見出し画像

経営理念と農場の従業員

気づけば2020年も残り数分。
獣医師としての診療業務から離れ、農場の従業員となって3ヶ月が経過した。
いろいろふり返りたいこともあるが、まずは前回の経営理念の続き書こうと思う。

2.従業員の忖度の拠り所

前回は、農家さん(経営者)の視点で経営理念について書いたので、興味のある方は是非。

https://note.com/vet_hosaka/n/na21d334c0b48

今回は農場で働く従業員の視点で書いていこうと思う。

最初に少し余談になってしまうが、僕が牧場の従業員として働くと決めた時に、農場で働く上での自分の優先順位を決めた。
それは、
 ・最優先するのは、牛(飼育動物)に忖度をすること
 ・次に、社長の意向に忖度をすること

牧場で働くということは、
そこでの生産活動に貢献し、収入を貰わなければならない。
そのためには、そこにいる牛たちに頑張ってもらう必要がある。
そして、牛たちが頑張れるように彼女たちの健康に気を遣わなければならない。
つまり、可能な限り牛たちにとって快適でストレスのかからない環境を提供しなければならない。

このように考えると、牧場で働くということは何においても牛たちの健康に最大限注意を払わなければならず、最も優先順位が高いと言える。

次に、優先順位が高いのは、やはり農場の所有者である農家さん(社長)である。
そして、明確に定義され言語化された「経営理念」を農家さんが持っていると、従業員の立場としては大変働きやすくなる。
なぜなら、社長からの指示や命令を受けた時に、「経営理念」という前提を織り込んで、社長の意図を組んだ行動をとることができる。
また、社長が不在な状況でも「経営理念」に書かれていることをベースに判断し行動することもできる。

また、もっと踏み込んだ話をすると、社長の意思決定が「経営理念」から明らかに逸脱している場合、なぜその意思決定をしたのかを従業員のから社長に確認することができる。
社長の中での大局的な判断を下すだけの大きな根拠があった可能性もあるし、経営理念から逸脱していると社長も気づき考えを改める可能性もある。
どちらに転んでも社長の意思決定に至るプロセスを従業員の側から聞くことができるのだ。

もし、「経営理念」のないままに社長の意思決定にただ従っていれば、現場の従業員は混乱する可能性もあるし、無用な対立を生む可能性もある。

このように、従業員にとって経営理念があることは仕事上の忖度する領域が明確になり、結果的に仕事のしやすさや生産性の向上につながると考えている。

僕自身は経営理念が明確な農場でなければそこで就職したいとは思わない。それほど経営理念は欠かせない条件だと考えている。

また、ただ何となく「経営理念」を掲げていれば良いのではない。
農家さんが長い期間をかけてひたすら内省し、精錬された理念でなければ上記のような効果は得られないだろう。
「経営理念」は言語化に至るまでのプロセス(ストーリー)が大切なのだと考えている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?