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私の隣に英雄(ヒーロー)はいたか

5分程度のニュースを繰り返し読むだけの動画をテレビで流し続けながら、ベッドの上でこれを書いている。
寂しさを紛らわすために昼から酒を飲んでいる。
あと親友からもらった芋けんぴチップスを食べている。
お酒のせいかあいにくお腹の調子は悪いので、しばしばベッドから立ち上がる。
立ち上がるたびに腰の痛みを感じる。

トイレを済ませる。
のそのそベッドに座る。姿勢を正す。
また徐々に姿勢が崩れてくる。
ほぼ寝たような体勢になる。

眠くなってくる。

時計を見る。
今日は家から出る時間を逆算しなくていい。
今日はなんの予定もない。

19時半に芸術村へ行くために19時に家を出るために18時半には化粧をするためにあと3時間以内に洗濯と皿洗いをしなくてもいいし

15時に舞台上に集合するために14時半には歯磨きまで済ませるために14時には衣装と化粧を完璧にするために13時までに一人でセリフの確認を終わらせなくてもいい。


寂しくなる。


ハローワンダーと私

何度か言及していますが、私は芝居を始めてまだ少ししか経っていない初心者です。
初心者とはいえご縁で色々な舞台に経ったり、何度か自主制作公演を行ったりと、マジで割といい経験をさせてもらっているそんな初心者です。

1年前 1stでハローワンダーに関わるまでは、コロナ中で制約の多かった大学サークル、周りが先輩・大人だらけの劇団のゲスト、同年代も経験も歴も私よりあるメンバーで構成されたTheater I-Oの3種類でしかお芝居をしていませんでした。自分は右も左もわからない、ただ楽しくお芝居をしているだけの俳優でした。
しかし1stで突然どちらかというと歴がある方になったわけです。
けどそんな中でもプロ意識など毛頭なく。
先導するにも経験がなく、自分の未熟さに一人反省会、頭を抱え、そんな中でもなにかしっかりしなければいけないというあっていいのかわからない責任感にさいなまれていました。

こんなこと考えてたのが1年前ってマジ?

最終的に相当インパクトのある役どころをいただき、首脳陣に信頼を置かれていたと錯覚した私は、迷わず2ndのオーディションに応募しました。

2ndも同じようなものでしたが、少し心情に変化がありました。
ハロワン内での後輩が沢山生じたからだけでなく、おそらく普段から面倒を見てくださっている俳優の先輩が2人、この頃からできた影響が大きいと思います。

比較的経験のある私がブレのない演技をすることで周りを支え、公演レベルを底上げしたい。そんな大層なことを考え始めたのもそこからです。

実際2ndではいいバイプレイヤーな役を与えていただき、笑いを誘うポイントを押さえつつ、メインに等しいキャラクターを支える役ドコロをやりきりました。

楽しかった。楽しかったんだけど。それが終わって、3rdの出演に少し迷いが生じていたのは自分の中で明らかでした。

「一緒にやりたい人がいるから」「断る理由も特にないから」
と結局受け、受かり、始まった3rd。

自分に何ができるのか?


それがやっとこはっきり決まったのは、公演の2週間ほど前だったと記憶しています。


マジで一旦やめようと思ってた

ハローワンダーをではなく、役者を。

夏に、オファーをいただいていた舞台を、まぁ、いろいろあって。降板していました。
本気で自信を失いました。役者を続けていく資格もないし、今後いろんな現場を耐えられる自信もなくなり、そしてなにより、自分の役者としての自信を全て根っこから折られて、今までの4年間がなんだったかわからなくなった。
30年続けている先輩が羨ましくて。ずっと一緒にいる仲間や、金沢自体活発な活動の場であったり。

そういえば思い出した。その舞台を降板する直前、かなり仲のいい友人が偶然占い師なんですけど、占ってもらったら

「現状維持はやめた方がいい、って相が出ている。一回役者やめてチャージする時間作ってもいいんじゃない?」

と。

マジで一旦やめようと思ってた。

ハローワンダー3rdだけはやり切ろうと思った。

やっていく・やっていける自信もない。

だから3rdがはじまってすぐは、ほとんど他の共演者の方にアドバイスをするつもりもなかった。
遅れる台本、どうやって役作りしていけばいいかわからない中、私生活も忙しく自分のことで精一杯なのに他人に構っていられるか。
自分がいい芝居さえできればいいと思っていた。



