子馬の尿膜管遺残
病因
尿膜管は在胎中における、胎児の尿を尿膜腔に排出する器官であり、分娩時には通常閉鎖している。
しかし、先天的に尿膜管が開存している場合と、出生後に再疎通する場合があることから、新生仔馬の臍は出生後24時間と72時間に2回評価する必要がある。
正常な仔馬の臍は、生後24時間は湿った肉質の構造である。これが徐々に乾燥、萎縮し、生後7日から14日の間に自然に剥落する。その間に尿膜管は閉鎖している必要がある。
尿膜管遺残は、長い臍帯と部分的な臍帯捻転により尿膜管に圧力がかかり、管腔が拡張し、出生時の閉鎖不全につながると示唆されている。
また臍帯を自然に断裂させず、人為的に結紮、切断することも閉鎖を妨げるようである。その他に、胎便停滞によるいきみや感染、腹部の下を保持して仔馬を持ち上げること(特に仔馬がリラックスし、膀胱が充満している場合)によっても、尿膜管が再疎通するリスクがあることが示唆されている。
また尿膜管遺残は、衰弱している新生仔馬に最もよく続発する合併症のひとつである。
合併症
感染症
局所的な皮膚炎および膿瘍(二次的な腹膜炎および肝膿瘍を含む)
膀胱炎
診断
臍からの排尿確認
エコー検査における膀胱と連続した拡張した管腔構造
超音波検査における感染所見(腹膜炎・肝膿瘍)
治療
尿膜管は清潔に保たれれば、多くの場合、問題なく24-36時間で自然閉鎖する。感染のリスクを減らすために、臍は清潔に保つ必要があり、クロルヘキシジンで消毒し、抗生物質の全身投与を行う。また尿による皮膚炎防止に、ワセリンを塗布する。
尿膜管の化学的焼灼には議論があり、特に局所的な膿瘍が存在する場合には、尿道破裂といったリスクがあるため推奨されない。しかし、このような合併症は実際にはまれであり、以下の方法を紹介する。
10%ホルマリン(また2%ヨードチンキ、フェノール)に浸したコットンスワブを1-2cm尿膜管に挿入し、数秒間そのままにする。感染リスクが増大するため、深く挿入する必要はない。
上記を最大2日間、1日4回、尿が垂れなくなるまで繰り返す。
外科的に治療する場合、全身麻酔下で無菌的に尿膜管を摘出する。その際、汚染部位が手術野から隔離されるように注意し、術後3日まで抗生物質の全身投与を行う。