2024 春の東北を訪ねて ③
4月19日東北旅行3日目、青森の朝を浅虫温泉辰巳館で迎える。部屋からは雄大な陸奥湾が見える。北海道生まれの自分は、何度も青函連絡船でこの陸奥湾そして津軽海峡を行き来しており感慨深いものがある。港の先に見えるのが湯ノ島、そして防波堤には海釣り公園もある。夕日の景色が見どころだが、昨日は曇天で見ることができなかった。浅虫温泉の透明で体にやさしい泉質は最高で、長距離の運転の疲れを癒すことができた。
浅虫はねぶた発祥の地、ここでも坂上田村麻呂が登場するが、浅虫温泉にたてこもった蝦夷征伐の際、灯篭をつくり笛太鼓ではやしたて、その物珍しさに出てきた敵を討ったと伝わっている。これがねぶた祭りの始まりらしい。それを強調するかのように辰巳館の奥の階段と廊下には過去のねぶた祭りのポスターが所狭しと張られている。これは必見だ。そして辰巳館宿泊を決めたもうひとつのポイントが、ネット情報ではあるが夜になると中庭にねぶたが登場する。とあったのだが残念なことに時期が早いとのことでこのイベントはなかった。思わず「看板に偽りあり!」
いつもながら朝早く目が覚めたので浅虫を散策する。湯ノ島の鳥居を見ながら海釣り公園に行ってみたがクローズだった。静けさの中遠くから列車の音。「え!鉄道が走っているの?」どうやら近くに駅がある。行ってみると駅名は浅虫温泉駅だ。青い森鉄道、どうやらこれで八戸まで行けるようだ。
朝食の時間を早めてもらい、8時過ぎにチェックアウト。朝食はホタテの卵とじが美味しかった。ワラッセのオープン時間に合わせ、まずは善知鳥神社に向かう。ここは青森総鎮守で坂上田村麻呂が再建したようだ。境内の湧き水「龍神の水」が有名らしく、パワーを口にする。御朱印をいただきに行くと、なんと孫が大好きなリラックマの絵馬があり、思わず購入し孫の幸せを祈願した。
青森駅と隣接する青森港に八甲田丸が見える。今は青函連絡船メモリアルシップとして博物館になっているようだ。海外からの豪華客船も停泊している。ねぶたの家ワラッセに行くと、オープンしたばかりなのに海外からの観光客で混雑している。「きっと、あの客船の人達よ!」と、豪華客船好きの妻が言う。
ねぶたの家ワラッセは、ねぶた祭を見た気にさせてくれる素晴らしい施設だ。東北三大夏祭りは何度も計画しようとしたのだが、その時期なかなか宿が取れない。そんな自分たちでも、本物のねぶたを見ることができるし、映像を通してお祭りを疑似体験できるのが素晴らしい。
ねぶたを満喫したところで弘前に向かう。桜祭りの期間なので渋滞を覚悟していたが、比較的順調に走れた。ニッカウヰスキーそばの河川敷駐車場に駐車し、徒歩で公園に向かう。一陽橋口から公園に入ると満開の桜、屋台やイベントステージに大勢の人だかりで「これが弘前の桜祭りか」と感激する。そこから通りという通りに延々と屋台が連なり、人混みが続く。演芸場ではハワイアン音楽に合わせフラダンスを踊っている。期待して近くに行ったのだが残念、年上の方達ばかりだった。四の丸から三の丸そして入園料を払って本丸へ行く。お城は行列が長かったので展望デッキに上って四方の桜を満喫した後、桜のトンネルを抜けて駐車場に戻った。
弘前から奥入瀬を目指す。昼食は駅前のパン屋で仕入れたアップルパイを車中でいただく。ナビによると八甲田経由で2時間近くかかるようなので16時半にはホテルに着きそうだ。昨日に続き東北自動車道を再び下り青森中央から山道に入る。峠に入ると霧が出てきて視界が悪くなる。道の脇には雪が1Mくらい積もっていて壁になっている。更に進むと雨が降ってきて濃霧もひどくなってきた。そしてすれ違う車がほとんど無くなった。「まさかこの先通行止めじゃないよわよね?」妻の表情もかなり不安そうだ。
ようやく下りに入ると少しずつ霧が晴れ雪の壁も消えてきた。酸ヶ湯温泉を通ったあたりから渓流の景色が見え始めほっと一息。「いやあビビった、八甲田で遭難なんてしゃれにならないよな。」奥入瀬渓流館の先に今晩泊まる星野リゾート奥入瀬渓流ホテルが見えてきた。
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