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2024 春の東北を訪ねて ②
4月18日東北旅行二日目。朝食はホテル名物のすいとんを堪能し早々に出発。市内から秋田県に入り約80分で田沢湖に到着。瑠璃色の湖面にたつこ姫伝説、そして日本一の水深423Mの神秘的な湖だ。左回りで湖畔を一周することにした。まずは半身を龍に変えたたつこ像のある御座石神社を参拝する。鳥居の奥にかすむ静かな湖面と山並みがとても幻想的だ。
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鳥居を眺めていると、老夫婦の婦人が溝を飛び越えようとして滑って転ぶ姿が見えた。「危ない!」と思わず声が出た。駆けつけてみるとどうやら片足を地面につけられないようで、旦那が脇を抱えたままどうしようかと困っていた。その手伝いを申し出、夫人を持ち上げるようにして何とか溝を脱出した。気の毒だが見るからに骨折のようで、楽しい旅の途中なのに病院に行くしかないようだ。二人を見送った後足元を見たら、自分の白いスニーカーが泥だらけになっていた。妻と顔を見合わせて「まあしょうがないね。」と苦笑。
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御朱印の受付は10時となっていたが、売店を準備していた老婦人にお願いし時間前に書いていただいた。ついでにお守りを購入しその包装紙を何気なく見ると、なんと「人は支えあって生きる」と記載されている。鳥居の老夫婦を助けることは御座石神社の神様の指令だったのだろう。
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そこから車で10分程行くと湖上に黄金色のたつこ像が見えて来る。そのそばには浮木神社があり御朱印をいただいた。
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天気が良ければ山々に映える青々した湖面を背にたつこ姫が黄金色に輝くのだろう。しかし曇天の像も神秘的で良い。
たつこ伝説は言わば田沢湖伝説、「炭焼きで暮らす夫婦に生まれた念願の女の子は辰子と名付けられ評判の美人に育つ。辰子は永遠の美しさを得るため、観音さまのお告げで山に湧く泉の水を飲みに行くのだが、その水を飲み過ぎてしまう。すると天地が裂けるような雷とともに激しい雨が降り出し、山は崩れ落ち、溢れ出た水が谷をうずめ、深い深い田沢湖になった。そしてその湖面に映る辰子の姿は龍となった。」あまり欲張ってはいけませんね。でも欲張ったから田沢湖ができたんですよね、、
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田沢湖は摩周湖と同じくらい透明度がある。湖面を見るとそれを実感できる。透明過ぎて生き物が育たないのかと思ったら違っていた。かつてはいろいろな魚が生息していたのに、発電所建設で玉川温泉の水を引いたため酸性化が進み、ウグイだけが生き残ったようだ。たつこ像付近の湖面からは確かに大きな群れをなすウグイが見えた。最近はクニマスも養殖されているらしい。神秘的だった田沢湖は今回唯一秋田の観光地、訪れて良かった。
次は小岩井農場を目指す。妻の目的は一本桜、自分の目的はサラブレッドの歴史。田沢湖からは車で60分程度、農場での昼食も楽しみだな。
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小岩井農場の歴史的建築物21棟は国指定の重要文化財。草木もまばらな不毛の火山灰地に奥羽山脈から吹き降ろす冷たい風、このような原野を農場に変えるには信じられないほどの苦労があったはず。その創業者たちの思いは国益のための使命感だったようだ。海外から優秀な種畜を輸入したのは、全国に向けた乳牛の育成改良、海外に勝る騎馬隊の育馬が目的だった。サラブレッドの育成は農場の経営を助けることにもなったが、主目的は競馬を通じて早く強い馬を作るための国策だった。
チケットを購入して入場しまきば園マップで全体像を把握する。競馬関連の情報入手ができそうなのは重要文化財ギャラリーだろうか?見逃すわけにはいかないので案内所で確認すると、道を渡った牛舎地域の資料館にもあるとのこと。まずは「ひつじの散歩道ルート」を昼食前に見学する。
牧場館の重要文化財ギャラリー、農場の歴史を年表やシアターで見ることができる。手を近づけると絵があらわれ音が鳴り出す壁は、農場の全施設をまるでプロジェクションマッピングのように確認できる。残念ながら競馬関連の情報は年表の一部で見ることができる程度だった。
まきばの天文館にはニコン製の大型屈折望遠鏡があり、太陽の黒点を観察できる。ちょうどタイミングよく晴れて貴重な黒点を複数見ることができた。
明治時代の主要交通機関である馬車鉄道を再現したトロ馬車は残念ながら動いていなかった。鉄路沿いに満開の桜を見ながらゆったり歩く。しばらく行くと乗馬ができるホースライディングがあった。そこには何とあのシアンモアをPRする特大写真付きの看板があり感激。乗馬は残念ながら昼時でお馬さんたちはお休み中だった。
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ソフトクリームを買って食べながらまきばのホールに寄り、その後ファームキッチンで昼食。妻の目当てはピザ、自分は肉まんとメンチ、二人でシェアして食べる。これはうまい!
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美味しい昼食後は再び散策、小岩井農場の歴史散歩ルートを行く。レストランショップやBBQガーデンを横目に上丸牛舎を目指す。一度場外に出てから道を渡り入場券で牛舎エリアに入る。牛の糞の匂いが漂う中、桜通りをまっすぐ進むと資料館があった。ドアを見て驚いたのが「ヘビが入るので必ず閉めてください」の張り紙。妻も自分もヘビが苦手なのでビビる。
資料館には育馬事業のパネルやダービーで活躍した小岩井農場の牝系のパネル、そしてシアンモアなど当時の種牡馬の写真があった。それを見ると、輸入牝馬20頭の内、フロリースカップ系ではスペシャルウィーク・メイショウサムソン・ウォッカ、ビューチフルドリーマー系ではカブトヤマ・シンザン、アストニシメント系ではメジロマックイーン・オルフェーブルなどのダービー馬が誕生している。小岩井農場の牝馬の血は間違いなく現在の活躍馬につながっている。まさに日本競馬の聖地と言える。
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牛舎地区から再度農場へ戻る。出口からは入場できず、入り口まで歩き再入場。再入場の目当てはプレミアムショップのお土産だ。ケーキ、チーズ、クッキーなど段ボール一杯ほど購入しクール宅急便で送る。
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そして一本桜を見に行く。農場を出て車で5分程行くと駐車場に多くの車が停まっていた。雪を頂いた岩手山が微かに見えるのだが、晴れていたら映えたに違いない。
小岩井農場を満喫した後は一路2時間青森浅虫温泉を目指す。