y''+ω^2 y=0の解が実数であるためには
はじめに
物理の問題で$${\dfrac{d^2 y}{dt^2} + \omega^2 y = 0}$$の解を求めることは多い。そして物理現象なので解を実数にする必要がある。この条件を考えてみたい。最初から正弦波であることを知っていれば問題ないが、指数関数の重ね合わせの解としか理解していない場合、どのような条件が必要となるかを考える。
解法1
そこでまず、この微分方程式の一般解を指数関数を用いて
$$
y = A e^{i\omega t} + B e^{-i\omega t}
$$
とあらわす。ここではまだ$${y}$$は複素数である。もちろん係数の$${A}$$も$${B}$$も複素数である。したがって、これは微分方程式の解を満足しているが、物理現象をあらわしていない。そこで$${y}$$を実数にするためには、
$$
y^* =y
$$
を満足させればよい。ここで$${y^*}$$は$${y}$$の複素共役を意味しており、
$$
y^* = A^* e^{-i\omega t} + B^* e^{i\omega t}
$$
である。そのため、$${y}$$が実数となる条件は$${A^*=B}$$となる。したがって
$$
y = A e^{i\omega t} + A^* e^{-i\omega t}
$$
が実数の一般解である。すなわち、それぞれの係数を複素共役とすることで一般解が実数になる。ここで上式をもう少し展開する。それぞれの係数は複素共役なので、多少強引であるが
$$
\begin{array}{} A &=& \dfrac{1}{2} ( C - iD ) \\ A^*&=& \dfrac{1}{2} (C + iD) \end{array}
$$
とおく(後で式がきれいになるから)。ここで$${C}$$と$${D}$$は実数である。これを一般解に代入し、オイラーの公式を用いて整理すると
$$
y=C \cos \omega t + D \sin \omega t
$$
が得られる。さらに展開すると
$$
\begin{array}{}
y=E \sin (\omega t + \phi) \\
\because E = \sqrt{C^2 + D^2}, \quad \phi = \tan^{-1} (D/C)
\end{array}
$$
となり、振動の式が得られる。
解法2
微分方程式の一般解を指数関数であらわすと
$$
y = A e^{i\omega t} + B e^{-i\omega t}
$$
となる。ここで$${A, B}$$は複素数である。ここにオイラーの公式を用いると、
$$
y=(A+B) \cos \omega t + i(A-B) \sin \omega t
$$
となる。これが実数解となるためには
$$
C=A+B, \qquad D=i(A-B)
$$
の条件を満たせばいいので(もちろん$${C, D}$$は実数)、
$$
A=\dfrac{1}{2}(C-iD), \qquad B=\dfrac{1}{2}(C+iD)=A^*
$$
が実数解となる条件となる。