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ジャン・チャクムル「芸術からの投影」最新インタビュー(2023年4月)―新シリーズ《シューベルト+》始動!

トルコ語の文字媒体に掲載されたジャン・チャクムル君のインタビューとしては、ほぼ1年振りになるでしょうか。このたび、芸術に関する総合的なポータルサイト「芸術からの投影」編集主幹シェフィッキ・カフラマンカプタン(Şefik KAHRAMANKAPTAN)氏によるインタビューが2023年4月24日付で同サイトに掲載されたので、遅ればせながらこの場でご紹介します。

インタビュー本文でも語られているように、2028年のシューベルト没後200年に向けたジャン・チャクムル君とBISレコードによる一大プロジェクトが今年スタートしました。その第1弾である『シューベルト+シェーンベルク』の世界リリースを来る5月5日に控え、満を持してトルコ語インタビューが敢行されたことは、筆者にとってはもちろん日本国内の多数のファンの方々にとっても大変喜ばしいことと思います。
 
本インタビューでは、新シリーズ《シューベルト+》と第2弾、第3弾のアルバム情報だけでなく、昨年に結成されたジャン・チャクムル君のピアノトリオ《トリオ・ヴェカンド》結成に至る経緯についても触れてあります。
 
なお今回の日本語訳にあたっては、時間の節約と自身の関心からDeepLを用いて生成した訳語・訳文を参考にしてあることをあらかじめお断わりいたします。


シューベルトとシェーンベルクを同じアルバムで共演させようという発想の根底には何があるのでしょう?

今年からシューベルトの没後200年にあたる2028年にかけ12枚のアルバムを出すこのシリーズでは、シェーンベルクだけでなく、シューベルトに関係する作曲家が10人シューベルトと並んで登場します。その名はベートーヴェンからゴドフスキー、ラヴェル、そしてクルシェネクにまで至ります。それぞれのアルバムは、最初から最後まで通して聴くことのできるリサイタルの形で企画しました。同じ作曲家の作品を順番に並べた場合、無味乾燥なアンソロジーになる恐れがあるため、それを回避したかったのです。シリーズが完成すれば、(舞曲集、幻想曲 D.2E、10の変奏曲 D 156を除き)シューベルトが完成させた主要なピアノ作品はほぼすべて収められることになりますが、どのアルバムでもシューベルトの横にはもう1人別の作曲家が控えています。
 
収録はどこで、どれくらいの期間をかけて行っているのですか?

年に2回、ハノーファーのテスマー・スタジオにレコーディングに入ります。シゲルカワイが、私が選んだピアノをレコーディングの度に送ってくれるのです。すべてのアルバムで同じ楽器を使うことが、音色の均質性を保証してくれます。アルバムは順番通りにではなく、演奏時間をみながら収録します。毎セッション大体100~110分間の音楽を収録するようにしています。5月5日にリリースされるアルバムの曲は、昨年3月に収録したものです。


アルバムのビジュアルを選ぶにあたり、あなたも何らかの役割を分担されましたか?ジャケットの表にも裏にもあなたの写真がないのはご自分の選択ですか?

ブックレットやアルバムのデザインは、毎回チームで一緒に作り上げます。出来上がった製品は、あらゆる観点から共同作業の結果です。それには、アルバム中の絵画や、(もしあれば)用いた引用など、あらゆるものが含まれます。私の写真はブックレットに掲載されていて、自分にとってはそれでも十分です。リヒャルト・ゲルストルの絵もシューベルトの肖像画も、それよりはずっと興味をそそるものです。
 
アルバムはいつ発売されますか?ヨーロッパやその他の国々では、そしてトルコでは?

アルバムは5月5日から全世界で発売される予定です。物理的な販売と同様、Spotify、Deezer、Apple Music等あらゆるプラットフォームで聴くことができます。
 
その次のアルバムには、シューベルトと共にどの作曲家の作品が収められるのでしょうか?

次のアルバムにはシューベルトと、シューベルトのいくつかの作品の最初の編集者であったブラームスの作品が収められる予定です。先月終えたばかりの収録では、クルシェネクが1921年に完成させ、1950年代以降録音されることのなかったシューベルトの未完成ソナタD 840と、クルシェネクのピアノソナタ第2番を取り上げています。
 
BISレコードがリサイクル可能な素材だけでアルバムを制作していることは、この会社を選んだ理由の一つとなっていますか?

BISの芸術的なビジョンと、このシリーズで私に認めてくれた自由とサポートは、現代の産業界では例外的だと思います。 このコラボレーションが末永く続くことを願っています。アルバムがリサイクル可能な素材で制作され、またこれだけ軽いのは、もちろんまた別の素晴らしい貢献です。

4月26日に第37回国際アンカラ音楽祭で一緒に演奏するピアノトリオは、どのようにして結成されたのですか? 長続きするものになるでしょうか?

ヴェリコ(チュムブリッツェ)とドルカン(ドルック)は、ギュヘル&スヘル・ぺキネル姉妹の「世界の舞台に立つ若き音楽家たち」プログラム以来の親友です。何年も一緒に音楽をやっていて、互いに悩みを打ち明けたり笑ったりする仲です。数年前、CRR(ジェマル・レシット・レイ・コンサートホール)用にトリオとしてリサイタルの録音を行ったのですが、それがグループとしての初めての演奏です。正直言って、リハーサルも演奏もあまりに自然にすんなりと進んだため、私たち自身が驚きまた喜んだほどです。そのうち、これを固定化したトリオとして将来に繋げるための手段を探し始めました。現在はロックスブリッジ(Locksbridge)が私たちのマネージメントを行っており、来シーズンのスケジュールを少しずつ作っているところです。要するに、私たちは真剣にこのトリオを継続させレパートリーを増やそうとしているのです。もちろん誰も未来を見通すことはできませんが、私たちはこのトリオがこれからも続き、末永く私たちと共に歩んでくれるよう最善を尽くしています。


なお、ジャン・チャクムル君の新シリーズ《シューベルト+》第1弾になる『シューベルト+シェーンベルク』のSpotifyやApple Music等の音楽配信プラットフォームにおける発売は5月5日、また日本国内でのCD発売は、輸入盤が5月上旬、日本語解説書付き日本国内版が5月下旬の予定です。

最後に、輸入元であるキングインターナショナルが提供している情報を掲載します。

SACDハイブリッド盤。リスト編曲のシューベルト『白鳥の歌』を録音してから3年、2018年第10回浜松国際ピアノコンクール第1位のジャン・チャクムルが「シューベルト+」という新シリーズをスタートさせました!

 当シリーズはシューベルトの主要作品と彼の音楽に影響を受けた作曲家の作品を並べることで、その作品に焦点を当てるだけでなく、それぞれの作品に新たな魅力を感じてもらいたいというチャクムルの思いから企画が生まれました。

 第1弾ではシューベルトの2つのソナタ(第4番イ短調と第20番イ長調)の間に無調を試みたシェーンベルクの『3つのピアノ小品』を挟み込んだ内容です。この組み合わせの理由は、第1にシューベルトの第4番の緩徐楽章の主題が第20番のフィナーレにも用いられていること、第2にシューベルトとシェーンベルクは表現方法が違えども音楽の主観的表現の面で共通していることがあげられ、この組み合わせだからこそ聴こえてくるシェーンベルクの魅力も際立ちます。2028年のシューベルト歿後200年に向けた一大プロジェクト始動です!

キングインターナショナル公式サイト


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