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北海道日高ツアー 帯広編(2019年)

 ツアー三日目の早朝、静内から千歳経由で帯広を目指した。途中社台スタリオンステーションの種牡馬見学場に寄ることにした。9時前に着くと、7頭全馬放牧されていた。「やった、ラッキー!」入口から一番近い柵にはキタサンブラックがいる。まだまだ現役で走れそうな立派な馬体だ、もちろん産駒としての活躍はこれからだ。見学台に上がると遠くで草を食んでいて、携帯のカメラでは豆粒のようだ。ところが流石サブチャンの馬、サービス精神旺盛に柵沿いにゆっくりと歩いてこちらの方へやって来る。シャッターチャンス!「ありがとう!キタサンブラック」そして見学台の前を過ぎると、そのまま元いた場所まで歩いて行って再び草を食み始めた。

 隣はリアルインパクト、2017年産駒が活躍し始めている。その隣が昨年サイアーランキング6位のジャスタウェイ、TJ君は友人から入念な撮影を依頼されているらしく、望遠レンズを調整しながら何度もシャッターを押している。私の愛馬エスティタートもお腹にはジャスタウェイの仔を宿している。なんとかキャロットクラブで売り出してもらい母馬優先でゲットの予定。その奥の柵には同じく4位ルーラーシップと7位キンシャサノキセキの放牧場があるのだが、遠すぎて豆粒程度にしか見えない。

入口から一番遠い柵にはイスラボニータがいた。時々寝転がっては脚を上げたりと、その仕草はやんちゃな仔馬のようでとにかく可愛く癒される。それをずっと眺め続けて見学台から離れない人たちもいる。イスラボニータは昨年170頭も種付けしており、産駒の活躍が期待されている。その隣がサイアーランキング5位のハービンジャー、この馬も昨年212頭に種付けしている。「寄って良かった!」「会えてよかった!」「昨年ならディープに会えたかも」「また近いうちに来たいね」最後はトウカイテイオーのお墓に手を合わせ、帯広に向かった。

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 本日のメインイベントは帯広ばんえい競馬5Rの協賛レースである。事前に2口の協賛金を振込み、対象者を調教師10%、騎手50%、厩務員30%とした。残り10%は勿論主催者の取り分となる。車で向かう途中、日刊スポーツを購入し、レース名を確認した。「5Rに我々の協賛レース名しっかり載っていますよ!」とTO君も興奮気味。3人とも初観戦のばんえい競馬、その迫力はどんなものだろうか、坂超えの力比べを心から楽しめるだろうか、馬の涙を見たらどうしようかなど、期待と不安が入り混じる。

 社台スタリオンを9時半過ぎに出発し12時に帯広競馬場に到着。駐車場は想像以上に多くの車で混雑していた。場内のイベント広場には多くの出店が並び、子連れの家族が多くて賑やかだ。イベントも魅力的だが、まずは入場門の女性事務員さんに尋ねる「バックヤードツアーはどこで申し込めば良いですか?」「いらっしゃいませ、ひょっとして協賛いただいた方達ですか?」「よくわかりましたね。そうです5Rに協賛しています。」「雰囲気でわかりました。ありがとうございます。5Rなら余裕がありますね。バックヤードツアーは13時に総合案内所へ行ってください!まだ時間がありますのでイベントも楽しんでください。」「ありがとうございます。」それにしても何でわかったのだろうか。

「昼飯は豚丼にしよう!」場内の食堂がオープンするのを待って食券を購入する。「早く食べないとバックヤードツアーに間に合いませんよ!」急がされながらも名物グルメを堪能する。「帯広の豚丼、焼く時の匂いも良かったが、食べてもこれは美味い!」

 バックヤードツアーは1R終了後の組に入れず、2R終了後の集合となった。希望者が多かったので2組に分かれたようだ。ベテラン説明員の挨拶が終わり、「ではバックヤードの見学に出発します。こちらへどうぞ。」事務所内を通り抜け装鞍所に案内される。ばん馬の体重は1トン前後になるらしくサラブレッドの倍はある。見た目はもちろんだが、信じられない程脚が太く頑丈そうだ。速さより力強さなのだ。そこに用意されていたバスに乗り込み、敷地内を走りだす。まずは鉄そり置場が目に入る。練習用なのかレース用なのか見分けられないが相当な数が並んでいる。しばらく行くと厩舎地区に入った。厩舎と住宅が一体になった建物で、かなり年季が入っている。それにしても古い建物が多い。「ここに住むのは冬も寒いし大変そうですね。」TO君が心配している。走りだしてから20分程度で元の装鞍所に戻り「え、これで終わり?」500円のバックヤードツアーの評価、個人的には日光の手前でした。

