いよわ『ラストジャーニー』『エンゼルケア』を褒めちぎるnote
こんばんは!
今回は以前からまとめたいと思っていた、いよわさんの『ラストジャーニー』と『エンゼルケア』の繋がりについて書きます。
2曲全部に言葉をつけると、とてつもなく長い文章になりそうなので、『エンゼルケア』の歌詞を見ながら、『ラストジャーニー』の補足をするという形でやっていきたいと思います。
⚠️個人の考察を含みます。
また、想像以上に重いテーマを取り扱うことになったので、各自覚悟の上読んでいただければと思います。
今回もサムネ描きました。いよわさんのおかげで少し横顔が描けるようになった気がする🤔
それではよろしくお願いします🙇♀️
エンゼルケアとは
曲に入る前に、まずはエンゼルケアの意味をおさえておこうと思います。
エンゼルケアは、故人が生前の姿に近づくようにと施される死化粧などを指します。
『ラストジャーニー』でも「だんだん弱くなる鼓動とつめたくなるほほが愛おしかった。だいすきよ」と、愛する人が死んだことの悲しみが描かれており、この2つの曲には「愛する人の死」という大きなテーマがあります。これが重いテーマその1です。
歌詞を見ていきましょう。
まず、「水面の上を滑る」という表現から、この曲の語り手は人間ではないのでは…? と考えました。
では、この曲の語り手は誰なのか。
ヒントは『エンゼルケア』という曲のタイトルにあります。
"angel"、天使です。
死人への施しと天使による施しという二重の意味がこの『エンゼルケア』というタイトルには込められているのだと思います。(余談になるが、ワンオクの『ラストダンス』の歌詞で”care for you"が好意の意味で訳されているのを見たことがあるので、もしかしたら天使の好意のような意味もあるかもしれない)
そして、語り手を天使だと仮定すると、「水面を滑る」という表現は、天使にとっての空を羽ばたく様子なのではないかと思えてくるのです。
青い海という表現は聞きますが、わざわざ水を青いとは表現しない気がするんですよね。クロスフェードにあるイラストも青い空が描かれています。(動画6分あたり)
そう考えると「静かな世界」というのも「人がいない世界」だと捉えることができ、人間と天使の世界の違いを感じることができる気がします。
天使は1つの未練を果たすために、空を滑っています。
「ここまで来たの」という歌詞は『ラストジャーニー』の「半分くらい期待しながら ここまで来たの。」とリンクします。
その未練は恐らく「あなた」に関すること。
お気に入りの小説がつまらなくなったあなた。
大好きなものに興味を示せなくなるほどのつらいことがありました。
灰になったじゃん。
人間視点で見ると「愛する人が死んで、好きなものを好きだと思えなくなった状態」は、相当な変化に思えるのですが、天使の視点から見れば、「違い」程度にしか思わないのでしょう。
ごめんね
あなたへの罪の意識とその罪を少しでも償いたいという思いが、「ごめんね」という言葉で表現されています。
薄れゆく意識のあなた。
寂しさを感じているのは、愛する人がそばにいないからでしょう。
『ラストジャーニー』では、「文句があるならむかえにきて。 今すぐに『愛してるよ』って言って。」と愛する人に傍にいて貰いたいという思いが書かれています。
天使に寿命という概念があるのかわかりませんが、「命ごっこ」という表現からは、命を遊びのように捉える天使の認識を感じ取れます。
この命をあなたのために使いたい。
天使があなたに抱く恋心は、『ラストジャーニー』の最後に大きな腕(恐らく男の人)に抱きしめられているイラストからも叶わないことがわかります。
あるいは、『エンゼルケア』のイラストが女性の姿で描かれていることから、同性愛である可能性も浮かび上がってきます。同性愛を可能性として提示した根拠は後ほどにも出てきます。
どちらにしても、「届かない恋心」が重いテーマその2です。
とびきりのエンゼルケア
エンゼルケアを施す相手はあなたであり、『ラストジャーニー』の女の子です。
天使の女の子は、死に直面したあなたにとびきりのエンゼルケアをします。
あなたが生きているときには許されなかった愛を、生前に近い姿で伝えることができるように。
黒くない花
「黒くない花は町に残ってなかったよ」という歌詞は、二重否定になっているため少しわかりづらいですが、まとめると、『ラストジャーニー』の「店頭の花が黒い 花屋の横の道」をあなたと同じように通ったということになります。
大事なのは「黒い花」という部分で、黒=色がないという関係性をできたら頭の片隅に置いといてください。後ほどつながります。
そして、サムネを書くときに思ったことですが、クロスフェードの『エンゼルケア』の女の子のイラストも白一色で色がないんですよね。
趣味も好きな物も合わないのに、あなたのことを想っているという天使の切実な想いが伝わってきます。(何度も聞いていると「合う」は「ある」と言っているように聞こえることがある。「ある」だと人間じゃない感じが伝わってくるなと思いながら聴いてます。)
今までの歌詞の中にも、人間と価値観が合わない天使の様子は表現されていましたね。
救い
天使であるがゆえに(または同性愛であるがゆえに)大好きな人に想いを伝えられなかった。
『マーシーキリング』でも「夢じゃないからね」という歌詞がありましたが、辛い現実に対して、人々は夢であってほしいと願うものなのです。
そして、天使が言う「空の上じゃないところに救いがあって」の重み、やばくないですか?!
