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牛の胃袋=「発酵炉」

牛は植物を主な食物とする草食動物です。

そして牛には胃袋が4つあり、食道を通って1番目の胃袋(第一胃)は、ルーメンと呼ばれています。

このルーメンは、腹部臓器の大半を占めており、成牛では200リットル近い容量がある。
ルーメンの中では、食べた牧草を牛が体内に栄養として吸収しやすくなるように無数の微生物たちが絶え間なく活動している。

つまり牛にとって、ルーメン内の微生物の活動 すなわち「ルーメン発酵」は生きていく上で必要不可欠なのです。

牛はルーメン内で微生物たちが快適に生活し、胃内で持続したルーメン発酵を行えるように「反芻(ルーメンの内容物を口腔内に戻して噛み返す行動)」や「複胃(胃が複数あること)などの特徴を備えています。

また、ルーメン発酵に栄養獲得を依存している牛は、牧草などの食物を常に食べ続けなければなりません。
イメージとしては、炉の熱を下げないように常に炉内に薪をくべ続けているような感じです。

造語ですが「発酵炉」というのが、牛の胃袋の理解として妥当だと考えています。

そのため、牛を飼う仕事では毎日のエサやりは欠かせませんが、エサをやる時に前回与えたエサが飼槽(エサが置かれる場所)にどれだけ残っているかをチェックすることがとても重要なのです。

もしエサをやる時間に、飼槽が空っぽだった場合、ルーメンという発酵炉に燃料であるエサを十分に供給できなかった時間帯が生まれている可能性があります。
このことは牛にとって大変なストレスで、ルーメン発酵が適切に行われなければ牛の健康にも悪影響を与えてしまいます。

発酵炉が稼働し続けるように、与えるエサの量を調整しながら、飼槽が空っぽになる状況は極力抑えてあげたいですね。

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