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離れていった友だち|うつ病は会社休むためじゃない

離れていってしまった友達について書きます。ちょっと感情的になりすぎて、ぐちゃぐちゃの文章になっちゃったかな、と思い反省もしてるけど。こういう風にしか書けなかった。

私がうつであると、ある場で話した時、ある人が不機嫌そうにこんなことを言った。

うつ病って都合のいい口実だね。会社休めるんだし、手当でるんでしょ。うらやましい。今なんか、ちょっと疲れて病院行けば、なにかと名前(病名)くれるらしいね。その分のしごと回されちゃうこっち側のことも考えてほしいわ。そんでもって、復帰したらあちこちですいませんすいません、って謝り倒すの。謝んなくていいから、その「ホリデー」分、休日返上でやってくださいっての。


この人はかなり強めな言い方だが、これに似た考え方を持つ人は非常に多いのではないだろうか。小学生の頃、ちょっとした不調で休む子を見てズル休みだ、っていう子供がいたように、会社にいても当人の事情を知らない人はなんとでも言える。


私はうつの代表者でもなんでもないけど、もし理解のない人がいたらこういうことを知ってほしい。

鬱の人は、それが重度だろうが軽度だろうが、大切に抱えておきたい何かを失いながら生きてる場合もあるんだってこと。


私もたくさん失った。


中でも一番かなしくて納得いかないのが、友達。

うつが人と人との関係を壊してしまうなんて言いたくないけど。

実際にあったからそう言います。


あんなに仲良くしてたのに、「うつ」のせいで離れていってしまう子がいたというのは現実。

もちろん、わかってくれないならいいよ、で済む子もたくさんいた。強がりじゃなしに。

でも、やっぱり忘れられない、痛手を負った別れもあった。


彼女は話に聞くと小学低学年の頃からのHSPで、かなり周りに気を使いながら生きていたらしい。
低学年にして自殺願望を持ち、高学年でリストカットにはまり、中学にはもう学校というものに一歩も踏み込めなくなってしまった。ある画期的な通信制の学校に入学し、東京から新潟まで新幹線で通う。月に一度だ。そして高校ではバンドを組みながら授業をしてもらえるという、これまたグーグルも真っ青、みたいなクリエイティブ・自由・フリーダムな空間に身をおいたのである。

それで高卒まではいけた。普通に人と話せるようにもなった。でも、それで鬱が良くなることはなかった。

私は自分が鬱であるがゆえか、向こうもその匂いを嗅ぎつけてうつ同士仲良くなるということが多かった。なので、必然的に病んだ仲間とつるむことになるのだが。中でもあの子は特別、大変そうだったのを覚えている。
先ほどまであんなに楽しんで笑っていたのに。人柄がガラッと変わってしまうように、トイレに入った途端、怖くて出てこれなくなってしまう。さっきトイレに入った時の自分と今の自分は違うから。もう同じ顔を私に向けられないという。仕方ないので先に帰った、なんていうのもザラだった。

一緒にいたって別によくなりゃしない。そんなことは百も承知。
だからって、じゃあね、って簡単に縁を切れないよ。一緒にたくさん笑った。言い合いをしたこともある。でも、うつ同士だからこそ、そんな時間を持てたこと自体、ものすごい貴重だったんだよ。

彼女は、ひとに「困ってる」「助けてほしい」とは口が裂けても言わないタイプだった。いつも大丈夫を装って、かなりギリギリになるまで粘って、最後にばっくりと闇に飲み込まれてしまう。その闇は・・・トンネルくらい続き、やがて出口が見えると少し弱くなって、また連絡してくる。

彼女に、ひとに相談してはいけない、ひとに頼っちゃいけない、という思い込みを植え付けたのは誰か。ひとに助けを求めることは迷惑をかけることだ、と教えたのは誰か。
間接的ではあるが、それは彼女の両親であった。彼女の母は、彼女が若い頃から双極性の気分障害を患っており、子供の話になるとストレスがかかるためか、ヒステリーで倒れ込まんばかりに怒っていたのが常だった。彼女の父はもう、誰からも見えない存在で、向こうもまた、彼女やかのじょの母親のことが見えていない様子だったそうだ。

私が「迷惑じゃない」と何度言ってもダメだった。彼女は誰にも心を開かなかった。

と思っていたら途端に開いた。私にではなく、あるバンドマンに。ホストのアルバイトをしている学生のバンドマンで、それだけで否定してはいけないが正しい相手とは思えなかった。ちょうどそのタイミングで彼女は大事な友達のひとりから捨てられた。「うつすぎてめんどくさいんだって」と彼女から電話で聞いた。だからどんどんのめり込んでいった。その男に。

その男は、うつがある友達とつるんでるからそうなるんだ。ブロックしろ、そうすれば治る。と彼女に吹きかけた。彼女はその後、何度か私に連絡したものの、半年後には完全に連絡を絶ってしまった。

私は、既読がつかないのは、彼女がいつものようにトンネルをさまよっているせいだと思っていた。早く出て来られるよう願っていた。数ヶ月して彼女のアイコン写真が変わった。それは、例の男とイルミネーションをバックに360度カメラで自撮りしているものだった。

こんな悲しい別れがあるなんて、もう一度あるなら二度と立ち直れない。
わたしがうつじゃなかったらこんなことにはならなかったかな、と何度も考えた。

うつがある人と関係を続けることは、消化しなきゃいけない難題も多い。
だからと言って、鬱だからこの人とは友達になるのやめよう、なんてそんな判断できないよ。
それぞれ事情と都合ってものがある。うつと戦いながらも、交流を求めてる人はおおい。人は一人じゃ生きられないから。

でもこんなの理不尽だよ。
悩める友達にあれほど力を貸したのに
明らかにうつを理解してないバンドマンと付き合うために、私を切るなんて。
あんなに辛い時期も一緒に乗り越えた仲間なのに。


でも、こんなのまだ、序の口。私の知っている人の中で、もっともっと大切なものをたくさん失った人が大勢いる。

人ひとり、なんにも悪いことしていない、ただ真面目に生きてきたことが裏目にでて、ある日から人生に行き詰まるんだよ。


うつ病は、ただ会社休むだけの口実じゃないってこと。そんなこと、口が裂けても言っちゃいけないんだ、ってことを知っておいてほしい。



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