〜猫の腎臓病のお薬〜
今回は、猫の慢性腎臓機能障害のお薬の1つである
【ラプロス®︎】
についてです。
猫の飼い主さんですと一度は聞いたことがあると思われる
「猫って歳をとると腎臓が悪くなるのよねぇ」
これが、慢性腎臓機能障害です。
猫のかかりやすい病気の一つに慢性腎臓病が挙げられます。
年齢を重ねた多くの猫のが慢性腎臓病を患う可能性が高いにも関わらず、病態が解明されていないことも多い現状です。
現在猫の慢性腎臓病は、腎臓間質の線維化と炎症が主体であり、間質の線維化が腎機能低下を引き起こすと考えられています。
ラプロスは、2017年に共立製薬様から猫の慢性腎臓病治療薬として発売されました。比較的新しいお薬です。
<コンセプト>
腎臓機能低下の悪循環にアプローチして腎臓機能の低下を抑制します。
この悪循環とは、何か??
・糸球体障害
・尿細管間質の炎症
・繊維化
・微小血栓の形成とその繰り返しによる虚血
このような状況が、腎臓機能を徐々に低下させていくんですね、
残念ですが、なぜこのような状況に陥っていくのかは不明です。
<作用>
ラプロスには「ベラプロストナトリウム」というプロスタサイクリン誘導製剤が含まれています。このベラプロストナトリムは、
・血管内皮細胞保護
・血管拡張作用
・炎症性サイトカイン産生抑制
・抗血小板作用
があります。このような作用が、腎臓機能障害の進行を抑制してくれると期待されています。
<効果>
猫の慢性腎臓機能障害にはIRISステージ分類があります。
英語でごめんなさい。ここは、主治医の先生に聞いてくださいね❤️
このIRISのステージ2−3の猫で腎臓機能低下の抑制と臨床症状の改善が認められているそうです。
<用量>
1錠 1日2回です。大きさとしては小さいです。
<注意事項>
・空腹時の投与では、血液中の濃度が高くなる可能性があるそうです。
すると薬の効果時間が短くなってしまうため、食事を与えてからの方が好ましいようです。
・錠剤を砕いてしまうと、ベラプロストナトリウムが目や口腔粘膜に触れると痛みや赤くなるかもしれないので錠剤のまま与える方が良いと書いてあります。
<ポイント>
よくうける質問ですが、これを飲めば腎臓病が治りますか?と聞かれます。残念ながらこの薬を飲めば腎臓機能障害が治るわけではありません。
あくまでも腎臓の炎症と繊維化を防ぐことで進行を抑制するということです。
そして既存の標準治療も大事です。点滴、血圧測定、療法食、飲水・・・・・
様々な治療が提唱されています。
その中でラプロスを上手く使用することで愛猫の健康管理ができることを祈っています。