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ChatGPTにガッカリする人は「成果物」を作らせる、活用する人は「たたき台」を作らせる

「ChatGPTの回答ってイマイチなんですよね…」ChatGPTを活用したいという人とお話しすると、9割の方が精度の低さを気にしているように感じます。出力の精度を上げる方法をレクチャーすると「けっこう大変ですね…」と作業量の多さに苦笑いするところまでがセットです。

ChatGPTを使いこなすのは一種のスキルであって、誰でも使えるものじゃないのかもしれない。そんな気さえしてしまいます。

しかし、ChatGPT初心者への使い方のレクチャーとChatGPTを使った事業者との情報交換を交互に行ううち、使い方の違いに気がづきました。

ChatGPTにガッカリしている人は「成果物」を作ろうとし、ChatGPTを使いこなしている人は「たたき台」を作っているのです。

本記事では、ChatGPTをイマイチ使いこなせない人に見る共通点と、使いこなしている人が感じている利点をまとめました。イメージがつくように具体例も載せております。


生成AIを使わない理由「自分でやった方が早い」問題

ChatGPTを業務で活かそうとするとき、必ずぶつかるのが「ChatGPTを使うより自分でやる方が早い」という問題です。

メールを打たせてみる、企画を考えさせてみる、議事録をまとめさせてみる。そうしたタスクをChatGPTにやらせるとなにひとつ100%の精度で仕上げてはくれないのです。

メールに関しては自社名や相手先の名前が歯抜けで、企画はありきたりで面白みにかけ、議事録は要約しすぎでもはや記録の意味がない。などなど、何をやらせても中途半端。点数をつけるとするなら60点から79点位の成果物にしかなりません。

プロンプトを工夫すれば出力の精度を改善できますが、それでも結局80点〜90点くらいの内容にしかならず、度肝を抜かれるような完璧な仕事なんて見せてはくれないのです。

プロンプトを考えるのにも時間を使いますから、100点にならないものに時間をかけるのはバカげているようにも思えます。結局、ChatGPTを使うより従来のやり方で、自分でやった方が早いし精度も高いのです。

ChatGPTを使わない、使っていたけれど使わなくなった理由はいろいろあるとは思いますが、その理由の多くはここに収束していくでしょう。

未経験の仕事に初回で60点を出せるアドバンテージ

「ChatGPTは完璧な答えを出してくれるわけじゃない」それについてはChatGPTを使いこなしている人も同意見です。ChatGPTを「気が利かない天才」だとか「つまらない評論家」のようなクセのある人物にたとえるのもそのせいで、決して完璧な存在ではないのです。

ここでひとつハッキリするのは、ChatGPTを使いこなすというのは100点を取るというゲームではない、まったく別のゲームであるということ。

たとえば、従来であれば時間をかけて取り組んでいた新しい挑戦に一瞬で60点を取れるようになったことで、ChatGPTと共に高速で新しい取り組みを始めるゲームかもしれませんし、工夫して量産した80点の成果物で物量で攻めるゲームかもしれません。いずれにせよ、人間がやっていたことをChatGPTが代わりにやるという考えではありません。

未経験の仕事に初回で60点を出せる。そのアドバンテージを使い庫なるかどうか、たたき台を出せるかどうかが分かれ道と考えてよいでしょう。

「たたき台を作る」の具体例

ChatGPTはたたき台を作るのに最適、そう聞いてもすぐにはイメージできないかもしれません。ほんの一部ではありますが、ここでは具体例をご紹介します。

(1)「とりあえず作って」という無茶振りへの対応

新規顧客への営業時「イメージがわかないからサンプルがほしい」と言われるのはあるあるですよね。分業制の企業では営業部から制作部へ「とりあえずサンプルをつくってくれ」と依頼するケースも少なくないでしょう。

ここでやっかいなのは、受注前ですからクライアントの情報は不十分ですしまだ売り上げがたっていないため工数をかけるわけにもいきません。ちゃちゃっと仕上げつつ、受注が決まるようなクオリティは必要という、なかなか難しい状況です。

