研究ツールとしてのDropbox②
前回の記事ではDropboxの基本的な利点や使い方の話をしました。今回は、タイトル通り「研究ツールとして」Dropboxをどのように役立てられそうかを考えてみたいと思います。
〇Dropboxで論文を読む
僕がいま一番よくDropboxを使うタイミングは、①バックアップを作りたいとき、②論文を読みたいときです。①については前回の記事で説明しましたし、ある程度自明なので省略します。
②について。ネットでPDFをダウンロードした、あるいは研究室で学術誌からスキャンした論文をDropboxでタブレットと共有し、タブレットで論文を読みながらEvernoteでメモを取ります。
これはすごくストレスフリーなPDFの読み方です。PCの画面で論文を読むのは、デュアルディスプレイだろうがなんだろうがUIの都合でどうもやりにくいので、タブレットには本当に助けられています。
もちろん一番こちらの言うことを素直に聞いてくれるメディアは「紙」なわけですが、ペーパーレスでいきたいので8割くらいはPDF化しています。残りの2割は紙ベースです。紙で読みたい気分のときもあるので。
だとすると、便利なのはDropboxじゃなくてタブレットなんじゃないかという疑問も浮かぶかもしれません。しかし、PCとタブレットでなめらかにデータ共有ができるからこそストレスフリーなわけで、これがメールでファイル送るだとか有線で送るだとかだとやってられません。
また、めったにありませんが、出先で衝動的に論文を読みたい気分になったときに携帯からPDFデータにアクセスできるので、やはりオンラインストレージで論文を管理していることにはそれなりのメリットを感じています。
論文だけでなく、スキャンした1次資料もストレージに入れておくと、同じような流れでEvernoteにメモれるのでそちらもおすすめです。僕はあんまりやりませんけど、そのままEvernoteにPDFを添付しちゃうのも便利ですね。
〇データを共有する
自分の研究を進めるというよりは、仲間と読書会や研究会をするときに資料を共有する手段としてオンラインストレージを使うのも便利です。共有用のフォルダを1つ作ってそこに資料なりなんなりを放り込んでおけば、誰にでも見られる状態になるわけですね。
僕が所属しているゼミでもそうですが、現在資料の共有は多くの場合メールで行われています。ですが、正直言ってこれからはメールを打つ回数を減らせるようにシステムを構築していくべきだと考えています。
オンライン授業なんかの関係で、対面でのやりとりが減り代わりにメールで物事に対応する機会が増えました。そこで気づいたのが、メールを打つ時間の不毛さです。
資料を送るためだけに、「○○様 お世話になっております。私は○○所属の○○と申します。~の資料を送付させていただきます。」云々という長々とした文面をくっつけなければなりません。
しかし、受け取る側としては欲しいのは資料だけであって、そこに付されている文章はほとんど意味をもたない。要するに形式だけのものです。
僕は形式を重んじるのが(趣味で)好きなタイプですが、削れるところは削っていかないとメールの処理だけで午前中が終わってしまいます。そういう部分をみんな感じ始めているからこそ、Slackなんかがビジネスや教育の場でも使われ始めているのではないでしょうか。
簡単な資料の共有なんかは、DropboxやGoogle driveの共有フォルダにコピーで済ましてしまうことにして、アイテムが追加されたときに連絡がいく設定だけしておけばいいかと思います。
これは僕の指導教官が言っていたことなのですが、我々は何か新しいことを始めることには積極的です。しかし、新しいことをやるためにはその分のリソースが必要なので、他のことを止めていかないとどんどん苦しくなってしまう。ところが、この「止める」ことを検討する方向にはあまり議論が進みません。
僕はこれを聞いて心底同意しました。なにかを始めたいならなにかを止めなきゃいけない。全くもってその通りです。
だからこそ、僕はツールを使うことで手間をいかに削るかということを模索しています。ぶっちゃけ新しいもの好きだからという面もあるのですが、新しく出たものには新しい知見が採用されているもの。使っていけば手間の削減につながります。
ですので、オンラインストレージによるファイル共有のシームレス化は、小さなことに見えて案外大切なことなんじゃないかなーと思っています。
〇まとめ
今回は研究ツールとしてDropboxを役立てていく可能性について考えてきました。論文を読むとき、あるいは資料を共有するとき、オンラインストレージには大きなメリットがあります。
僕はEvernoteもDropboxもベーシックなので、お金を払ってプレミアムになったらもっと使用感が変わるかもしれません。プレミアムの人がいたら、ぜひどんな感じか教えてください。
このシリーズの次の記事では、アウトライナーの1つであるDynalistについて考えてみようと思っています。こいつはなかなかよくできたツールで、僕が論文を書くときにいつも助けられている相棒です。