論文「暑熱環境が黒毛和種去勢肥育牛の飼料摂取量,発育,血液成分および飼料消化性に及ぼす影響」 part2
今回は、暑熱による飼料摂取量等における影響についてです。
まず、以下の表を御覧ください。
この調査では、肥育ステージに分けて暑熱の影響を調査されています。
それでは、飼料摂取量とTDNにおける影響をみてみましょう!
飼料摂取量における暑熱の影響
暑熱により、、、
肥育前期で、飼料摂取量が減少傾向
肥育中期で、飼料摂取量が有意に増加
肥育後期で、飼料摂取量が有意に増加
との、結果になったようです。
やはり、暑熱により、飼料摂取量は落ちる傾向にあるようですね。
少し気になるのは、肥育中期では暑熱環境下で、むしろ飼料摂取量が増加しているということ。
著者によると、肥育中期はビタミンAを制限する時期であるため、その影響が関与しているのでは?とのこと。
たしかに、ビタミンAの濃度は、飼料摂取量に強く影響するイメージなので納得でした。ちなみに、ビタミンAで食欲が落ちるメカニズムに関しては諸説ありますが、ヒトの神経性食欲不振と似たメカニズムである話を聞いたことがあります。
TDNにおける暑熱の影響
暑熱により、、、、
肥育前期・中期では、TDN摂取量増加
後期では、TDN摂取量減少
前期及び中期で摂取量が増加したのは、暑熱によるエネルギー要求量が増加したためではないかとのこと。
つまり、暑熱に対する熱放散(パンティング・血管拡張)とかにエネルギーを使っちゃうってことでしょうか、、、笑
一方、後期ではTDN摂取量が減少したとのこと。これは、肥育後期は体重あたりの体表面積が小さいため、熱放散の効率が悪いことが背景にあるようです。熱放散効率が悪いため、そもそも発酵熱を抑えるように働き、TDN摂取量も落ちるみたいです。
うん、書いていて、なんとなく理解してきました笑
また、濃厚飼料のほうがエネルギー利用効率も良いため、摂取時の産生熱も少なめなようです。そのため、この調査においても肥育前期及び後期の牛は濃厚飼料摂取割合が有意に増加したとのことです。
おもしろいっすねー。
次回は発育についてです。