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ドーナツは頬張るが勝ち!
揚げ物をしたら、ついでに揚げ物をしたくなってしまう。それは油を片付けるのが面倒臭いからだ。でも片付けないわけにはいかないから、ついでにアレも、これも、と作ろうとしてしまう。フライドポテトを大量にあげた後、まだ油が綺麗だったのできな粉のドーナツを作ることにした。
ちょっと発酵させる生地のものだったので、オーブンの発酵機能を久しぶりに使った。そして、ぷよんぷよんに膨らんだそれをツイストした。
ツイストしたものはベーキングペーパーにのせ、また少し膨らませる。少し膨らんだくらいで大丈夫なのは、低温の油でじっくりあげている間に十分膨らむからだ。
できたら、きな粉シュガーの入った袋に入れる。しゃかしゃかポテトみたいに振りたくる。うまくまぶされた。
それをもちもちカリカリ食べながら、夜ご飯の筑前煮をつくる。ごぼうがたくさんあったので、一本一本、ごりごりと皮を削って、人参を乱切りにして、鳥もも肉をごま油で炒めた。ドーナツを頬張る、ごぼうを炒めて、だし汁を入れて少し煮る。ドーナツを頬張る。
先ほどまで、何か考えていた気がする。それは私が向き合わなければならないことだ。なんだっただろう。人が信じられない?自分が信じられない?もういやだ?とかなんとか。
ドーナツをほおばったらなんだか何がどうなってもいいような気持ちがしてきた。ドーナツは頬張るが勝ちだ。
筑前煮には醤油だっけ、めんつゆだっけ。あれほどよく作っていたのに、忘れてしまうなんていけない。どこにもメモもないわけだからよく思い出そうとする。
最近、なんでも忘れてしまう。脳みそがぶよぶよと水ぶくれしているみたいに、その大きさなりの働きをしていない気がする。これだけ大きくて重たいなら、それなりに働いてくれよ、と思うけれど「もうこりごり」という。かわいそうに、まだ30代半ばでギブアップなんて。
トンボが戻ってきた(月刊びねつでお話ししたトンボです)。片方の羽しかないトンボが、私の家のベランダに戻ってきた。そんなことで喜んでいる自分はなんだろう。寂しいのかな。それとも幸せ者なのかな。
ドーナツをまたほおばって、その片方の羽だけのトンボを見守った。彼は、うちのベランダの、窓と網戸の間でじっとしている。