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空の道(診る見る日記)
鳥は自由の象徴として喩えられることがある。
間違いではないと思う。でも私たちが重力に、地面に、物理的な壁、社会が作る透明な壁に阻まれているのと同じように、鳥も縛られているのではないか?
渡り鳥として初夏に飛来し日本で繁殖して秋の初めに南方へ去っていくツバメ。12月になっても、巣立ちがうまくいかず衰弱の可能性があるツバメがいるそうだ。
近所のツバメの繁殖はもう4〜5年観察している。野生の過酷さを考えれば毎年メンバーが入れ替わっていてもおかしくはないのだが、毎年ある巣を補修しながら同じ場所で繁殖している。
こちらのツバメは1シーズンに2回ほど繁殖する。だいたい遅くとも7月末には2回目の子の巣立ちまで終わっている格好だ。そのあと南方に渡るまではヨシ原に移動するようで、8月に入ると見かけなくなる。2回目の繁殖にトライするツバメ夫婦は見ていて心配になるくらいボロボロになる。羽は抜け、毛繕いする暇もないのかボソボソ毛羽立ち、少しハゲができている親もいる。
観察していると、ひっきりなしに巣を出入りする。虫を捕まえて、子の口に押し込んで、またすぐに飛び立つ。これを1~2ヶ月の間にひっきりなしにやるので、疲弊するのだろう。
中には3回目の繁殖にトライする夫婦もいるようだ。もしかしたら、この記事の南方への渡りに失敗した子ツバメたちは3回目の繁殖の子で巣立ちが遅かったのかもしれない。
時機を逃してしまったら、翼があるからといって自由に行けるものではないんだな。我々の領域である陸に道があるように、空には空の道があり、きっと海には海の道がある。それに生き物は縛られている。
ツバメのことを知るための書籍
ツバメのひみつ(書籍)
ツバメのせかい(書籍)
ツバメのたび;5000キロのかなたから(書籍)
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