ものがたりのPowerが強いワケ
"ものがたり"と聞くと、「昔々あるところに」と始まる昔話を思い出す方も多いのではないでしょうか。しかし"ものがたり"とは何か、そしてPowerとは何かを考察してみます。
"ものがたり"とは何か、史学的な分類
歴史学的に紙に記された資料を分類すると、以下のように大別されます。
このなかで"ものがたり"はどれでしょう。
古文書は今でいうところの行政文書が中心の書類です。その他、手紙のやり取りの内容です。一次資料とも呼びその時代に発生したことがわかる手がかりが記されています。
たとえば戸籍に関わる書類では、どういう人物でがどの土地から転居したのかなどを確認できます。
日記に代表される古記録は、平安時代より盛んに記されるようになりました。基本的には朝廷の儀式についての備忘録として、行事の様子や、行事に必要な準備などを記すことのほか、天気や政治に対する思いを書き記したものです。
典籍はものがたりとして著述したものや、古記録を編集したものです。竹取物語や源氏物語などはこの典籍の著述にあたります。
"ものがたり"とここで呼ぼうとしているものは、この典籍の中の著述された文書のことを指します。
"ものがたり"がおこなったこと
下の10人の中で実在したとされる人物は誰でしょう。
・金太郎
・浦島太郎
・桃太郎
・風魔小太郎
・猿飛佐助
・石川五右衛門
・佐々木小次郎
・宮本武蔵
・大岡越前守
・ウルトラマン
最後のウルトラマンは実在の人物でしょうか? と質問されたとき多くのひとは笑いながら「ウルトラマンはフィクションでしょう」とか「円谷プロの作品ですよ」とちゃんと答えることができるでしょう。
しかし他の人はどうだったでしょうか? 以下の一覧をご確認ください。
金太郎こと坂田公時(酒田や金時など字が異なって記されることもある)は、実在の人物とはされていますが、厳密にそれが本当であったかと問われると、具体的な一次資料がみつかっていないです。古い時代から多くの"ものがたり"に登場していること、仕えた源頼光が実在されていることからたぶん実在の人物であろうとされています。
石川五右衛門は実在の人物でありながら、"ものがたり"では義賊としての役割が与えられて伝承されます。史実と異なるのは大岡越前守も同じです。
江戸時代中期になると、戦いの世の収束が民レベルまで浸透し、さまざまな"ものがたり"が紡がれていきます。このものがたりは、歌舞伎・浄瑠璃、講談などで多くの人が周知されます。
江戸中期から明治初期に作られた、歴史物のキャラクターたちは、実在の人物を超えて多くの人に愛されることになりました。
"ものがたり"にできること
"ものがたり"では、その人物が実在しても実在していなくても、話が魅力的である以外の重要な点はありません。イキイキとしたキャラクターが歴史的背景の中で活躍していれば、そのキャラクターは歴史物の主人公に成ることができます。
また実在の人物が、本当に魅力がある人物であったとしても、もともとの文章が現代語に訳されていなければ、魅力を感じられる人は少数になってしまいます。
ここで必要なアイテムは、翻訳こんにゃくだと私は思ってます。
でも、この翻訳こんにゃくは、残念ながら現代の各言語の翻訳しかしてくれません。
ここで必要な翻訳こんにゃくは、確認できた古語、漢文などから読み取れる史実を、多少のフィクションを交えながらも、魅力的な"ものがたり"にできる機能です。この機能ができれば、もっとその人物をキャラクターとして魅力がある人としてファンを増やすことができるのではないでしょうか。
"ものがたり"が持つPowerとは
歴史の人物を知るには、難しい顔をしながらの勉強ではなく、その一人ひとりが魅力のある人物としての"ものがたり" = "よみもの" を読む・聞く・見ることで、ファンになることが重要です。
"ものがたり"はそれぞれの時代に応じた魅力を発信し続けてきており、ファンを増やす強いPowerがあると考えて良いでしょう。