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スコティッシュフォールドについて

スコティッシュフォールドは人気の種類で、今飼われている方も、これからスコティッシュフォールドを飼おうと考えられている方も多いのではないでしょうか?

ただ、スコティッシュフォールドはその可愛さの反面、多くの子で問題になる遺伝性疾患を持ち、実際に飼ってからその存在を知った飼い主様も多くいらっしゃいます。

特に問題となるのは骨軟骨異形性症候群という関節の病気です。


今回の記事は、

  • 今現在スコティッシューフォールドを飼育されている方

  • 今後スコティッシュフォールドをおうちに向かえようと考えられている方

  • 猫の遺伝病に興味のある方

に向けて作成しました。


<スコティッシュフォールドの歴史>

スコティッシュフォールドは1961年にスコットランドで、正常な耳の母猫から生まれた折れ曲がった耳を持つ子猫から始まりました。

その後、スコットランドとイングランドではブリティッシュショートヘアと交配され、アメリカではアメリカンショートヘアおよびブリティッシュショートヘアと交配されてきました。

スコティッシュフォールドの”折れ耳”はどのような猫種と交配させても子孫に”折れ耳”の子猫が生まれるため、血統書がない雑種のスコティッシュフォールドも広く飼育されています。

<スコティッシュフォールドの特徴>

  1. 大きさは平均的で体重も平均3~6kg程度

  2. ”折れ耳”が特徴的だが、”立ち耳”の子もいる

  3. ”折れ耳”の子は生後2~3週間にかけて耳が折れ曲がってくる

  4. 比較的運動量の少ない子(おとなしい子)が多い

  5. 多くの子はあまり鳴かない

  6. ”短毛”と”長毛”どちらもいる

  7. 平均寿命は約10~13年

<スコティッシュフォールドに多い病気>

1:骨軟骨異形性症候群
これは遺伝的な要因で、関節における軟骨の異常が生じる病気です。
その結果、関節に痛みを生じて歩くのを嫌がったり関節が固まって動かなくなってしまったりします。
重症度はその子によって異なり、症状をほとんど示さない子もいます。

スコティッシュフォールドに特有の”折れ耳”もこの遺伝的要因によって引き起こされています。

根本的な治療は無く、対症療法が中心となります。
・消炎鎮痛剤
非ステロイド性消炎鎮痛薬などを用いて痛みのコントロールをしていきます。
治療反応に乏しかったり、腎臓や消化管などへの影響もあるため、単独での管理が難しいことも多いです。
・放射線治療
患部に放射線を照射することで抗炎症効果・痛みの緩和効果を目的とした治療です。
内科治療に反応しない場合などに行われることがあり、一定の効果が認められます。
ただし、複数回の全身麻酔が必要・放射線照射装置がある施設が限られている・費用が高額などの理由から実施が困難なことも多いです。
・外科治療
関節の固定や、増えすぎてしまった骨を取り除く方法などがあります。
治療の有効性はまだ十分には明らかになってはいません。
・サプリメント
グルコサミン・コンドロイチン・緑イ貝などの関節軟骨保護サプリメントです。
関節における炎症を抑え、痛みの緩和を期待して使用されます。
実際に、ある程度良好な反応が得られるケースもあれば、全く反応が得られないケースも経験します。
あくまで補助的ではありますが、副作用も気にせず続けられるため、使用されることが多い印象です。

骨軟骨異形成症候群は根治することは困難で、長く病気と付き合っていく必要があります。
遺伝性疾患なので、有効な予防方法は残念ながらありません。

2:外耳炎
スコティッシュフォールドは”折れ耳”の子が多く、そのせいで耳の中の汚れに飼い主様が気づきずらいです。
そのため、健診などで外耳炎を発見することがよくあります。

3:肥大型心筋症
心臓の筋肉が厚く肥大してしまうことで、うまく拡張できなくなり、
全身に十分な血液を送れなくなってしまう疾患です。
また、血流に異常をきたすことによって心臓で血栓が作られてしまい、それが血管を流れて下腹部の血管に詰まることで後ろ足が立てなくなってしまうこともあります。
こちらも根治させることはできず、内科治療によって状態の改善や悪化・進行の防止に努めることになります。
無症状なことも多いため、定期的な健康診断での早期発見および早期治療が重要な疾患です。

4:多発性嚢胞腎
こちらも遺伝性疾患で、腎臓に多数の嚢胞ができてしまう疾患です。
ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチックショートヘアなどで報告されていますが、スコティッシュフォールドでも見られることがあるとされています。
嚢胞の数は徐々に増えていき、腎臓の機能も徐々に低下していってしまいます
初期には無症状であることが多く、ある程度進行してくることで腎障害の症状を認めるようになります。
具体的には、

  • 尿量や飲水量の増加

  • 嘔吐

  • 食欲低下

などの症状が出ることがあります。

<飼育する上で気をつけておきたいこと>

・体重を増やしすぎない
スコティッシュフォールドはもともと運動量の少ない子が多いため、他の子と同じ食餌を与えていても太りやすい子が多いです。
骨軟骨異形性症候群という関節の好発疾患があるため、若いうちから可能な限り関節に負担をかけないように体重管理を行うことは重要です。
関節の健康維持のためにグルコサミンやコンドロイチンが含まれた食事を与えるのもいいかもしれません。

・動きをよく見ておく
こちらも骨軟骨異形性症候群に関してですが、初期にはあまり強い症状を示さないことも多いです。
その場合、いつも登っているところにあまり登らなくなったり伸びをしなくなったりなどの行動的変化に早めに気づいてあげられるように出来るといいです。
また、頭をよく振るようになったり、頭をよくかいたりする場合は外耳炎で痒みが出ている可能性があります。

・耳を覗く癖をつけておく
前述の通り、スコティッシュフォールドは”折れ耳”の子が多く、耳の汚れに気づきずらいです。
小さい頃から耳の中を定期的に覗く癖をつけることで、早期発見につながり、耳を覗かれることに対して抵抗もなくなります。

・若いうちから定期的な健康診断を受ける
肥大型心筋症や多発性嚢胞腎では初期には無症状なことも多く、
特に肥大型心筋症では早期からの内科的治療で進行を抑えていくことも重要なので、できるだけ定期的な健康診断を受けることをお勧めします。

<まとめ>

  • 骨軟骨異形成症候群という遺伝性疾患を生じる子が多い。

  • 骨軟骨異形成症候群は根治は難しく、長く付き合っていく必要がある。

  • 運動量が少なく太りやすいため、体重管理には気をつけよう。

  • 好発疾患には、初期には比較的無症状であるものもあるため、定期的な健康診断を受けるようにしよう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
苦痛なく、長生きできるスコティッシュフォールドが1頭でも増えることを願っています。

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