なぜなら、死という運命に抗えない人間は、死んだら空にある天国に行くことに救いを求めているから。
ここでも、天使と人間の価値観の違いが現れています。
溢れた想い
この歌詞に入る前に、医療ドラマなどで見かける心電図のような音が聞こえます。
「ピー」という音が鳴っていることから、あなたは死んでしまったということがわかります。
そして、大好きな人が死んだ後から、天使の女の子は堰を切ったように本音を漏らし出すのです。
それがこの歌詞。
なんかもう、呻きたくなりませんか…?
「話せなくてごめんね 隠れてごめんね」からは、天使の女の子が一方的に見つめていただけだということがわかります。
「いつまでも臆病で想うだけしかできなかったんだ 」という歌詞からは、自分がマイノリティーな身分であるがゆえに打ち明けられなかった想いの苦しさが伝わってきます。
「罪重ねた」は、1サビの「積み重ねた」と同音異義語ですね。
同じ罪を何回も犯した、あるいは罪が複数あるという描写だと考えられ、可能性としては、
①天使が想い人のいる人間に恋をしてしまったこと
②その恋が同性愛であったこと
があげられます。
旧約聖書には同性愛を認めないという記述と、同性愛をした人間は天国には行けないという記述があるようです。(cf.このサイトの同性愛の項目、上手くリンクが貼れなかった。)
そういえばさっき、「空の上じゃないところに救いがある」と言ってたのって、こういうこと??、!!と今文章を書きながら驚愕しています。
そして、同じく旧約聖書に、同性愛に関する記述として、ソドムとゴモラという都市が登場し、そこには人間の姿をした2人の天使が出てきます。(わかりやすそうな参考サイト)
新約聖書に描かれた最後の晩餐の絵が出てくる『マーシーキリング』という曲もありますし、いよわさんは宗教関連にも強いのでしょうか。
まじで胃以外の弱点がないよこの人…。
代わりに
今まで打ち明けられなかった想いに対して最後に施すもの。
それが「崩れていく前にそっとキスを」であり、エンゼルケアの正体なのかもしれません。
誰の代わりなのかは、『ラストジャーニー』に描かれています。
『ラストジャーニー』の女の子の想い人の代わりに。
それも「熱い」ではなく、「そっと」
いよわさんも言っていたけれど、この曲救いがなさすぎる…。
灰
この「ごめんね」からは、想い人のために最後の旅をしていた『ラストジャーニー』の女の子に、望むことを何もしてあげられなかった天使の女の子の苦しさが伝わってきます。
「灰になるその瞬間 最期まで一緒にいるからね 」は『ラストジャーニー』の「灰になったじゃん。」との対比が感じられ、天使の女の子があなたにできる数少ない、最後の優しさなのかもしれません。
「心の奥があなたで満ちていた」という歌詞からもわかるように、あなたは世界そのもので、「だいすきだった」のでしょうね。
この「だいすきだったよ」は『ラストジャーニー』の「だいすきよ」とリンクしています。
「だいすきだったよ」という言い方からも、天使の女の子の秘めた思いが伝わってくるような気がします。ドラマなどの告白のセリフにある「ずっと前から好きでした。」という言葉に通じる部分があるように思います。
花に色がつく
覚えていますか。
これを覚えておいてほしいと言った理由が、同性愛の可能性をあげた根拠になります。
色がない『エンゼルケア』の女の子に対して、色がついた『ラストジャーニー』の女の子(あなた)
「立てば芍薬座れば牡丹 歩く姿は百合の花」という言葉があるように、花は昔から女性を例えるときに使われています。
