zoo と S. aureus の MIC90 に対して、セファゾリンは以下の投与法・用量で有効であった。
静脈内投与:5 mg/kg・1 日 2〜3 回
筋肉内投与:5 mg/kg・1 日 1〜2 回

セファゾリン 5 mg/kg 筋肉内投与は、1日 1〜2回投与でグラム陽性球菌に対して有効であり、副作用の軽減や獣医師の負担減が期待できる投与法であることが示された。

(第63回競走馬に関する調査研究発表会より)



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