HPVワクチンの広報について思うこと。

数年前からHPVワクチンの接種が推奨されています。とくに今年はキャッチアップ接種の最後の機会ということで、どのメディアを見ても広告には「ワクチンを打ちましょう」動画や画像が出てきます。
でもこの広報の仕方では、ワクチンを受けてほしい世代の一部の人にうまく受けてもらえないのではないか、と思います。

「子宮頸がんの原因は主にヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で、HPVは性交渉での感染がほとんどで、性交渉の経験がある女性なら誰でも感染する可能性のあるウイルスといわれています。」(参考:https://www.shikyukeigan-yobo.jp/disease/

この事実から考えると、たしかに今のような形で接種を促すことは妥当のように思われます。
ただ、そういう広報の仕方をすると、日頃から性交渉に縁がない人は自分ごと化して考えることができなくなるのではないか、と私は考えます。
また、なんらかの理由で性交渉に嫌悪感を抱いている人はとても不快な気持ちになるかもしれません。
その行為が嫌でたまらないからする予定も今のところないし、普段の生活でもその話題を全力で避けるくらいの嫌悪感を持っている人がいたとして、その行為をする前提で国がワクチンを推奨してきたらどうでしょうか。
そのような人は、「別に受けなくていいのでは?」という発想になっているかもしれないし、接種せずにキャッチアップ期間を終えてしまう可能性だってあります。
そうすると「性交渉の有無に関係なく、とりあえず対象年齢の女性に集団免疫を獲得してもらう」という本来の目標からはかえって遠ざかるのではないでしょうか。

もちろん、そのような人の存在は、日本の女性のなかでも極めて少数派だと思います。
そういう人たちのためにいちいち気を使った広報なんてしてられるか!という意見もごもっともです。
でも、なんらかの政策を実行する時、あるいは政策についての情報を発信する時、そこには必ずいろんなタイプの人がいるはずです。
そこで少数派とされる人たち、周縁化される人たちも政策の受益者として対象にいれるなら、もう少しその情報に接したときの「不快感」について、なんらかの考慮がされてもいいのではないかな〜と思います。

政策についての情報に接したときの「不快感」は、軽視されがちなポイントかもしれません。しかし、受け手が不快感を感じたことによって、政策への印象が悪くなったり、当事者が傷ついたり、ということは起こり得ると思います。そうなると、せっかくの政策も効果を十分に発揮できなくなるので、この「不快感」は無視できない部分だと考えています。
今回の件であらためてそう感じましたが、その点について、これからもちまちまと考えていきたいです。

最後に。
人類がウイルスに勝つという目的を達成するために、集団免疫を獲得するために、性交渉の予定がない人も接種に行きましょう。
「自治体名 HPVワクチン キャッチアップ接種」で検索すれば何かしらの情報が出てきます。予診票の発送をお願いして受け取るのに1週間、そこから実際にワクチンを打つのにさらに一週間くらいかかるので、9月10日くらいには予診票を手に入れた方がいいと思います。

ではまた。


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