不適切な場所での猫の爪とぎについて
猫を飼っている方の多くが爪とぎに悩まされた経験があるのではないでしょうか?
猫が爪とぎをしている姿はすごく愛らしいですが、
賃貸マンションの壁や、ソファなどの家具が次々に爪とぎの標的になってボロボロになっていくのはなんとかしたいですよね。
今回はなぜ猫は爪をとぐのかという行動学的な観点から皆様に対策をお伝えできればと思っています。
今回の記事を読むことで
なぜ猫は爪を研ぐのか
不適切な場所での爪研ぎをやめさせるにはどうしたら良いのか
がわかります。
<猫が爪をとぐ理由>
爪とぎ対策をする前に、なぜ猫は爪とぎをするのか知っておきましょう。
爪とぎする理由を知ることで対策を立てることができます。
①体のストレッチ
前肢を伸ばして爪をとぐことで体を伸ばす効果があります。
→小さい爪とぎ用具だと十分に体を伸ばせないので不適切な場所で爪とぎをしてかもしれません。
②爪のお手入れのため
爪の外側の古い層を剥がして、爪の状態を整えるために爪とぎをします。
③マーキング
対象物に傷をつけることで視覚的なマーキングをしています。
対象物ににおいをつけることで嗅覚的なマーキングをしています。
④関心を得るため
爪をといでいる時に周りが声をかけるなどの反応をすることで、「爪をとぐ=飼い主さんの関心を得られる」と学習している場合があります。
→爪とぎの時に怒こったりすると、関心を得られると思って色々な場所で爪とぎしてしまうかもしれません。
⑤ストレスに対する代償反応
爪をとぐことで自分を落ち着かせてストレスを軽減しようとしていることもあります。
→何かストレスや不安に感じることがあると、爪とぎの頻度が増えてしまうかもしれません。
これらはすべて猫にとっては本能的なものなので、無理にやめさせることはできないし、やめさせるべきではありません。
<爪とぎ対策>
猫が爪をとぐ理由は本能的なもので、付き合っていくほかないことはわかりました。
次に、ここでは具体的な付き合い方について書いていきたいと思います。
正しい付き合い方をすることで、不適切な場所での爪とぎを止めてくれるかもしれません。
<対策1>適切な爪とぎ用具を適切な場所に!
・爪とぎ用具の選び方その1:大きさや形
適切な爪とぎ用具の大きさには、猫が十分に体を伸ばすことのできる長さや高さが必要(ストレッチ効果を得るため)です。
また、猫は爪とぎ中に用具が不安定に動くことを嫌うので、安定する形のものを選んでグラグラしない場所に設置することも重要です。
猫によっては地面に垂直な体勢で爪とぎするのが好きな子や、
水平が好きな子などの好みがあるので、まずはシンプルな板状の爪とぎを壁や地面に複数設置して色々な体勢で爪とぎできる環境を作ってあげるのがオススメです。
配置する場所は猫がよく通る通り道に複数設置するとマーキング目的で使ってくれるようになるかもしれません。
また、爪とぎをして欲しくない場所でしてしまっている場合にはその場所にも爪とぎ用具を設置してみましょう。
・爪とぎ用具の選び方その2:好みの素材を探そう!
爪とぎの素材には色々なものがあり、それぞれに特徴があります。
猫によって素材の好みが違うので、複数設置してよく使ってくれる好みの素材を見つけてみましょう。
麻:最も丈夫で、力強く爪とぎする猫向き/ゴミが出づらい
綿:麻と同じく丈夫で、麻よりは柔らかい
ダンボール:猫は比較的ダンボールを好む/安い/ゴミが出やすい/長持ちしない
木:丈夫で長持ち/ゴミが出やすい
<対策2>爪とぎ中に叱らない!
不適切な場所での爪とぎ中に声をかけたり、見たり、叱ったりすることで飼い主様の関心を得られていると思ってしまうと、その後も関心を得られると思って習慣化してしまうことがあります。
とりあえずその場で焦って辞めさせないようにしましょう。
<対策3>合成フェロモンスプレーを使う!
合成ホルモン製剤(フェリウェイ)には、安心感を与えて情動を落ち着かせる効果があると考えられています。
爪とぎをして欲しくない場所に合成フェロモン製剤を毎日スプレーすることで爪とぎが減少すると報告されています。
<対策4>定期的な爪切りを!
猫の爪の状態を定期的に確認して、伸びてきたら早めに切るようにしましょう。
専用の爪切りがあるのでそれを使うと切りやすいです。
爪を切っておくことで、家具や壁などで爪とぎをしてしまっても被害を最小限にとどめることができます。
どうしても自宅で切れない場合には動物病院で切ってもらいましょう。
あまり自宅で無理して切ろうとすることでストレスになり、逆に爪とぎ行動が増えてしまうかもしれません。
また、爪を伸ばしっぱなしにすると布などに引っかかって爪が折れてしまったり、巻き爪になって自分の肉球に刺さってしまったりするので放置は良くありません。
<対策5>爪とぎ防止グッズを使ってみる!
同じ悩みを持つ飼い主様は多く、沢山の爪とぎ防止グッズが販売されています。
特に壁やソファに貼って使う保護シールなどは、爪とぎされても傷がつきにくい以外にも、ツルツル滑るのでその場所での爪とぎ自体を抑制する効果も期待できます。
(猫は引っ掛かりがなく、滑る場所での爪とぎが嫌いな傾向があります)
<まとめ>
猫にとって爪とぎは本能的なものであり、やめさせることはできない
理想的な爪とぎ場所を提供することで不適切な場所でさせないようにすることが重要
爪とぎ用具は”大きさ”、”素材”、”設置場所”が重要
猫の爪とぎ行動が増えるようなストレスの原因がないか考えてみよう
ストレスがありそうな場合、原因を取り除くか、合成フェロモン製剤などを使用してみよう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
猫の可愛い爪とぎと上手に付き合っていけることを願っています!