公演の2週間ほど前

芸術村のオープンスペースで、鋏家の兄役で、私の役とバチバチに大声でやり合う予定のカワショウに一つだけアドバイスをした。
その日から彼の芝居が劇的に変わった。
そして忘れもしない芸術村研修室での稽古の時
カワショウとやりあったシーンで、久しぶりに、もしかしたら初めてかもしれないけど、感情が乗って自分至上すごくいい演技ができた。
手足が痺れて泣いた。
演出家さんに「2人はそんな感じでいいです」って言われた。



それ以降、日程違いで共演のないキャストに、LINE交換してもらって話を聞き、アドバイスしたり。なるべく時間をとって読み合わせしたり。小屋入りしてからは全員で出ハケと小道具を確認しノートにまとめ。近しい共演者に対しては、本番に向けてできるかぎりのアドバイスと、セリフ合わせと、気が軽くなるような言葉を繰り返して。


「あの子、まだ未熟なのにあんな先輩ヅラしてる」なんていわれてもいいから、私ができることをしよう。いいものを作ろうなんて思い始めたのは
思い返したらあの日がきっかけでした。

終わったらわかるんですけど、ハロワンみたいな形の中自分だけいい芝居をするって、(まだ私の実力なら尚更)無理そうです。

 「どうして芝居を続けるのか」


と言う問いは、この5年間芝居を続けてくる中でずっと考えていた話でした。
浪人生だったからね。なにかにつけて自分を正当化する理由を考え続ける生き物です特に多浪経験ある人は。(偏見)


身近な先輩の中には、劇団への所属が継続の理由になっている人が多く、また芝居を仕事にするか否かに関わらず、惰性で続けている(と言っていた)人から、本当に好きで楽しくて芝居を続けているような人までいます。
思えば私の周りでも、次回予定がないことや、仕事の忙しさ、そして人間関係などをきっかけに芝居を辞めてしまう人たちをちらほら見てきました。

ではどうして私は芝居を続けているんだろう。

演劇は楽しいんです。楽しいんですけど、私演劇の本番があるたびにお金や私生活を犠牲にしてやっている。みんなそうだと思うけど。
私生活というのも家の汚さ、人との約束、健康、通院、なによりメンタルヘルスを犠牲にしている。
芝居やんない方が絶対健康なんです。
これとただ楽しいだけじゃ一切釣り合わない。それくらい不健康。
じゃあなぜ。

やっぱり人かな。
「なにをやるか」より「誰とやるか」が、私にとって本当に大事なんです。

いうてもその点、ハローワンダーは矛盾しているように思います。毎回出演者が変わり、さながらガチャのように、自分の相方が誰になるかわからない。「誰とやるか」が完璧に後付けになる環境です。

それならば相方ガチャに失敗(超失礼だけどわかりやすいのでこういう表現させてください)し、「あ〜あの(ハロワン以外の)人とお芝居してるのがやっぱ楽しいんだなぁ」と思っても、「誰とやるか」が大事なのだと気づくと思います。けど今回そうではありませんでした。「誰とやるか」は後付けでもいいんですよね多分。

3rdのハローワンダーは、「誰とやるか」が自分にとって重要だということを、前向きな方法で改めて教えてくれた舞台でした。






今めちゃくちゃ寂しいです。
沢山写真を撮ったんですあの3人と。
そんで沢山芝居の話したんです。
すごく楽しい時間でした。
ありがとう梨花、たいち、ショウタ
一生忘れないと思う
また一緒に芝居がしたい 願わくは今すぐに
アツくなってもいいと、こんな下手くそな私でも芝居続けてもいいと思わせてくれた、私にとっての英雄たちです。
ありがとう。ほんとうにありがとう。


山なしオチなし。おわり。
今からバーでバイトです。よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜し!酒飲もう。





おわり


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越智
やふやふ!えへへ