そんな時ChatGPTを使えば、架空の情報や一般的な情報をすぐに用意できますし、たたき台まで一瞬で完成します。下記は、ライターである私にプログラミング教室の紹介文を書いて欲しいという依頼が来たと想定したものです。

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会話履歴

言うまでもなくこのままでは60点です。

しかし、情報不足で時間もかけられない中一瞬でできた60点です。受注につながるのならインパクトは小さくはないはず。架空の情報が欲しい時、一般的な知識で事足りる時、ChatGPTは非常に優秀なたたき台を作ってくれます。

(2)ブレストや社内プレゼンのスライド

社内のプレゼンなど、デザインを細部まで作り込む必要がないスライドもChatGPTならすぐに作れます。スライドの構成を考えてもらうだけでも大きな時短になるでしょう。

>在籍しているライターのインタビュースキルを活かして出版ビジネスも展開するのもいいと思っている。その提案を社内に向けてやりたいんだ。スライドの構成ってどうしたらいいかな?


出版ビジネスの展開を提案する際のスライド構成を考えると、以下のような流れが考えられます。タイトルスライド
プレゼンテーションのタイトル
日付
プレゼンテーターの名前
背景
現在のライターの状況や能力の紹介
出版ビジネスの市場規模やトレンド
問題点/チャンス
現状のビジネスだけでは活かしきれないライターの能力
出版ビジネスにおける機会やニーズ
提案内容
出版ビジネスの具体的なビジョン
ライターのインタビュースキルをどのように活かすか
メリット
出版ビジネスを展開することでの収益アップ
ライターのスキルやモチベーションの向上
会社のブランド力の向上
実施計画
どのように出版ビジネスをスタートするか
必要なリソースや期間
リスクと対策
出版ビジネスを展開する際の潜在的なリスク
それに対する対策
結論
提案の要約
期待する成果
質疑応答
質問やフィードバックを受け付けるためのセクション


この構成をベースに、具体的な内容やデザインを考慮してスライドを作成すると、効果的なプレゼンテーションになるでしょう。

会話履歴

Advanced Data Analysis(旧:Code Interpreter)の機能を使えば、そのままスライド作成もできますし、スライド内のグラフも制作できます。

▼今作ったスライドの例▼

(3)意思疎通のための情報集め

関係者が複数名になると意思疎通のための情報を集めるシーンも増えてきます。たとえばホームページのトンマナの参考となる既存サイトを探す、商品紹介の訴求ポイントを決めるためのペルソナ設定などです。

認識違いによる手戻りを防ぐため、ディレクターなどの管理する役割の人物が情報を集めるのは地味に時間がかかります。画像生成AIを使ったイメージの共有や、ChatGPTを使ったペルソナ設定はこれらの時間を短縮してくれるでしょう。

何度も言いますが従来人間がやっていたころに比べると精度は劣るでしょう。しかし意思疎通さえできれば、それがこれまでよりも早い時間でできるならば、制作の工程にもっと時間をかけることもできるはずです。

まとめ

「ChatGPTの回答は精度が低い」は確かにそうかもしれません。ChatGPTを使いこなしている人も、ChatGPTは完璧に全てをこなせるなんて思っていないのです。使いこなせるかどうかの差は、出力精度よりも何を作らせるか、その使い方にあるはず。

「成果物」を出させて60点であることに落胆するのではなく、一瞬で60点の「たたき台」を作ってしまうそのポテンシャルを活かす方が、具体的な利用シーンを増やしていけるでしょう。

弊社では、ChatGPTを事業に活かしたい、使い方を相談したいなどのご相談を受け付けております。下記メールアドレスまでお気軽にご相談ください。

株式会社VERSAROC
ライター/プロンプトエンジニア
小橋川 遥(コバシガワ ハルカ)
haruka_kobashigawa@versaroc.co.jp

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