 5Rは私たち3人の協賛レースだ。事前に総合案内所で手続きを済ませ、女性スタッフから今日の段取りの説明を受けた。「優勝騎手からは色紙だけでなく当たり馬券にもサインを貰えますよ。」と聞き、3人とも単勝馬券を全通り購入した。見ると馬券にも協賛レース名が印刷されている。場内にアナウンスが流れる。「次の5レースは、第1回○×△社馬主クラブ庄&鈴&東杯です。会社の一口馬主クラブ3名の来場記念による協賛レースです。」3人で顔を見合わせ「おー、凄い。」「なんだか緊張しますね。」とTO君。レースは穴人気の2番シンエイアザミが優勝、鞍上はベテラン59歳の藤野俊一騎手、昨年はリーディング6位の実力者だ。結果を見届け再び総合案内所へ向かう。私たちプレゼンター3名に胸章が配られ、表彰式の流れについて説明を受け、表彰台へ向かう。式は藤野騎手のみで調教師や厩務員の代理も兼ねる。色紙のサインに続き、単勝馬券3枚にサインを依頼すると苦笑いしながらも「3枚ですね」と応じてくれた。授与式終了後、シンエイアザミの口取りにて記念撮影。初めての体験に感激しながら記念品を受け取り、無事に表彰式が終了した。「やって良かったね!」と3人で口を揃え、「次は自分たちの愛馬で!」と心で誓い合った。

 レースが進むにつれ、ばんえい競馬のレースパターンがおよそ理解できた。まずはゲートが開くと同時に勢いよく出て、最初の坂の手前で一度停める。一息入れてから再度気合を入れて一気に坂を上がる。その勢いのまま坂を下り、次の坂までの平坦コースの中間あたりで再び休ませる。そこからとろとろ動き出し、2つ目の坂の手前でまた停止する。そしてここからは持久戦、だいたいはこの第2の坂で順位が決まる。坂を下りてから一気にゴールまで走り切る力馬もいれば、何度も何度も止まる馬もいて、どの馬がゴールを抜けるかわからない。勝ったと思いきやゴール寸前で動かなくなり遅れてきた馬に抜かれる馬もいて、ばん馬は難しい。専門紙キンタローの予想ならばだいたい当たるだろうと思い参考にしたが、この日は?全く当たらない。データを見ながら自己流で予想するが、惜しいだけでなかなか当たらない。実際にばんえい競馬のレースを見て、馬が涙するような過酷なイメージが払拭され、力自慢の競馬を楽しめるようになったのだが、、

 暗くなってからのナイター、ライトアップがとても綺麗だった。ゴール前のスタンドに人だかりがある。見ると学生たちと何やら話し込んでいるのは、お笑いのTIMだった。どうやらグリーンチャンネルの馬の子TIMの撮影に来ていたらしい。私が8Rまで全く当たらず、気分転換に場内を歩いていたら、「命」のゴルゴ松本さんに出くわした。「ゴルゴさん今日は当たっていますか?」「当たったり外れたりだねー」「でもプラスじゃない?」「いやマイナスだね。今のも掲示板の上位2頭がいなければ大当たりなんだけどね、ハハハ」「全く同感です、ハハハ」とお互いに笑いを交わしながら「じゃあ頑張ってください!」「ありがとう!」今日は当たらなくても、ゴルゴ松本と言葉を交わせたことで良しとしなくちゃ。

 9Rが終了、またまた外れた。そろそろ食事に行く時間なので、10Rの馬券を買って帰ることにした。残念ながら当たり馬券を手にすることなく帯広競馬場に別れを告げた。TO君もTJ君も当ててはいたが、トータルはマイナスらしい。帰り際の3人「また来ようね!次は第2回の冠つけて協賛だ!」「是非!是非!絶対来ましょう!」

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ホテル十勝インにチェックインした後、徒歩で帯広繁華街の新名所「北の屋台」に繰り出した。時間は19時を回っている。途中「うまいもん通り」を通った。かつては流行っただろう昭和の雰囲気満々も、所々シャッターが下りて客はまばらである。そこを通り抜けると北の屋台だ。栄枯盛衰。途端に人が増え店も通りも混雑が凄い。「席があったら入ろうか」「そうですね」、人をかき分けるように通りを進むが、どの屋台も満席だ。「こりゃだめだね、近辺で捜そう!」チェーン店を避け、地場の居酒屋を捜す。ジンギスカンでも良いかと数軒回るも皆満席。人混みを避け、繁華街から少し離れたところでようやく探し当てた店は1957年創業老舗の「弁慶」私と同い年だ。おでん、寿司、串焼き、揚物が自慢とある。ここも混んでいたが何とか席に付くことができて一安心。

珍しい刺身や串焼き、そして定番のサーモン&ザンギも忘れずに注文した。携帯をチェックしていたTJ君が突然叫んだ。「タイキシャトルのたてがみが誰かに切られたらしいです。」「えー?どこの牧場?」「ベルサイユファームです。」「そういう奴がいると困るよね。たぶんこれからはどこの牧場も警戒して見学禁止になってしまう!」「ベルサイユと言えば案内所で明日の見学予約していた人達、たぶん明日は無理かもしれませんね。」とTO君。再びTJ君「ひどいです。犯人はお前たちじゃないかってメール来ています。」「ハハハ、確かにどこかですれ違っているかもね。」明日からの見学に支障がなければ良いのだが。

二人にとってはツアー3日目そしてツアー最後の夜になる。私はもう一泊してから帰るので、二人より長くツアーを満喫できるが、一人になってしまう。3人で過ごす帯広の夜、いつも通り馬の話題で酒が進み、ほろ酔い?でホテルに戻った。

⇒ 北海道日高ツアー 門別編につづく


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