そりゃ「迎えに来た人が私でごめんね」になりますわ…。
だって、『ラストジャーニー』のあなたが求めていたのは、迎えに来た私ではなかったから……。
最後の「長かった旅は終わった」は『ラストジャーニー』というタイトルを思わせます。
『ラストジャーニー』の女の子が旅で成し遂げたかったことは叶わず、『エンゼルケア』の女の子も、想い人に振り向かれないまま命という旅を終わらせたということなのかもしれません。
(少し考えすぎな考察になるけれど、『ラストジャーニー』の「からまってない愛情が欲しくって」という歌詞や死後迎えに来ない男の人のことを考えると、『ラストジャーニー』の女の子も思い通りの恋ができなかったのではないかと思えてくる)
この曲あまりにも救いがなさすぎるって!!
あとがき
想いが重い……という駄洒落のような感想しか思いつかないので、『エンゼルケア』はこの曲から影響を受けて作られたのでは…?という曲を紹介して、あとがきとします。
その曲のタイトルは、ゲスの極み乙女の『無垢な季節』です。
『無垢な季節』は2015年の曲で『ラストジャーニー』が発表された2019年よりも前に作られています。
そして、いよわさんの音楽は、川谷絵音さんの音楽の影響を大きく受けており、最近で言うと『ゆめみるうろこ』は、川谷絵音さんの曲のリスペクトで作られたものだと考えられます。
そのため、いよわさんが川谷絵音さんの影響を受けて作った曲である可能性は十分にあります。
『無垢な季節』から、私がそう思った根拠をいくつか書いておきます。
①MVに出てくる生き物の見た目
サムネにもいる生き物は、黒(色がない)であり、天使を思わせる羽が生えている。
目が3つなのも人間ではない生物を思わせる。
②「花屋の店頭」という歌詞
「無垢な感情が花屋の店頭のユリを見て煌めいた」という歌詞がある。
MVの描写から推測すると、花屋にある百合は白。色がない。
③花になった・なれたという歌詞
先程にも書いたように女性の美しさを花に例える作品はたくさんある。最近の曲だと『花になって』がそれに近い。
「花になった」は、女性が異性を好きになる様子。
「花になれた」からは、自分も同じようになれたのではないかという苦悩、葛藤が感じられる。
次の歌詞の「やっぱり涙が止まらないんだ」からも救いのない、どうしようもない気持ちが伝わってくる。
また、川谷絵音さんの曲は、『夜風とハヤブサ』や『夏夜のマジック』のように、夏の恋の歌が多く描かれており、『無垢な季節』の歌詞に出てくる「夏」を「恋」に置き換えても意味が通じるように思えます。(夏が奪った→恋(異性との恋)が奪った、夏が終わる→恋が終わる)
この曲は、歌詞に「訃報」とあるように、大切な人を失った悲しみが描かれており、花のモチーフが歌詞に出てくるところからも、『エンゼルケア』との共通点を感じました。
あくまで私の考えになりますが、以上で考察を終わります。
今回は特に繊細なテーマを取り扱ったので、表現の稚拙な部分が目立つかもしれませんが、誰かを傷つける意図は決してないということをご理解いただければ幸いです。
今まで書いたいよわさんに関するnoteは、マガジンにまとめています。
もしよかったら、他のnoteといよわさんの音楽を聴いていただき、いよわさんの曲をもっと好きになっていただけたら、望外の幸せという他はありません。
それでは、ここまでご覧いただきありがとうございました。ではまた(。・ω・)ノ゙
最後まで読んでいただきありがとうございます🙇♀️