マガジンのカバー画像

動物病院での犬と猫の病気:下痢

17
動物病院では毎日のように下痢の診察が行われています。病気の話はもちろんですが、ご家族が自宅で愛犬愛猫の下痢を発見したとき実際にどうすればよいのか? そのあたりを詳しくお話ししてい…
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

動物病院での犬と猫の病気:下痢(8)  下痢の診断方法について① 問診と身体検査

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 小腸性下痢と大腸性下痢の原因 について解説をしました。 今回より何回かにわたり 私が実際行っている動物病院での下痢の診断方法について についてお話をしたいと思います。 動物病院に下痢をしてしまった愛犬愛猫がやってきました。 まずは動物の顔色や呼吸状態などの見た目の様子を確認し、緊急性がないと判断されれば通常の診察を始めていきます。 (緊急性がある場合はゆっくり診察しているとそれだけ病態が進行するか

動物病院での犬と猫の病気:下痢(9)  下痢の診断方法について② 便検査

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 下痢の診断方法の 問診と身体検査 について解説をしました。 今回は下痢の診断における便検査についてお話ししたいと思います。 3.便検査 身体検査の後は便検査を行います。 便検査に関しては以前概要をお話ししました。 ご覧になったことがない方は参考にしてください。↓ ご家族が便を持ってきているときは、まずは肉眼的検査により見た目から得られる情報を得ます。 便の肉眼的検査に関しては教科書的には次のよう

動物病院での犬と猫の病気:下痢(10)  下痢の診断方法について③ 血液検査

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは少し脱線してしまい、 動物病院の一次診療と二次診療の違い についてお話をしました。 今回は話を元に戻し、 下痢の診断における血液検査についてお話ししたいと思います。 4.血液検査 前回のNOTEの繰り返しになりますが、私のような一次診療を行っている町の動物病院では、大部分の下痢がここまでの問診、身体検査、便検査により原因の推測ができ、その原因に合わせた治療をすることで下痢は治ってくれます。 ここまでの

動物病院での犬と猫の病気:下痢(11)  急性膵炎について

千葉市で働く臨床経験17年目の獣医師です。 前回のnoteでは 血液検査でわかる下痢につながる病気の「中毒」 についてお話をしました。 今回は血液検査でわかる下痢につながる病気の「膵炎」についてお話をします。 2⃣ 膵炎 何かしらで膵臓に炎症を起こし、強い腹痛と吐き気下痢が止まらなくなってしまうとても怖い病気です。 そもそも膵臓の本来の役割とは ・消化液の分泌 ・インスリンなどのホルモンの分泌 になります。 その膵臓が何らかの原因で炎症が起きると、膵臓から分